第22話 実験30日目(日)
ネル子 「……今日で30日目です……最初は来ないで欲しいと思った日、その次は少しでも早く望んだ日
……そして今は……」
ネル子 「もう私にもよくわかりません。ならいっそ、部長に思いをすべて伝えてしまいましょう……
私の……本当の気持ちを……来ましたか……」
緊張した面持ちのネル子
ドアが開く
ネル子 「こんにちは、部長……って何呆気に取られてるんですか?あー、メイド服じゃないから。メイド
は昨日で引退しました。もう必要ないハズですから」
ネル子 「……部長、こちらに来てください。お話があります」
ベッドに座る二人
ネル子 「……んっ、すいませんね、ベットに腰かけてお話なんて、最初はそこのテーブルででもお話しよ
うと思ったんですが……やはり私は部長の隣が落ち着く様です」
ネル子 「思えば私は部長の隣が定位置でしたね。ゲームする時も、勉強教える時も、一緒に帰る時も……
それが当たり前だって思ってました」
ネル子 「でも、この30日間は違いましたよね?」
バレたと動揺する主人公
ネル子 「部長は私のためにずっと尽くしてくれました……いつもは隣にいる私を全力で真正面から抱きし
めてくれました……私、とても嬉しかったです……こんなに幸せな日々があるんだろうって有頂天でした……」
ネル子 「でも部長に迫られた時、気づいちゃったんです。これは部長の本当の気持ちじゃない、全部
作り物だって……そしてそれは、私が望んだからそうなってしまったものなんだって」
ネル子 「……おかしいですよね?自分が望んだはずなのに」
ネル子 「でも、どうしたらいいかわからなくてずっと悩んでました……ただ時間が過ぎればいいって塞ぎ
こんだ時もあります……お姉ちゃんに心配されたり、クゥ子に元気付けられたりして色々あって、でも、ちゃんと言わなきゃと思って……あー、もう訳わからないですよね……私だってわかんないですよ!」
ネル子 「だから部長、たとえどんな結果になってもこれだけは伝えたいんです……私は部長にホレ薬を
盛りました……本当にすいませんでした……」
しばしの間?
ネル子 「……は?」
ネル子 「は?って何ですか?は?って、いくら私が悪いからと言ってその間の抜けた返事は酷いです」
ネル子 「何のことって、看病の時食べさせたセッキョクテキニナールがホレ薬で、その効能で部長は私と
ラブラブになって、その効果が30日で今日で切れてって、何大笑いしてるんですか!小学生かって?部長?部長!?」
ネル子 「いい加減にしないと、ガンジーでも助走つけて殴りますよ!……じゃあ、じゃあ、なんで部長は
ここ最近ずっと私とラブラブしてたんですか?」
ネル子 「……私が望んでいたからって、やっぱりそれホレ薬の効果じゃないですか!部長がそんなことす
る理由なんてないじゃないですか!それともアレですか、ドッキリみたいな奴ですか?流石に部長スキーな私だって激おこナントカですよ!」
ネル子 「違う……ずっと私の気持ちに応えたかった……なんでそんなことしてくれるんですか?(ちょっ
とスねてる)」
ネル子 「彼氏だから……ですか……」
ネル子 「むーっ……くすっ……はー、部長はまったく女の子の扱いがわかってないんですね。そういう時
は『好きだから』とか言って抱きしめとくのが定石じゃないですか。何、馬鹿正直に答えてるんですか?これだから私はいつもモヤモヤしてるんですよ?」
ネル子 「いーえ、謝るのはこちらです……私はそんな部長にずっと助けてもらっていたんです……それに
全然気づけませんでした。こんな事になって、たくさん悩んで、はじめてそれがわかったんです」
ネル子 「ふふっ、部長はわからなくてもいいんです♪」
ネル子 「はー、それでもまだ謝りますか……じゃあこうしましょう、私は黙ってホレ薬を食べさせた事を、
部長は私に黙ってイチャラブしたことを、それぞれ謝るってのはどうですか?」
ネル子 「おっけーですね。では……せーの」
二人 「「ごめんなさい」」
ネル子 「はい、これで今回の事はチャラですね♪……ところで部長?今更なんですが、なんで自分から手
を出してきたり、出さなかったり反応がランダムだったんですか?イチャラブしたいなら迫ればいいのに、そこだけナゾなんですよねー」
ネル子 「へ?そもそも、前提が違いますか?イチャラブじゃなくて、私のお願いを聞いてくれてたんです
か……ちょ、ちょっと待ってくださいね。思い出します……んー……デートの時……イチャイチャの時……た、確かに……なんか部長、妙に……私の意思を確認してましたね……あー!そ、そういう事だったんですか!はー……ネタがわかってしまえば何てことないですね」
ネル子 「あ……あの……え、延長とかできますか?(チラッ)」
ネル子 「な、いいじゃないですかー!30日やったならもう立派な習慣じゃないですかー!えーい、
こうなれば最後に勢いで家庭教師と教え子プレイでも……ぎにゃああああ」
アイアンクロー
ネル子 「はいいいいぃ。そうですね、さっきでチャラでしたぁぁぁ。アイアインクローはやめ……やめ…
…」
離す
ネル子 「……ひっく……ひっく……やっと『アレ』が返ってきました……ひっく……ぐすっ、ぶひょー」
抱きつくネル子
ネル子 「ぐすっ……ちが、違うんです……ひっく、ひっく、うれひくて泣いてるんです……もう帰って
これないかもって……私が壊してしまったんだって……そうじゃなかったんですね……部長は、ずっと部長のままでいてくれたんですね……ひえぇぇぇん」
ネル子 「……ぐすっ……いーえ、部長はわからなくていいんです……やっぱり私はそのままの部長が一番です」