【取り調べ前にリラックス【催眠導入】】
白)じゃあ、ボク♡
取り調べの前に、少しリラックスしましょうか。
甘)いきなり警察所へ連れてこられて、緊張しているものね。
だから、少し体の力を抜きましょう。
白)何も難しいことはないですよ。
ただ、ゆっくりと、呼吸をするだけ。
深く息を吸って、ゆっくりと息を吐く、深呼吸を。
最初は、お姉さんたちの声に合わせて。
ほら、吸って~~。
甘)ゆったりと、ゆっくりと、呼吸。
吐いて~~。
白)そう、ゆっくりと酸素を取り込むように。
吸って~~。
甘)呼吸を、繰り返す。深い、深い呼吸。
吐いて~~。
白)呼吸と、共に力を抜くように。
吸って~~。
甘)リラックス。リラックス。
吐いて~~。
白)深く、深く、体の中へ。
吸って~~。
甘)頭の中の力も、抜くように。
吐いて~~。
白)そのまま、ボクのペースでゆっくり続けて……。
そう、ゆっくり、ゆったりと。
ボクのペースで、深く深く、深呼吸。
甘)ボクは、呼吸にだけ、意識を向ける。
息を吸って、吐くことに、意識を向ける。
頭の中を透明に、透き通らせるように。
白)考えていることが、吐息へと流れ込むように。
私たちの声は、ボクの……。
甘)無意識が聞いていてくれる。
ボクの心の奥でお耳が聞いてくれる。
ボクは、呼吸に。ふわふわとした心地で。
意識を呼吸へ。
白)眠ってしまうような。
そう、穏やかな心地。
呼吸に力が流れ込み、意識が深く沈みこむ。
甘)すると、頭の力がだんだん小さくなって。
また、浮雲みたいふわふわと。
落ちる水のように、透明で。
白)理解できない。しない。
トロンと、蕩けた思考に。
響く声。
甘)頭の中で反響、共鳴。
考える力が、
抜ける。抜ける。
白)すると、体の力が抜ける。
抜けるとはリラックス。心地いいこと。
それは、自然と、どこまでも近く。
滑り込んでくるように。
甘)ボクの体へ流れ込む。
ゆったりとした心地に身を任せ。
声に従う。響く声に。
誰の声か?誰の声でもいい。
白)身を任せるのは心地いい。
ガラス瓶のように透明で。
心地の良さに力が抜ける。
甘)呼吸と共に力が、抜ける。
さぁ、まずは肩。
右から。右の肩より抜ける。力が。
白)それは雨だれより零れる雨のように。
湿って、とろっとした緊張。
抜ける。抜ける。
なぞるように腕を流れるように。
甘)抜ける、が伝う。右腕、肘、手首。
伝う。流れる。
指先までずっと、遠くにあるように。
そして、ぼんやりと、まどろむ。
意識が夢の海面でまどろむ。
右腕の力が……。
抜ける。抜ける。
白)落ちるように。スッと布が滑り落ちる。
絹が滑る。肌着を脱ぐように。
落ちる。落ちる。
右腕が沈み込むように落ちる。抜ける。脱力。
甘)さぁ、今度は左腕。
丁寧に、脱ぐように。落ちるように。
まずは肩から。
肩の力。同じように、また違うように。
固まった形が飴細工のように蕩け。
白)同時に左腕が、肘が。
伝わる。すべる。
手首の力が、指先の感覚が。
ふわりふわりとまどろみ、ふわふわとたゆたうように。
浮かび、沈んで……。
抜ける。抜ける。
甘)両腕が脱力。肩から沈む。
意識が泥の中へ。白い白い。
透明で、どこまでも澄んだ白へ。
溶け落ち。
白)曖昧な感覚に導かれて、
体が、一緒に落ちていく。
そう、胸の力が、ドプンと。
抜ける。
甘)すると、胸の反対側、背中も落ちるように。
抜ける。落ちる。
波紋のように広がる、とろんとした感覚。
背中へ輪を描き、広がる。
そして、
抜ける、抜ける。
白)甘く蕩けて、落ちる感覚。
重力に従い、下へ、下へと。
沈むように、背中が、胸が。
引きずられるように……。
甘)腰が、落ちる。沈む。
そう、抜けるように、脱力。
白)理解力がさらになくなる。
それは脱力と、共に。
あたま一面を包む、安心感。
浮かぶような陶酔感。
甘)上半身が水面(みなも)に、体が落ちるように。
そう、落ちるように。どこへ。
どこへ、と。
どこでも、いいよね。
白)穏やかな場所。ボクの望む場所。
ほら、下半身もいっしょに。
抜ける。抜ける。
甘)落ちる。落ちる。
腰を伝わって、太ももへ。そして、ふくらはぎへ。
右も、左も、一緒に。
白)呑み込まれるように。吸い込まれるように。
太ももから、ふくらはぎから抜ける。
力が抜けて、足先までも。
とぷん。
甘)とぷん、と。
そう、
沈む。落ちる。
抜ける。抜ける。
白)そう、ボクは呼吸をしているだけで。
甘)どこか、遠くて、近い。
深くて、でも安心できる。
白)そんな場所へと堕ちていく。
暗くて、暗くて、優しい場所へ。
さぁ、ゆっくり、ゆっくり。
甘)まどろみながら、夢の中へ。
優しい、安らぎの暗闇へ。
白)10、8、6、4、2、
甘)9、7、5、3、1、
ゼロ