導入

　あ～どうもどうもこんにちはぁ。はぁもうごめんねぇ……。なんかうちのバカ達がぁ……無理矢理君をはかせようとしてたって聞いてさぁ……。うん、もうそういうのって今の時代には合わないから……。やったかやらないかわかんない人を……精神的に追い詰めてじきょうさせちゃうなんての……。 　ほ～んとやんなっちゃうわよねぇ……。疑わしきは罰せず。そういう人として当たり前のことができないなんてねぇ……。はぁ～ん……お姉さんも長くこの仕事してるけど、頭の凝り固まった連中にはほとほと困りきっているのよねぇ……はぁ……。 　とと、お姉さんの愚痴はこのぐらいにしてとぉ……。え～っとはい君。う～ん……ふんふん……、電車の中で……痴漢しちゃって……それで……はぁ……。ん～うんうん、も～最近よくあるのよねぇ～この手の案件。も～女の子様が、この人痴漢です！　っていうだけで男性の人生を終わらせることができるんだから……。 　うん、そんなのってないわよね。ん……わかるわかるよ。君の顔を見てればわかる。君はそんなことする人間じゃない……。ちょっと運が悪くてとばっちり……。ねっ？　そうなんでしょ？　ん？　そうなのね……？　本当に……何にもしてないのね……んっ……うん……。 　ほらもっと正直にお姉さんの目をまっすぐ見て……僕はやってません……。そう……やってない……僕は……。んっ……うん！　もうわかったわ。お姉さん……君のこと信じるわ。君の味方よ……。うん大丈夫よ……周りは敵ばかりじゃないわ……。 　君は絶対にやってない。そう主張してれば無罪ほうめんだわ。うん……安心して、今現在のシステムなら、女性側の意見だけで有罪になったりしないから……。ちゃんとしたしょうこもないし……何か主張もあいまいだしね……。お姉さんが君の味方をしてあげる……。 　ほら、だからぁ……もう気を楽にしていいんだよ？　君は今からでもすぐにおうちに帰れるから……。うん、お姉さんは嘘つかないから……ねっ。この書類にちょこちょこって記入すればいいだけだから……。うん……はいまずは名前とかね……うん……うんうん……。 　ん……そこも……そうそう……。あっ……そこ……痴漢の動機ね……。……どうして女の人の体を触ったかね……、それでどんな風に触ったかも詳しくね……おっぱいとか……お尻を……いやらしくねっとり撫で回すように……、息をはぁはぁあらげながら……10分以上にもわたってまさぐり続けて……。 　んっ？　えっどうしたの？　早く書きなさい……どうやって痴漢したかよ？　ほら……君がやったこと……正直に書きなさい……。書いたらかえしてあげるから……。ほら……君がやったんでしょう？　女の人の肉体に理性がたもてなくなって……気づいたら……。 　ねっそうなんでしょう？　うん、別に悩む必要はないわ。だってやったものはやったんだもの……。自分の行動に嘘はついちゃいけないわ……。大丈夫よ……初犯ならそんなひどいことにはならないから……。ねっ……正直に……しんしな態度で……心から謝れば世間も許してくれるからね……。 　ねっ、わかるでしょ？　早く書きなさい……。書いて……ねっ……ちゅっ♪　書きなさい坊や……。自分の罪を認めなさい……ほらほらほらぁ……。んっ？　ええっ？　あらあら……もしかして君、お姉さんが助けてくれると思ってたの？　うふっ♪　あはっ♪　あはははっは～♪ 　んも～そんなのってありえないわよぉ……。だってお姉さんの仕事は犯罪者をきちんと取り締まることだものぉ……。簡単に逃がしたりなんかしないわよぉ……そんなの当たり前よぉ……うふっ♪　うふふふふ♪ 　だって考えてもみなさぁい……。君がもし超ネコかぶった凶悪な変質犯罪者だったらね、お姉さん首がちょんぎられちゃうものぉ……。いけないわぁ……簡単に人を善人扱いしちゃあ……。一見優しそうな人でも裏を返せば悪魔だものぉ……。本当に本当よぉ……。 　ねっ……そういうことだから。君はどうあっても罪人になっちゃうわけよ……。ほら諦めなさい……。君は悪い子……君は悪い子だね……。ほら……認めちゃいなさい……大丈夫よ……悪いようにはしないから……。お姉さんがこれからのこと手取り足取り優しくね……ふふふっ♪ 　そう……優しくぅ……ちゅっ♪　こうやって耳元で……何をすればいいか教えてあげて……ちゅっ♪　ちゅぷちゅぷ……ほらほらぁ……んっ……れろぉ……。