5回目
<正面 普通>
はい、今回のメニューはタケノコの炊き込みご飯とチンジャオロースです。
美味しそうなタケノコが売っていたので、ふんだんに使ってみました。
あっ、実際にやわらかくて美味しいタケノコでしたよ、ふふっ。
ところで、お兄さん、提案なのですが、私の味付けが口に合うようでしたら、次回からエッチした後に、私のアパートで一緒に夕食を食べていくというのはいかがでしょうか?
持って帰るのが前提ですと、作れるメニューが限られるんですよねー。
1人前でも、2人前でも作る手間はほとんど変わりませんから。
ちゃんと、今まで通り、お土産も別のメニューで用意しますよ。
そうすれば、2食分の食費が浮くので私としても大助かりです、ふふっ。
どうでしょうか?
はいっ、では次に来る時にお箸と食器を用意してください。
ふふっ、腕によりをかけて作りますので、お腹をすかせて来てくださいねー。
それと、お借りしたライトノベルです、ありがとうございました。
ええ、面白かったですよ。
ん~、そうですねー、まあ、一般的な小説と比べると、確かに描写やディテールやテーマなんかはもの足りない感じはしてしまうでしょうね。
でも、その代わり、分かりやすくてテンポよくスラスラと読めますし、キャラクター性や展開の盛り上がりなどは、エンターテイメント性があってすごくいいと思いましたよ。
お風呂のお湯張りをしながら読んでいましたが、キリがいい所まで読んだらお風呂に入ろうと思っていたら、最後まで読んでしまってお風呂がぬるくなっちゃいました、ふふっ。
それに、晴れ晴れとしたハッピーエンドなのがいいですよね。
私の好きな作家は、もやっとする問題提起みたいな終わり方が多いですから。
久しぶりにハッピーエンドを読んで、やっぱりいいなって思いましたよ。
私としては、ハッピーエンドを書くのはどうも苦手でして、ついついシンデレラって10年後も幸せなの? とかケチつけちゃうんですよね。
ハッピーエンドの作品を書かなくてもいいかもしれませんけど、そもそも書けないというのは問題があると思うんですよねー。
私の課題です。
そんなのもあって、楽しめましたし勉強になりましたよ。
んっ? 意外な感想でしたか?
確かに文学作品の方が高尚でしょうけど、高尚さしか評価基準が無いなら、哲学書でも読めばいいと言うのが私の自論です。
色んなジャンルがあるんですから、色んな評価基準があってもいいと思いませんか?
ですから、このライトノベルも対象とした読者にとってはすごくいい小説だと思いますよ。
ふふっ、感心してもらえましたか、嬉しいです。
ふふっ、これが私の専門分野ですからね。
身につけるべきは偏見ではなく、先入観に囚われない審美眼だと思うのです。
ところで、お兄さん。お兄さんって、胸の大きい子がお好きなんですか?
いえ、このヒロインの子がありえないサイズをしているので。
(冷ややかに)んっ? お兄さん、今、私の胸を見ましたよね?
それって、どういう意味ですか?
どうして目をそらすんですか? こっちを見てください。
(嬉しそうに)えっ? 私のオススメの本ですか、読書家にそんな事を聞いちゃっていいんですかぁ、ふふっ。
そうですねー、ライトノベルがお好きでしたら、まずはこれなんてどうですか?
貴志祐介【きし ゆうすけ】の『クリムゾンの迷宮』です。
エンターテイメント性がとても高いので楽しめると思いますよ。
同じ作者の別の作品の方が好きですけど、そちらはゆくゆく。
ところで、お兄さん、次の巻は持って来てくれたんですよね。
えっ、持って来て無いってどういう事ですか?
5冊くらいまとめて持って来てくださいよっ、む~っ。
<右 近い 囁き>
んっ、ねぇ、お兄さぁん、私、もう我慢できないんです。
早く私を抱きに来てくださいね。
(頬にキス)チュッ、ふふっ。