kmv102
「青薔薇聖女子催眠部!:青薔薇聖女子部活動報告其ノ参」 作カジハラエム
【プロローグ】
青薔薇聖女子は幾十もの部活動が存在するのが特徴の女子高である。
とはいえ、そのほとんどが、体育会系、文化系、そして、耳かき部や膝枕倶楽部で有名な癒し系…と、3つの系統に大別される。
そして、先日、その癒し系の部活動に新しい部活動が誕生した。
学園屈指のお嬢様と評判の2年生、天海茉莉花が新設した「催眠部」がそれである。
茉莉花は部の宣伝のためにと、新聞部に体験取材の依頼をする。
【本編】
(ドアSE)
いらっしゃいませ。
新聞部の取材の方ですね? お待ちしておりました。
本日は、わざわざ、ご足労いただきまして恐縮ですわ。
私(わたくし)が、新しく出来た催眠部の部長を務めます2年の天海茉莉花と申します。
ささ、どうぞ、部屋の中へ。
そのソファにお座りになって楽にしてください。
(部屋BGM)
…素敵な部屋?
有難うございます。
校長先生に掛けあって、可能な限り空き教室を改装させていただきましたの。
それも全部、究極の癒しのため…。
雰囲気って重要な要素ですもの。
…そこまで癒しを求めるのは何故?
良い質問です。
私、こないだの薔薇祭で耳かき部や膝枕倶楽部の実演を体験させていただいたのですが、
そこで、癒しの素敵さ、気持ちよさを知ったのがキッカケだったり致します…(思い出してうっとり)。
今まで部活動に参加してきませんでしたけど、これなら、私も、やってみたい、と。
…そこで催眠を?
その通り。色々調べた結果です。
催眠こそ、なによりも優れ、かつ、究極の癒しになるという事を確信しました。
とはいえ、催眠は奥深く、一朝一夕では、マスターできるものでもないのですが、天海家の者と協力してもらって、なんとか形にはなったかな、と。
今なら、先の二つの部活にも負けない究極の癒し、リラクゼーションを学内の方々に提供することが出来ると思います。
…それは楽しみです?
癒しの部活では最後発となりますし、気合十分ですわ。
是非、ご期待ください。
ところで…、
“究極の癒し”といっても、
正直、漠然としてると思いませんか?
…思う?
ふふ。
正直ですね。
催眠が、マジックのショーと思ってる方もいるでしょうし、一般の方が催眠を癒しと連想するには、まだまだ認知不足かもしれません。
ですが、催眠は確かに、リラクゼーションや、安眠に極めて有効に役立つのですよ。
そして、時には、理想の実現、痛みの緩和、さらには、集中力を高めたりと、様々に活かすことができるのです。
…自己暗示?
そう、その通りです。
(ここから、抑揚をつけてゆっくり)
暗示とは、言葉の、刺激。
言葉を受け入れることによって、思考、行動、感情に変化を引き起こします。
暗示の効果…、すなわち、言葉の力をあらかじめ理解することで、よりよい日常を過ごすことが出来るのです。
(ヒーリングBGM)
(ダミーマイク開始〜最後まで)
【正位置:顔の幅程度に左右にゆらゆら】
あなたは、何を…望みますか?
私が、あなたの望みどおりの催眠効果を誘導いたしましょう。
…疲れを取りたい?
なるほど、承りました。
疲れは万病の元ですからね。
私の言葉の力で、あなたをむしばむ疲れを、一切残らず、取り去りましょう。
お約束いたします。
それでは…早速始めますが、そのまま楽な姿勢で結構です。
一番楽な姿勢で、私の言葉に耳を傾けてくれるだけで構いません。
そして、
目を閉じ…。
深呼吸をしましょう。
大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出す。
大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出す。
あなたのリズムで大丈夫。
あなたのリズムで繰り返してみて下さい。
吸う息と共に、綺麗な空気が胸いっぱいに入ってくる。
吐く息と共に、お腹がぺたんこになるまで、吐き出す。
吸う息と共に、新鮮な空気がお腹を風船のように膨らませる。
吐く息と共に、お腹がしぼんだ風船のようになるまで、吐き出す。
ゆったりとした腹式呼吸で深呼吸。
※
す〜〜。
は〜〜。
深呼吸で神経の高ぶりが収まる。
※
徐々に、徐々に、高ぶりが収まっていく。
※
綺麗な空気を、ゆっくり…、たっぷりと吸い込んで、ゆっくり…たっぷり吐き出す。
※
綺麗な空気が、体から今日一日の疲れとストレスを押し出す。
※
新鮮な空気を、たっぷり…、ゆっくりと吸い込んで、たっぷり…ゆっくり吐き出す。
※
新鮮な空気が、全身から今日一日の疲れとストレスを押し出す。
【右耳:囁き】
それは、とてもとても、気持ちがいい。
イメージすると、さらに、気持ちよさが増します。
綺麗な空気が、体の隅々まで染み渡っていく。
頭の先から、手の指の爪先まで。
余すとこなく、染み渡っていく。
ほら…、
気持ちがいい。
【左耳:囁き】
新鮮な空気が、体の隅々まで染み渡っていく。