ほらいい子だから……お姉さんのいうこと聞きなさい……。認めて……ほら認めれば楽になるわ……。ちゅ……罪の十字架を背負ったままじゃ……人間って生きていけないのよ？　ほら……んっ……ちゅ……んんっ……ん……。 　ん……？　きゃっ！　あんっ。あ～ん……いったたたた……。あぁ～んお姉さん坊やに突き飛ばされちゃったぁ……。お姉さん何もしてないのに怖いわぁ……いやんいやん♪　これって公務執行妨害よねぇ……。ああん、それにいきなりきれて手をあげるなんてぇ……やっぱり根っからの犯罪者だからなのかしらぁ……。 　図星でぇ……痛いところつかれてぇ……本当はやってるのに嘘ついてるからぁ……ふふっ♪　うふふふっ……♪　んっ？　えっ？　なぁに？　最初と言ってることが全然違う？　うふふふっ♪　別にいいでしょう？　罪を認めさせるためならぁ……最初は優しくぅ……お姉さんは君の味方よ～っていうふりしてた方が楽だものぉ……。 　うふっ♪　お姉さんの取り調べでね、今まで何人もの男の子が罪を認めてきたのよぉ……。大丈夫、つらかったね……よしよし……もう楽になっていいんだよ？　ほら……ここにおいで……抱きしめてあげる……むぎゅっ♪　とかしてあげるとね、お姉さぁ～ん僕がやりましたごめんなさぁ～いって言いながら泣き崩れてきてね……。 　男の子はみんな悪い子よ。だから犯罪しちゃう。でもぉ……悪いことはちゃんとさばかなきゃね。ぽいって放置してる方がずっと悪よぉ。だからお姉さんは一生懸命男の子の、コチコチに凝り固まった心を解きほぐしてあげてぇ……んっ♪　 　ねっ、お姉さんは君のためを思ってぇ……。ほらぁ……罪を認めちゃった方が楽よぉ……。心にわだかまりを残すより……これからのこと、どうどうと前を見て生きていけるようにね……。大丈夫……君はまだ若いんだから……ちゃんと更生できるわ……。それはお姉さんが保障する……。 　ねっほら……よかったら悩みの相談とかにも乗るから……。ああ犯罪おこしちゃう子って、複雑な家庭環境の子とかが多いのよねぇ……。うん、君だけが悪いわけじゃないの……。今日、今さっき起こってしまったことはしょうがないけど……、それは認めていかなきゃ……。 　ねっ……お姉さん本当に君のこと心配しているんだから……。んっ……んっ……。ん？　あらぁ？　もう君ったらだんまりぃ？　あ～っそう、僕もうしゃべりませぇ～ん。黙秘しますぅ～お姉さんなんか大嫌～～～い。そういう考えなんだぁ……。んもぉひどぉい……。お姉さんがこんなに親身になって対応してるのに……。 　それをむげにしちゃうなんてぇ……。はぁ……君がその気なら……お姉さん降りちゃおうかなぁ……。さっきの怖いお兄さんに、何時間も恫喝(どうかつ)とかされちゃえばいいんだわぁ……はぁ……。お姉さんせっかくやる気になってたのに……君ががんこだから……はぁ……。あ～あ、お姉さん残念。本当に軽い微罰にとどめようと思ってたのに……。 　つまらないことにこだわって印象が悪くなって、ずぶずぶ泥沼にはまって……。はぁ……でもしょうがないよね、それも君の人生だもんね……。うんうん……しかたないしかたない。お姉さんもどうにかしたいけどぉ……君の気持ちがそんなんじゃねぇ……。 　はぁ～いさようなら、お姉さん完全にやる気なくしちゃったぁ～。じゃ～ね、ばぁ～～い♪　こってりじっくり取り調べされちゃえばいいわ。うん、君が無実なら簡単なことだよね。じゃ、頑張ってねぇ～ばいばぁ～～～い♪ 　んっ……んふっ♪　あ～んうそうそぉ♪　今の嘘だからぁ♪　君みたいな可愛い子羊みたいな目をした子……お姉さんほっとけないしぃ……うん。大丈夫、お姉さんが君のこと……最後まで面倒みてあげるっ♪　ねっ……だから正直に嘘いつわりなく……何でも話して……。 　ほら……話すの……恥ずかしがらないで……あらいざらいぜぇ～んぶ話せば楽になるわ。ねっほら……ほら……。ん？　あらやっぱりまただんまり？　そっかぁ……なかなか簡単には話せないわよねぇ……。それじゃあ……あっこうしよっか。 　んっ……ほら見てぇ……。お姉さんね……君がムラムラして痴漢しちゃった女の人の役よ。これならやりやすいでしょう？　どんな風に触ってしちゃったか……今から状況再現するから……。ねっ……おいで君ぃ……。電車の中でどんなことしちゃったか……お姉さんに……早く、お、し、え、てっ♪