Part4「肩揉みくらいなら……」
……。 ん……! やっと起きた……
おはよっ、ちょっと起きるの遅いわね……
まあ……そーゆーわたしもさっき起きたばっかなんだけど…
いつなったら起きるかな~って思いながら待ってたのよ…
にしても、あんたってば、だっらしな~い(だらしない)顔で寝てたわねー…♪
うん? 今日っ? 今日は、お休みの日だけど……?
えっ? あっ、うん…おやすみぃ――ってちょっと待ったあああっ……!
なぁ~に、二度寝しようとしてんのよっ…! せっかく目が覚めたんだから、そのまま起きてなさいよ……
も、もうちょっとだけ? ……なんか起きたときの私とおんなじこといってるし……
と、とにかく起きるっ…!
えっ、だるいの? そりゃあ……寝起きは誰だってそう感じるけどぉ……
う~~ん……。 じゃあ……わかったわよ…、マッサージしてあげるからそれでいい……?
あ、いやっ…! そのっ…、肩揉みくらいならぁ別にしてやってもいいかなぁって……
ほ、ほらっ、やってあげるっていってんだから……さっさとうつ伏せになりなさいってのっ……!
う、うん……そんな感じ……、じゃ、じゃーあ……肩さわるね…?
う、うっわぁぁ……なによこれぇ……カチカチじゃない…
これ、ホントに肩なの…? どうやったらこんなに凝るのよ……
えっと……肩もみを始める前に……、まずは肩をあったかくしなきゃ……
あ、でもそうするには蒸しタオル準備しないといけなかった……
今から準備すると、かえって時間かかっちゃうし……
その……、今日はタオルがないから、代わりに私の手であっためるようにするね…?
少しの間(あいだ)、肩にのせておくから、それであったまって…?
え? そんなんじゃあったまらない……?
うう、うるさいわねっ…! こういうのは、やってあげる気持ちが大切なの……っ!
とにかく、これであったまってなさいよね……!
……私の手の感触はどう? あんたとは違って小さくてやわらかい感じだけど……
え? 結構心地よくて気持ちいい? ふ~ん……。そう…、ならよかったわ……
たまにはこんな感じの朝も悪くないかも……♪
ふぇっ!? いやっ、なんでもない! なんでもない…!
温めるのは…、このくらいして、そろそろはじめるね……
あ、でも…いきなり揉んだら痛くなるかもしれないから、最初は…肩全体を柔らかく押し当てるように…
っと……っしょ……、指をつかって、肩の表面をゆっくり優し~く、ぐっ……ぐっ……っと……
おんなじところだけじゃなくて……、何回か押し当てたら、少しずつ場所を変えていって…
肩の端(はし)までいって……、で、端(はし)までいったら、また戻るように内側へ……
全体にいきわたるように……んっ……、っと……よいしょ……
ゆっくり押すだけじゃなくて、少し動きをはやくしながら、不規則にふんわりと肩を圧迫して……
ぐっ…ぐっ……、んしょっ……よっと……ふぅ……
う……んと、こんなのでいいかなあ~……って、お~~い、生きてるぅ~?
はぁ~…、いっとくけど、これ快眠のためじゃなくて起こすためにやってんの…
だから、そのまま起きてなさいよねえ……。じゃあ、肩もみはじめるわよ…
あんまり心地よすぎて、眠ったりしないでよね?
んっ……、っしょ……ん……、手のひらと指全体をつかって……もみ…もみ…
指先にあんまり力入らないように指の間(あいだ)をとじて、指の全体と手のひらの付け根で挟みながら……
っと……、ど、どーお? 肩が痛んだりとかしなかったりする?
こんな感じだと、大きくてやわらか~い揉み方だから、ちょっとは気持ちいいでしょ…?
