Track 4

4章 彼氏トラック モノラルマイク

4章 彼氏トラック モノラルマイク ……ほんとごめんね。ちょっと遅れちゃって…。 間(ま)に合うと思ったんだけど…  (誤魔化す場面です) …う、うんっ…家(いえ)のこと色々…掃除とか… お父さんのお昼ご飯作ったりとか… 家事してたら準備するの遅れちゃって…あはは… あ、改めてごめんね?  (ここまで) …ん?ううん。別にそこまで大変じゃないよ? 小さい時からの日課だったし、もう慣れたから。 それにお父さんには毎日(まいにち)お仕事頑張って貰ってるしね。 家の事は出来るだけやってあげたいの。 …なにより…お父さんは私がいないとダメだから…。 あっ、違うよっ?ダメなお父さん。って事じゃないんだけど… その…お父さんにはもう…私しかいないから… お父さんの心にはもう…私しかいないのが…分かるから… 娘の私しか頼れる人も、信頼できる人もいないから。 …だから…だから私が、お父さんを支えてあげたいの。 …それなのに私…お父さんを悲しませるようなこと…  (小声でお願いします) だってまさか…あんなにショック受けるなんて、思わないから… 彼氏も嫌なぐらい…私のこと… エッチな目で見るだけじゃなくて…本気で私のこと…  (ここまで) …あ、ううんっ、なんでもない…! それよりほら、勉強しよ? 分からない所もあったら言(い)って?教えるから。 …うん。じゃあ始めよっか。  〈フェードアウト〉  〈フェードイン〉 ……ふぅ。結構進んだね。 ちょっと休憩しよっか。 …ん?どうしたの…? …へ、キス…? …あ、あぁ…やっぱり…そのつもりだったんだ…。 ううん。ダメじゃないよ。 …大丈夫…いいよ、しても。うん…  (ここでキス※気持ちが無くなっている事に気付きます) …ん…ちゅ…ちゅっ… …ちゅ、ちゅぅ…ん…  (ここまで)  (心の声です) …あれ…なんだろう…今までのキスと…違う…。 嫌な感じがする…。 …それに私(わたし)…今お父さんのこと考えてる… …私…お父さんとキス…  (ここまで) …あっ、へっ? ううん…!なんでもない…大丈夫…。 …え?キスの続き? …あ、ま、待(ま)って…っ! ちょっと…待(ま)って…? …キスもなんだけど…その… なんか気分が乗らないっていうか… …えっと…ごめん…。 やっぱり今日(きょう)は…ごめん。したくない。 …よく考えたらほらっ、時間も結構経(た)ってるし、ねっ? もう帰った方(ほう)がいいかなっ、て…。 …だ、大丈夫じゃないよ。 お父さん心配しちゃうし…。 もし遅れたりなんかしたらお父さん…きっと不安になっちゃうから… 夕方までには帰るって、お父さんに言(い)ってあるし…早く帰らないと…。 …へ?別に束縛されてるわけじゃないよ…? ただ…私を大切に想ってるだけ…。  (ここから不機嫌になります) …え、子離れ…?お父さんに…?なにそれ… なに言(い)ってるのっ…?必要ないよっ…そんなの…! …私(わたし)がそんな事求めてると思ってるの…? …私はお父さんと離れたいなんて思ってないし 今のお父さんの愛情を苦痛に感じた事もない…! 勝手な事、言(い)わないで…っ。 …怒るに決まってるでしょっ? お父さんの事、なにも知らないくせに… 私達の事、知らないくせに…っ …それに私は、お父さんと…ずっと一緒にいるつもりだから…っ! だから…そう言(ゆ)うこと言(い)わないで…!  (ここまで) ……やっぱり…私がお父さんを優先するの、嫌? …そう。そっか…今更そんなこと…言(い)うんだ…。 そう言(ゆ)う事、分かってくれるって言(ゆ)うから…付き合ったのに…。 …ごめん。それならもう無理だね。別れよっか。 …しょうがないでしょ?嫌なんだよね?私のこう言(ゆ)う所。 ならもう無理だよ。 …それに私も、もう君に気持ちが無いの分かっちゃったから。 だからほんと、今日で終わり。急(きゅう)で申し訳ないけど… それじゃあ私、帰るね?ばいばい。 また学校で。