センパイ…これ、何ですか?
ね…せ、先輩?
お昼、美味しかった?
そ、そっかぁ…よかったぁ…
私、一杯頑張って作った甲斐があったよぉ~
その為に、一杯練習もして、先輩の好みも全部把握してっ
…もう付き合って三か月と九日、だし…
あ、さ、さっきも聞いたって顔してる…あはは…
で、でも…
亜衣花(あいか)としては、彼氏さんの美味しい、とか、嬉しい、って感想を、たくさん聞きたいんですっ…
だから、もっと、その…言って、くれますか?
「君の凄く美味しかった、もっと一杯君のを食べたかった、これからも僕の為に一杯食べさせて?」って…
そしたら、私、もっと先輩が美味しいって言ってもらえるご飯、作るっ…
だって、将来も、ずっと作り続けるし…
それに、お昼前にしてたイチャイチャも…
「まだまだ足りないから、もっと一杯したい、我慢できないからしちゃうね?」って…!
先輩がして欲しいなら、私、いくらだって先輩に答えてあげます
ね、先輩…
え…
教えて欲しいのは、勉強のほう…?
む、むぅ~…あんまりムードがなくなっちゃうこと、言わないでっ…
でもっ、周りも気にせず体をくっつけ合いながらするお勉強は格別…!
勉強してるのに、デートもしてるみたいで、お得…
それに先輩も私と付き合って、成績があがったよねっ
普段の小テストも定期試験も…
ちゃんと先輩にも教えられるくらい頑張ってるからっ
先輩が補習なんかにかかって私たちの時間を奪われるのは、ヤだから…
だから、その…午後も、くっついてお勉強、しませんか…?
ほ、ほらっ、普段なんか、そもそも学年が違うから寂しいし…
なんで飛び級とかないんだろ…
飛び級制度があったら、すぐにでも先輩と同じ学年に上がるのに…
そしたらずっとずっと一緒にいられる…
ふふ…クラス替えも席替えも全部操作して常に先輩の隣にいるのに…
…え?最初はおとなしかった?
いや、今もそんなに変わらないかなと…
えへ、へ…そうかな…
前よりも積極的になれた、って、ことかな…
でも、私的には、今も前もそんなに変わらないような気が…
私から告白もして、先輩からオッケーって言って貰えて付き合ってるわけだし
先輩だって、イヤだったらすぐに別れるよね?
だけど、三か月と九日も続いて、まだこうしてお家デート…♪
ん?どこか行きたいって?
ううん、私はどこでも…
先輩と一緒にいられるなら、どこへでも♪
…って、こういう曖昧な答えだと逆に困っちゃうんだっけ、えへへ
つい…先輩といられるなら、私…
でも、んー…私は正直…
一生お家デート…
ううん、永遠にここで過ごしても構わないっていうか…
…あっ、でもそれじゃあ、先輩に飽き飽きさせちゃう…
そうだ、お勉強じゃなくって、動画でも見よ?
先輩のスマホで、一緒に…どう?
んふふっ、それじゃあ、先輩が面白いって感じるの、見せて?
私、それまでジュースでも入れてくるから…
えっ、今の…
女の声がしたよね…
先輩?
そのスマホから、今、女の声が聞こえたよね?
しかもすっごい綺麗な声…優しそうな声…
ねぇ、どういうこと?
もしかして私以外の女の声だよね?そうだったよね?いつのかな?楽しそうだったよね?デートかな?遊園地?ショッピング?お家?
まさか…ここに連れてきたかなぁ?
そしたらどこかに女の髪の毛落ちてるよね?
しょうがないなぁ…先輩、今日は悪いけどデートは中止ね?
今からその女を見つけなきゃいけなくなっちゃったから…
ごめん?
なんで謝るの?わけわかんないなぁ…
浮気した先輩はまた後でね
…んぇ?音声、作品?
んっ、んん?どういうこと?
フィクション?
先輩の趣味で聞いてた、作品…
あー…なんとなく、分かった気がする…
つまりー…えっと、その女性の声を聴いて、先輩は癒しを得る、みたいな
なるほど…
はぁ、良かった…もしかして先輩、本気で浮気してたのかなって…
そ、そっか、そうしたら浮気、では、ない…?
で、でも…
いくら作品のだからって、私以外の女の人の声を聴いてるのは、なんだかイヤ、かな…
だって先輩、私がいれば良いよね?
先輩がいつでも触って、頼りにできる女の子は私がいるよね?
なのにやっぱり、そういうのに頼ってるのは、ちょっと黙ってられない…
だってこれ、女の人が囁いたりしてくれるだけだよね?
私だったら囁くのは勿論、直接耳に唇を当てれるんだよ?
しかも、そんなことしなくても、先輩をぎゅーってできるし、お昼ご飯だって作ってあげるし、彼女らしいことだって、その…してあげてるし…
先輩がそんなのに依存する必要、ないよね?
まぁ、いいや
先輩には、彼女である私が一番なんだってこと、わからせてあげる
スマホ、貸して?
先輩が買ったその音声作品、全部見るから
その全部より私の方が上だって証明できたら、先輩も私のところに帰ってきてくれるよね
…ね?
はい、お利口さんです♪先輩は素直だから大好きです♪
それじゃあ…先輩の、見せてもらうね♪