Track 1

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おーい!こっちこっち。

おーい! こっちこっち。 ……ん、よかった。時間ぴったりだね。 えへへ、どう? ちゃんと私、一人でここまで来れたよ? 偉いでしょ? 私、前藻玉(まえも たま)はやるときは、やれる子なんだよ? 褒めて褒めてー。 えへへへ。 ……本当はね、いろんな人に聞いて、いろいろ教えてもらいながらここまで来たんだよ。 優しい人が多くて助かっちゃった。 あなたが居る街に近付くたび、電車の中がどんどん人で増えていった感じだったよ。ふふふ。 それにしても……。 ほんっ……とに人多いね! 都会の中枢って感じ……すごい! あたっ! ……もーっ、いきなり何するかなー。頭叩くなんてひどいっ……。 え? 耳出てた? あははは、田舎とあまりにも雰囲気が違うから興奮しちゃった! えてっ! もー! 何でまた叩くかなー。 こんなに人が多いところ、生まれて初めてだよ。 ん? なーに? ……心配性だなー……ふふふ、大丈夫。こんな歳で迷子になんてならないから。 ……もーしょうがないな。こうやって……手をつなげばぁ……ほぉら、もう大丈夫でしょ? あれれ? 耳真っ赤だよ? ……今更照れなくてもいいのに……私はあなたとずっと一緒に、い て あ げ る。なんてね。 んっ……! ん~~、頭なでなでされるの気持ちい。 もうっ……また、叩かれるのかと思っちゃった。いじわる……。 わっ、んー……油断すると耳が、また出ちゃう……引っ込めなきゃ……。 出会ったころはよかったんだけど、馴れちゃったというか、油断しちゃうというか……感情がたかぶっちゃうと、どうしても……ね。 あなたと一緒に居ると耳隠すのが大変、かも……うーん、困ったな。 何か隠せるものでもあれば……。 ……え? 帽子? そうだね、それなら隠せるかも……でも帽子なんて持って来てないよ? ……買ってくれるの? いいの? ありがとー! それじゃあ、折角だし、洋服屋さんに行かない? だって、ショッピングなんて田舎じゃ経験したことないんだもん。 ほーら、きっとかわいい帽子も置いてるよ、はやくはやくー! えへへ、街での買い物なんて、初めて! おっかいもの、おっかいものー♪ すっごく人が並んでるね……何の列かな? 食べ物? ……わぁ、甘くて美味しそう……。 え? ……う、うん、分かってるよ! まずは帽子からだね。 くぅぅ……我慢我慢。 ねぇ? 帽子買ったら、何か食べない? ……えへへ、やった♪ あ! ここのお店の帽子、可愛いよ? ここにしよっか。

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