【0】プロローグ
(プロローグ)
こんにちは。
あぁ、そのままで。起きられなくても結構ですよ。
本日から担当医になりました桜井遥(はるか)です。
どうぞよろしくお願いします。
患者さんは当院への入院は初めての経験となりますね。
すでに一通りの説明を受けられているとは思いますが、実際の入院生活で何か分からないことや不具合などがありましたら遠慮なさらず、すぐに担当ナースか婦長までお申し付けください。
具体的な治療方針や治療内容、療養スケジュールなどに関しては私のほうまで。
それから、基本的に外来(がいらい)患者さんの場合を除き、このような回診(かいしん)で治療を進める形を取らせてもらっています。
患者さんには移動の手間を煩(わずら)わせることはありません。
何か質問などはありませんか?
○△×□。(患者)
「手術」ですか?
いいえ、私は体にメスを入れる治療方法は採(と)らないつもりです。
もしどうしてもと仰(おっしゃ)るようでしたら、オペの準備も可能ですが…。
ただその場合、どんなに注意深くミリ単位で包皮(ほうひ)を切除できたとしても、そこを縫い合わせた跡は必ず残ってしまいますし…。
それにもう一つ…。
ぁ…いえ、これは…なんでもありません。
いずれにしても、あまり御薦め出来る方法ではないのは確かです。
それよりも体を傷めず、自然に完治させる方法があるとしたら、そちらのほうが良いとは思いませんか?
……。(患者)
幾分、心配をされているご様子ですが…。
大丈夫ですよ。
最初は特殊な治療方法にやや戸惑いを感じられるかも知れませんが、
じきに馴染(なじ)んで来ると思いますので、安心してください。
んふふ。
……。(患者)
他には何かありますか?
もし無いようでしたら、早速簡単な診察と治療をしておきます。