Track 17

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463回目

<正面 普通> (そっけなさそうに)お兄さん、突然ひざまずいて、卒業に合わせてプロポーズですか? 推測通りみたいですね、そんなベタな展開、小説だったらボツにされちゃいますよ。 なに固まっているんですか? 次はポケットから指輪、出すんじゃないんですか? あらあら、こんな立派な指輪を買っちゃって。 お兄さん、よく考えた方がいいですよ、零細小説家なんて経済力に期待できませんよ。 そんな女でもいいんですか? ふふっ、そうですか、私じゃないとダメなんですか、お兄さんも苦労する人ですね。 あー、なんだか、次はハッピーエンドのお話を書ける気がしてきました。 書けたらまた読んでもらえますか? そうですねー、女の子と年上の男性の話です。 やっぱり女の子はピンチから救ってくれるヒーローに憧れるものです。 というわけで、やさしくて、頼りがいがあって――、かわいい女の子が、童貞のお兄さんを助ける話です、ふふっ。 というのは、別の機会にしておきましょうか。 ダメですよ、お兄さん。ネタバレは禁物です、せっかくの大作が楽しめなくなってしまいます。 期待していてくださいね、お兄さんを驚かせるような、面白い話を書いてみせますから、ふふっ。 ところでお兄さん、いつまでそんなみっともない格好をしているつもりなんですか? ひざ、汚れちゃいますよ。 ほら、手を貸しますから、ちゃんと立ってください。 あー、返事がまだなんでしたっけ? (腕を引っ張る)えいっ、 <正面 近い> (唇にキス)チュッ。 <右 近い 囁き> (うれしそうに)んっ、1時間1万円の関係は終わりですね、ア・ナ・タ、ふふっ。

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