■トラック5『図書室で勉強会』
;◆ダミーヘッド位置・側面
;◆SE シャーペンでノートに何かを書き込んでいる音
【絵空】
「(勉強している)」
【絵空】
「……ん? ここわからないの? うん。……ここはね。
さっきの公式を当てはめるんだけど……そのためには……まず、式を整えないといけなくてー…………」
【絵空】
「…………分かった? そうそう。それで合ってると思う。
わからないトコあったら、また聞いてね」
【絵空】
「……それにしても。本当にこんなのが……お礼でいいのかな。
勉強を見てほしい……なんて」
【絵空】
「私、理系教科は微妙に苦手なので……変なこと教えちゃったら、ごめんね」
【絵空】
「…………そう? 力になってるなら……いいけど」
【絵空】
「で、でも。……こんな……目立つ場所で、二人で勉強とか。
……また、変な噂立てられちゃわないかな。それだけ、少し心配」
【絵空】
「え? ……いや。私は別に良いんですよ。
でも……キミが、困るんじゃないかなって…………」
【絵空】
「……だ、だって。居るんじゃないの。好きな人とか。
癒やし部の子たちにも……人気、あるんだし。私なんかと……その……勘違いされちゃうよ」
【絵空】
「ていうかちょっと思ってたんだけど。
もしかして君って、ゲイなの? 別に隠さなくてもいいよ。今どき珍しいことでもないし。
ストレートじゃないなら、あれだけ女の子に囲まれてカノジョとか居ないのも納得だし」
【絵空】
「……そうゆうわけでもない、と」
【絵空】
「ええ。変。変です。アレだけ可愛い子ばっかりの癒やし部部員たちに気に入られてて、
一度もそういう、雰囲気になったこともないの」
【絵空】
「あ、目そらした。……なるほど。そういう雰囲気になったことは、あるんだ。ふふ。なるほど。
わかりました。キミって、奥手なんだね」
【絵空】
「だったら……私、恋愛相談とか……乗ろうか。
い、いや。恋愛なんかしたこと無いけど。古今東西、恋愛は沢山の書物に描かれて来てるわけなので。
本の虫としては、勝手に知ってる気になってるよ。……我ながらダサい」
【絵空】
「同じクラスのみうちゃんとか、仲良いんだよね?
ねー。話聞かせてよー。…………恋バナとか、結構好きなタイプなのです。私。
いいアドバイスが出来る可能性もなきにしもあらずだし」
;◆声 ささやき
【絵空】
「ね……。キミの好きな女の子って……どんなタイプなの?」
【絵空】
「あ、また目そらした。君って結構照れ屋だよね。くすくす」
【絵空】
「今日は数学の勉強だけじゃなく、恋の勉強会もするということで。
ふふ。楽しくなってきちゃー♪」