【5】エピローグ
(エピローグ)
あ、患者さん。
遠くからでもすぐに分かりましたよ。
退院されて以来、ひと月ぶりですね。
今日は外来(がいらい)のようですが…。
何かご相談にでも?
……。(患者)
ん…。
ペニスをどうかされたのですか?
○×△□。(患者 小さくしてください)
え…もう一度、小さく?
また包茎に戻したい…?
それは…。
どうしてですか?
あんなに大きくむけた逞(たくま)しいペニスに…憧れていたのに…それを急に…。
○×△□。(患者 甘えられない)
女性に甘えられない…。
包茎の頃のほうが、いじめられ甲斐があった…と。
ん…そうですか、やはり患者さんもそうでしたか。
実は退院後、そう言って来られる患者さんが大勢いて…。
いえ、全員ではないのですが…。
他のドクターに比べ、私が担当した患者さんの場合はとくに。
何故か半数くらいは包茎に戻せと…。
おかげで院長先生には毎回怒られっぱなしなのです。
……。(患者)
でも残念ながら、短小にはもう…もとには戻せません。
包茎と早漏のほうであれば、何とか可能かも知れませんが…。
退院の記念にこっそりお渡しした包茎矯正リング、あれには向きがあると、そう言っておきましたよね?
今度は皮を亀頭の先端方向にかき集めて…。
そして治療時とは逆向きにリングを装着するのです。
うまくいけば、それでまた仮性包茎に戻すことが可能なはずです。
そうなれば同時に亀頭が湿り、また粘膜が弱くなって…早漏状態に近くなります。
私が包皮の切除手術を御薦めしなかったもう一つ理由は…。
もとの包茎に戻す余地を…そういうことも可能なためにと。
あぁ…患者さん、待って下さい…。
患者さんには特別にこれを…。
(何かのメモを差し出す)
私のプライベートな携帯番号とメールアドレスです。
包茎に戻すトレーニング…一緒にやりませんか?
……!(患者)
この病院とは全く関係のないところで…。
こんなことは、誰にでもしているわけではないのですよ。
本当に患者さんにだけ。
(ピピピピ)
あぁ、呼ばれました。
仕事がありますので、私はこれで。
連絡、お待ちしています。
それではまた、ふふ。
(テーマBGM)