よくみる、強く揉んじゃうやつだと、後々(あとあと)痛みがきて逆効果なんだってさ……
もし、私にも肩揉みするときがあったら、そういうのをよくよく考えながらしてよね…
ほら、次は、肩に円を描くように揉んであげるから、どんどん凝ってるとこ、ほぐしていくわよ
っしょ……ふっ…………ふっ……、っしょっと………ふふっ♪
もみっ………もみっ………、ぐるん………ぐるん………くすくすっ♪
っとと……! だいたいほぐれてきた感じね…
あんまりやりすぎても、かえってダメだから、程々のこれくらいにしておくわよ…
はい、それじゃあ起きるっ♪
う~ん、なに? ま~だなんかしてもらいたいの……?
はぁぁ……まったくしょうがないやつねぇ……
ん~……、肩もみみたいに簡単なやつだったら、してあげてもいいけど…?
え、ぎゅ、ぎゅぅ…? ぎゅぅ………、え、ええっ!? ぎゅぅっ?!
それって、抱きしめるってことっ!?
ば、ばばばバカじゃないの!? 朝っぱらからそんなことできるわけっ……
あっ……、それで…、ちゃんと起きてくれるだったら、してあげるけど、それでいい……?
そ、そう……、ならいいわ……。 ぜっ、絶対に起きなさいよ?
じゃあ、今度はこっちに身体向けて…?
うう……は、恥ずかしい……。 え? わわわかってるっ! うえからぎゅぅってしてあげるっ!
は、はいっ! ぎゅぅ……ぎゅううぅ……
こ、こんな感じっ…? あの…、重くない? って、そこまで私は重くないわよっ…!
あ、いやっ…! えっと……そのっ……あ~もぅ……
えっ、深呼吸? あ……うん……
すぅ~……すぅ~……、すぅ~……すぅ~……
あぁぁぁ……、なんか…落ち着いた感じがする……ふぅぅ……
それに…、あんたを抱きしめてると……、胸の奥が……すっごく……
う……ん…? なでなで…? あたまってことかな……? しょ、しょうがないわねぇ……♪
はい、なで…なで……、うふふっ♪ なんか甘やかしてるみたいっ♪
ふぅ………、やっぱりあんたって、優しいわね……
それに、ここぞっていうときに、的確なこともいってくれるし……すごいなあ……
でも、毎回そんなあんたじゃ疲れると思うから…
たまには、こういうふうに甘えてくれると……、私も嬉しい……
そ、そりゃあ……、だって……あんたのことが……あんたのことが……
えっと……えーっと……っ! す、すすす……す…き……だから……しょうがない……じゃないっ……!
だ、だから……これからも……、えと…あんたと……一緒にいてあげるから……その……
って…、人の話きいてる? きいてるんだったら、返事くらい……、あ…
ちょ、ちょっとぉ…、起きてる……? もしもぉ~~し……?
はぁぁ~~……寝ちゃってるし……
あ~もぅ……、何で人が懸命に気持ちを伝えてるときに寝てるのよぉ~…、まったく……
ん~…、でも…そういうとこも、あんたの好きなところだから、いいんだけどね……
えと……、寝てるん…だよね…? じゃあ、寝ていてもわかるように、今の気持ちを簡単に表すと……
んっ……ちゅっ…、んっ……んーっ、んんっ……ちゅるんっ……
ふぅぅ……、こういうことなんだから……って、ふぇっ?
ふああぁあぁぁああっ!? ちょ、ちょっとっ、あんたいつから起きてたのよっ?!
ねねね寝たふり!? ば、ばっかじゃないのっ!?
じゃあさっきいったことも、キスしたことも……! はわわわわっ……!
むぅ…、ほらっ、眠いんでしょ? 私もあんたの二度寝に付き合ってあげるから、さっさと寝るわよっ…!
え? さっきの言葉がよく聞こえなかったらもう一回? なななんでもないってばっ!
わたし、眠いんだから先に寝るわねっ、おやすみっ! 知らないっ、じゃーねっ! ふんっ!
………ぁ……。 しゅきぃっ(好きっ)……くすすっ♪
(おわり)