07_せめて今夜だけは···
~王都まであと少しの所まで来た2人~
勇者様、この街を越えて次の森を抜けますともう王都でございますね。
長かったはずの旅路もここまでくると短く感じます。
勇者様、覚えておいでですか?
あそこの宿…
ええ♪
私たちが冒険を始めて、最初に泊まった宿です。
この街で一番安価な宿なので、壁がとても薄いのですよね。
隣の部屋にいる勇者様の息遣いが聞こえるほどでしたから。
あの頃は、それだけでドギマギとしていました♪
私も、とても初心でしたね。
ふふ♪
今では勇者様の隅から隅まで…知っていますのに♪
ね、勇者様♪
くすくす♪
このまま行けば本日中に王都へ到着してしまいますが…
本日はあそこの宿で一泊…していきませんか?
王都に着けば今より一緒にいる時間は減ってしまうでしょうし…
それに…
私、本日はとても体が火照っておりまして…
もう我慢できそうにないのです♪
如何いたしますか?
ふふ。
はい♪
それでは早速、宿屋に向かいましょうか♪