Track 1
おやおや……いきなり我が社に闖入し、これはいずこか?
とは……ずいぶんと不躾なことじゃのぅ。
ククッ、人の子よ。
そう騒ぎ立てるものではない。
まずは落ち着いたらどうじゃ?
そうも目を白黒させていたのでは、ロクなことを思いつくまい……そら、まずは茶でも飲んで、一息つくがよいよ。
おやおや、何を驚いておる……そぅら、儂手ずから淹れた茶ぞ?
飲めば、客人としてもてなそう。
飲まぬのなら、早々に立ち去るがよい。
もっとも、これよりどこへと立ち去るかは、そなた次第となろうがな……ククッ、よい飲みっぷりじゃのぅ。
さて……ここがどこかと問うておったな?
これは儂の住まい、我が社……そなたこそ、いずこより迷い込んできたのか……ふむ、覚えておらぬと?
それでそのように怯えておったということか。
何、怯えることはない。
ここには儂しかおらぬでな。
恐ろしきアヤカシも、奇しきモノノケも入り込めはせぬ。
……あるとすれば、そなたのように迷い込んでくる人の子くらいのもの。
おや?
子供扱いされるような齢ではないと?
ククッ……そうじゃのぅ、この形では、人の目からすれば、そう思うのも無理からぬことかもしれぬ。
人の子はいつでもそうして、目に見えるものしか信じぬもの……あぁ、よいよい。
そなたの思うままでよいぞ?
確かに今の儂は、そなたの思うままの小さき者じゃ……そなたの好む、小さき者♪
わかっておる、あぁ、わかっておるとも……そなたが儂を見る目に宿る、熱き思い。
儂も、そなたを一目見て気に入った。
その思いが繋がり、そなたをこれへと誘ったのやもしれぬ。
ククッ……どうした?
急に儂が恐ろしゅうなったか?
恐ろしいことなどありはせぬ……このケモノの耳か?
大きな尾か?
この形に見合わぬ大きさの尻尾じゃが、これはいろいろと都合がよいぞ?
例えばほら、こうしてそなたをくすぐるのにな……フワフワとしていて、心地良かろう。
夢心地となろう?
素肌もほれ、産毛の感触が心地良かろう?
近くで見れば、そして触れれば、人のようでいて人でないこともわかるじゃろうが……何、ここは狐の社ゆえ、おかしきことなどありはせぬ。
そなたはもう、知っておったはずじゃ。
狐の社のこと、人の姿をした狐のこと……儂のこと。
そなたは儂を求めて、これへと参ったのじゃからな……おや?
そんなに目を血走らせて……。
ククッ……どうした?
ずいぶんと興奮しておるようではないか。
熱い思いを滾らせておるようじゃのぅ……ようやく、先ほどの薬湯が効いてきたか?
何、心配することはない……。
ただの薬湯じゃ……ほんの少しだけ、男の子の力を、そして精を、存分に引き出すための薬が入っておっただけのこと♪
……ん?
何故そのようなことを……などとは問うまいな?
その様な野暮は許さぬぞ?
そなたは黙って、儂にその身を委ねればよい……さすれば、人の身では味わえぬほどの快楽をくれてやろう……さぁ、その身も、心までも、儂に委ねよ♪