Track 6

06 - 朝一

 ……んぅ?  いつの間に朝に。  こんなところで二人揃って寝るとか危機感なさすぎでしょ。  身体は? 大丈夫なんですか?  ……は? アオの実飲んだのはあなたじゃないんですか?  ……あれ……。  四つ足から逃げてどうなったんでしたっけ。  ……まぁ死んでないなら細かいことはどうでもいいです。  ん……。  なんか濡れてるんですけど。  気持ち悪。  なんですかこれ。スペクテイターの体液?  あなたが殺したんですか?  ……じゃあ四つ足に踏みつぶされたのかもしれません。  っていうかそっちに人倒れてるんですけど。こわ。  …………。  死んでますね、三人とも。  四つ足に踏みつぶされたんですかね。  ……どうしたんですか。  ん……?  ……アオの実飲んだあとの事ですけど、あなたも覚えてないんですか?  やっぱりあなたが飲んだんじゃ?  ……それも覚えてないんですか。  ま、いいです。  この人ら冒険者みたいですね。  使えそうなもん貰っていきましょう。  ……別にいいでしょ。こういう時はお互い様ですよ。  私たちもいつ死ぬか分かんないんだから。  ……は? 私の髪に?  ……ホントだ。髪に眼球ついてました。  急いだほうがいいかもしれませんね。  虫影はスペクテイターの眼球を食べるんですよ。  あなたも私も、スペクテイターの体液がベッタリ付いてます。  陽が落ちたら虫影に食い殺されるかもしれません。  ……あらかた詰め終わりました。  出来ればこの人達の靴を貰いたかったんですけど。  全滅ですね。  私たちの靴にもスペクテイターの体液染み込んでるでしょ。  体液付いたのが服や外套だけなら脱いで凌ぐことも出来ましたけど、さすがに靴脱いで山歩く訳にはいかないんで、もうこのまま履いて行くしかないですね。  あなたの格好も結構ヒドいですね。  まぁあなた自身がヒドいんで似合ってますけど。  この人らの服からマシなの選んで着替えます?  ……そうですね。スペクテイターの体液以外にも色々付いてますからね。  じゃ、さっさと行きますか。  ……。  どうしたんですか。村に戻りたいんですか?  ……ふぅん。  行きますよ。