ノーカウント
(チャイムが鳴らされる)
<正面 遠い 後ろ向き>
(風邪っぽい感じで)ふわぁ~い、どちら様でしょうか?
って、お兄さん!? ちょっと待ってください。
(ドアを開ける)
<正面 普通>
お兄さん、風邪だって連絡したじゃないですか、39度あるんですよっ。
もぅ、どれだけ性欲強いんですか。
って、あっ、お見舞いでしたか、それは失礼いたしました。
差し入れを持って来てくれたんですか。
えっと、風邪薬と、栄養ドリンクと、スポーツドリンクと、のど飴と、プリン。
ありがとうございます、外に出られなかったので、助かります。
お金、払いますよ。
本当に、いいんですか? もらってしまって。
あっ、はい、ではありがたくちょうだいします。
ふふっ、なんだかお兄さんが頼もしく見えます。
う~ん、他に必要な物ですか~。
ねぇ、お兄さん、本当になんでもいいんですか?
でしたら、そのー、本、お願いできますか?
いいじゃないですかっ、今日が発売日なんですよっ、朝一番に本屋さんに行こうとずっと楽しみにしていたんですっ。
(うれしそうに)えっ、本当ですか、ありがとうございますっ!
さすがにこの分はお金を払わせてください。
はいっ、これでお願いします。
書名や出版社はスマホに送っておきますね。
ふふっ、楽しみです。
(チャイムが鳴らされる)
<正面 遠い 後ろ向き>
は~い、お兄さんですか?
お待ちしておりましたー。
ドア、開けますね。
(ドアを開ける)
<正面 普通>
わぁ、そうですっ、この本ですっ、やったー、ありがとうございますっ。
ふふっ、プリンを食べて、風邪薬と栄養ドリンクを飲んだら少し楽になった気がします。
待望の新刊も手に入って元気も出てきましたっ。
これで、さっそく読めますねぇ、ふふっ。
あはは、そのー、助けてくれたお兄さんの為にも早く治すよう心がけますよ。
ですから、
<左 近い 囁き>
んっ、自分でしたりしちゃ、ダメですよ。
全部、私が抜いてあげますから、ふふっ。
お兄さんに、うつすといけないので、今日はこれで我慢です。
(頬にキス)チュッ、ふふふっ。