髪の毛の先から、足の指の爪先まで。
余すとこなく、染み渡っていく。
ほら…、
気持ちがいい。
深呼吸が、気持ちいい。
深呼吸そのものが、気持ちいい。
だから、しばらく深呼吸を続けます。
【正位置:顔の幅程度に左右にゆらゆら:囁き】
※
す〜〜。
は〜〜。
良い感じ。
良い感じに、なってきました。
それは、あなたが気持よくリラックスできている証拠。
※
良い感じに…、リラックス。
※
深呼吸する度に…、リラックス。
※
深く、深く、リラックス。
心と体の奥底から、リラックス。
リラックス、リラックス、リラックス。
※
体が緩み、力が抜ける。
吐く息と共に、抜けていく。
それが、すごく、気持ちがいい。
※
【右耳:囁き】
右肩、右腕、右肘、右前腕、右手首、右手のひら…。
邪魔な力が抜けて、ほぐれていく。
余計な力が抜けて、軽くなっていく。
深呼吸するごとに、ほぐれていく。
深呼吸をする度に、軽くなる。
す〜〜。
は〜〜。
【左耳:囁き】
左肩、左腕、左肘、左前腕、左手首、左手のひら…。
邪魔な力が抜けて、ほぐれていく。
余計な力が抜けて、軽くなっていく。
深呼吸するごとに、ほぐれていく。
深呼吸をする度に、軽くなる。
す〜〜。
は〜〜。
【右耳:囁き】
右足、右太もも、右膝、右ふくらはぎ、右足首…。
邪魔な力が抜けて、ほぐれていく。
余計な力が抜けて、軽くなっていく。
深呼吸するごとに、ほぐれていく。
深呼吸をする度に、軽くなる。
す〜〜。
は〜〜。
【左耳:囁き】
左足、左太もも、左膝、左ふくらはぎ、左足首…。
邪魔な力が抜けて、ほぐれていく。
余計な力が抜けて、軽くなっていく。
深呼吸するごとに、ほぐれていく。
深呼吸をする度に、軽くなる。
す〜〜。
は〜〜。
【頭頂:囁き】
穏やかな波間(なみま)にたゆたうように、ぷかり、ぷかり。
(波BGM)
【後頭部からゆっくり頭をぐるりと回る感じに:囁き】
ぷかり、ぷか、ぷか。
とてもとても、心地が良い。
ぷかぷか、ぷかり。
とてもとても、体が軽い。
ぷかり、ぷかぷか。
とてもとても、心が軽い。
気持ちが良すぎて、
意識が徐々にぼんやりしていく。
薄モヤに包まれるように…ぼんやり。
ぼんやりと、意識がまどろむ。
うと、うと。
気持ちがよくて、寝ちゃいそう。
うとうと、うとうと。
【左耳:囁き】
眠い。
すごく、眠い。
眠い、眠い、眠い、眠い。
【右耳:囁き】
このまま、眠る?
いいですよ。
遠慮しないで…、眠って。
このまま眠ると、さらに効果的ですから。
【正位置:顔の幅程度に左右にゆらゆら:囁き】
完(溜め)璧に、疲れが取れる。
それに、催眠部には、特別な宿泊許可と設備が整っておりますので、
何も心配することはありません。
このまま、眠ってしまいましょう。
うとうと、うとうと。
【頭頂:囁き】
私の声は、天上から…降り注ぐ、声。
私の言葉は、天上から…降り注ぐ、言葉。
【ゆっくり頭をぐるりと回る感じに:囁き】
声を聴く度に、うと、うと。
意識が、ふわふわ、ふわふわ。
声を聴く毎に、うと、うと。
頭が、ふわふわ、ふわふわ。
考えるのを、やめる。
私の声を聞く、だけ。
それだけで、いい。
【右耳×左耳:囁き】
私の声は、天使のささやき。
私の声を聴いてるだけで、す〜ぅっと、意識が沈んでいく。
沈む。
ゆっくり、沈む。
深い深い、意識の底へ、沈む。
落ちる。
ゆっくり、落ちる。
深い深い、意識の底へ、落ちる。
【正位置:顔の幅程度に左右にゆらゆら:囁き】
今から10数えると、あなたは気持ちのいい眠りの世界へ、落ちる。
翌日、気持ちよく、目を覚ます事ができる。
翌朝、エネルギーに満ち、活き活きと目を覚ます事ができる。
心身ともに、元気、快適、スッキリした朝を迎える事ができる。
朝を迎えるのが楽しみな眠り。
私が、今…いざなう。
(ゆっくり)
【右耳×左耳:囁き】
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0。
【正位置:顔の幅程度に左右にゆらゆら:囁き】
あなたの意識は、落ちた。
一気に、眠りの世界に、落ちた。
すごく、気持ちがいい。
すごく、すごく、気持ちがいい。
うらやましいくらい、気持ちがいい、眠りの世界へ。
【左耳:囁き】
でも、まだこれで終わりじゃない。
仕上げが残っている。
私の声が聞こえない、意識の底の底、完璧な、眠りの世界へ。
【右耳:囁き】
私の“おやすみなさい”の言葉で、完璧に眠る事ができる。
いくよ。
今から、そこへ…。
(ゆっくり)
【右耳×左耳:囁き】
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0…、
(さらにゆっくり)
“おやすみなさい”
【正位置:顔の幅程度に左右にゆらゆら:囁き】
朝まで、ゆっくり…じっくり…、おやすみなさい。
【右耳から:囁き】
そして、これからは、
【左耳へ:囁き】
催眠部をよろしく…お願いしますね♪