75回目 その1
(ドアを開ける)
<正面 普通>
お兄さん、いらっしゃいっ。
ふふっ、お兄さんが来る所、窓から見つけましたから。
あっ、ケーキを預かりますよ、冷蔵庫に入れておきますね。
こちらはー、ああ、言っていたステーキ肉ですか、見るからに高そうな入れ物に入ってますね。
へー、これが噂のシャトーブリアンですか、初めて見ました。
小さくて、丸っこい形をしているんですね、でも厚みがありますし、サシがすごくきれいです。
値札が付いていないあたりに恐ろしいものを感じますねぇ。
本当に、こんなにいいお肉、私もいただいちゃっていいんですか?
ふふっ、そうですね、2人で食べた方が美味しいですよね。
それでは、ご相伴にあずかります。
せっかくいいお肉ですから、ミディアムにしてみましょうか。
お兄さんも、それでいいですか?
では、焼いておきますので、お兄さんはシャワーを浴びてきてください。
あっ、ニンニクは使っちゃっても構いませんか?
まぁ、二人ともニンニク臭かったら気になりませんよ、多分ですけど、ふふっ。
それに、ニンニクを使った方が美味しいですよ。
分かりました、ではいっぱい使っちゃいますっ。
(浴室から出てくる)
<正面 普通>
お兄さん、ちょうどいい所で出てきましたね。
こちらが、シャトーブリアンです。
普段は鶏肉か豚肉ばかりですからねー、ホイルで包んで休ませるとか初めてやりました。
さて、うまく焼けているでしょうか?
よっと、あっ、断面がきれいな色になってますね、良さそうな感じです。
では、お兄さんのも切っちゃいますね。
はい、できましたよ、お兄さん、席へどうぞ。
それでは、カップを持ってください。
せーのっ、メリークリスマス、かんぱーいっ!
(一口飲む)んっ、は~、いい香りです、あったまりますねー。
ふふっ、グリュー、ホットワイン、のもどきです。
ぶどうジュースに、シナモン、クローブ、スターアニス、ジンジャーを入れて温めて、オレンジとレモンを浮かべた物です。
ワインで作る場合は、ハチミツやお砂糖を入れるみたいなんですけど、試しにぶどうジュースで作ってみたら入れなくても十分甘みがありそうなので無しにしてみました。
まぁ、私、お酒苦手ですからねー。
ふふっ、こちらの方がジュースやお茶よりも、クリスマスの雰囲気出ませんか?
(一口飲む)んっ、ふぅ、美味しいです。
お兄さんのお肉も冷めないうちにいただきましょうか。
どうですか、上手く焼けていますか?
ふふっ、お兄さんも食べるの初めてでしたか、思わず声が出ちゃうくらい美味しいんですね。
それでは、私も一口。
(食べる)あむっ。んーっ、やわらかーいっ!
わぁ、お肉が口の中でとけるってこういう事なんですね。
大げさに言っているとばかり思っていましたが、本当にとけちゃう感じです。
美味しいですねー。
実は私、牛肉って乳臭さを感じてしまってちょっと苦手なんですよね、舌が安物なんでしょうか?
でも、このお肉は半生でも全然臭みを感じません。すごく美味しいですっ。
ごちそう様でした、貴重な物をいただきありがとうございます。
ケーキを冷蔵庫から出して来ますね、飲み物は玄米茶でいいですか?
はい、どうぞ。
ケーキの箱、開けていいですか?
わぁ、イチゴがたくさん載っていますね。あっ、サンタさんのロウソクが入ってます。
ふーって、消すのやってもいいですか?
電気消しますねー。
ふふっ、こうすると雰囲気出ますね。
それでは、いきますよー、(息を吸う)すぅー。
<右 近い 囁き>
(耳吹き)ふーーーーーっ。
(わざとらしく)あっ、間違えちゃいました、んふっ。
<正面 普通>
気を取り直して、ふーっ。
ふふっ、今度は消せました。
ケーキなんて久しぶりです。
(ケーキを食べる)あむっ、んーっ。やっぱり美味しいですねー、ふふっ。