アダルト
…こんばんは。
って言うても…聞こえへんか。
まぁ…もう、なれたけど。
コレはコレで…幸せやし。
こうやって…ひっそり、声をかけるだけで…
満足やもん。
…うちの声が、あんたに届いたらなぁ。
そしたら…もっと、楽しいのに。
…ん?…あれ?…もしかして…聞こえ、とるん?
うちのこと…分かるん?
わぁ…嬉しい。
いつも、いつも…こうして、話かけてたんよ。
毎晩、毎晩…あんたの枕元で、話かけてたんよ。
今日は、ええことがあったんやね、とか…
悲しいこと、あったん?とか…
…寝顔、可愛いね、とか。
そうやって、ただ話かけてるだけでも幸せやったのに…
こうやって、声が届いてるやなんて…夢みたい。
うちな…あんたのこと、好きやねん。
でも…こんな体やから、どうにもならへん、って…
諦めてた。
せやけど…今日、こうして…声を届けることが出来た。
せやから…この声を使って…あんたの事、気持ようしてあげたいねん。
ええ、よね?
まぁ…こんな体やから、簡単にはでけへんねやけど…
うちの声が届くんやったら、うちに従って、準備をしていけば…
思い切り、気持ようしてあげられるんよ。
せやから…うちと一緒に、気持ちようなるための準備、しよ?
うちがするのと、同じように動いてな。
例えば、一緒に深呼吸したり…体を動かしたり。
力を入れたり、抜いたり。
そんなことをしていくと、少しずつ、準備が出来ていくんよ。
準備が出来たら…一杯、一杯、気持ちようなろね。
この準備も、結構気持ちええから…
楽しんでやってくれたら、うれしいな。
基本的に、ええもんを取り込んで、悪いもんを吐き出すような
イメージでやると、ええ感じやね。
…あ、よう分からんかったら、深く考えんでもええからね。
とりあえず、うちの言うとおりに動いてくれればええから。
ほな…始めよか。
最初は、深呼吸。
すー… はー…
すー… はー…
すー… はー…
すー… はー…
すー… はー…
すー… はー…
すー… はー…
すー… はー…
はい。普通の呼吸に戻って。
どう?結構、気持ちええやろ?
ぽー…っと、意識が、ぼやけてきたなぁ。
そのまま、準備をすすめていこな。
ほしたら、次は…
体に力を入れたり、抜いたりしていこか。
力を入れるときも、抜くときも…
どっちも、ちょっと気持ちええんよ。
ほな、一緒にやろね。
最初は、右腕。
ぎゅ~~~~~… ふぃ~。
左腕。
ぎゅ~~~~~… ふぃ~。
右足。
ぎゅ~~~~~… ふぃ~。
左足。
ぎゅ~~~~~… ふぃ~。
上半身。
ぎゅ~~~~~… ふぃ~。
下半身。
ぎゅ~~~~~… ふぃ~。
全身。
ぎゅ~~~~~… ふぃ~。
どーぉ?
なんか、心地ええやろ?
全身から、すっかり力が抜けたあんたは…
手も、足も、腰も、背中も、全部が。
全身が、だら~んとしてる。
その状態が、なんか心地いい。
ただ、だら~んとしてるのが、気持ちいい。
次は、少し、体動かそか。
うちと一緒に、手足を上げたり、下げたりしよな。
手足を下げるとき、ふぅ…っと力が抜けるのが、気持ちええんよ。
最初は、右腕。
上げて… 下げて…
上げて… 下げて…
左腕。
上げて… 下げて…
上げて… 下げて…
右足。
上げて… 下げて…
上げて… 下げて…
左足。
上げて… 下げて…
上げて… 下げて…
なんか、手足が重とうなってきたね。
その感覚に、身を任せて。
そしたら、なんか心地いい感覚が生まれてくるよ。
その心地良さに、身を任せて。
ほら…体が、どんどん重たなっていく…
でも、それがなんか、気持ちいい。
気持ちいいから、どんどん、どんどん重たなっていく。
どんどん、どんどん沈んでいく…
ほな、仕上げ。
もう一回、深呼吸しよか。
す~… は~…
す~… は~…
す~… は~…
全身が、じんわりと暖かくなる…
す~… は~…
す~… は~…
す~… は~…
なんだか、全身がピリピリしびれてくる…
す~… は~…
す~… は~…
す~… は~…
体が、ず~んと重たなる。
深く、深く、沈み込んでいく。
す~… は~…
す~… は~…
す~… は~…
はい、普通の呼吸に戻って。
これで、体のほうの準備はできたね。
次は、心の準備。
あぁ、あんまり、難しく考えんでええよ。
そんなに難しいことやないから。
せやなぁ…ちょっと、遊びながら準備していこか。
これから、うちが色々な場所からあんたに話しかけるから…
うちのこと、追いかけてみて。
追いかける、って言うても、実際に体は動かさんでええよ。
うちの声がする方に、意識を向けるだけでええからね。
ぐるぐる移動しながら話しかけるから…
しっかり、付いてきてや?
最後まで、付いてこれたら…キスしたげるしな。
んふふ…ほな、始めよか。
ほぉら…ここやで。
こっち、こっち。
こっちやって。
こ~こ。
ほら、耳もと。
あはは、遅いわ~。
ほらほら、こんどはこっち。
ほら、目の前やで。
ちょっと遠く~。
ほら、また耳もと。
ふふふっ、あはははは…
ほらほら、ちゃんと追いかけてこな。
付いてこれてるか~?
ほら、ここやで、こーこ。
ほらほら、こっちこっちー。
おでこに、ちゅっ。
右手に、ちゅっ。
首筋に、ちゅっ。
ほらほら、ちゃんと付いてこな。キス、したげへんで~?
ほら…ほら…ほら…ほら…
こっち。こっち。こーっち。こ~こ。
ぐるぐるぐるぐる、声が回る…
ぐるぐるぐるぐる、意識が回る…
せやけど、意識の芯は、はっきりしてる…
だって、ちゃんと追いかけてへんと、キス出来ひんもんね。
ただ、意識の外側だけが…ぐーるぐる、ぐーるぐる。
回る…回る…
ほら…ほら…ほら…ほら…
こっち…こっち…こっち…こっち…
もしかしたら、うち以外の声が聞こえてきてるかもしれへんし…
めっちゃ大きい、耳鳴りがしてるかもしれへんけど…
うちの声だけに、集中してな。
他の音は、無視して…
ただ、うちの声だけ聞いてて。
そうやって、声を追いかけてると…段々、不思議な浮遊感に包まれていく…
ふわり…ふわり…ふわり…ふわり…
浮かぶ…浮かぶ…浮かぶ…浮かぶ…
ほら…ちゃんと、うちを追いかけて…
こっち…こっち…こっち…こっち…
意識が、浮かぶ…
体が、沈む…
こっち…こっち…こっち…こっち…
意識が、ふわふわふわふわ、浮かんでいく…
体が、ず~んと沈みこんでいく…
こっち…こっち…こっち…こっち…
意識と、体が、分かれていく…
こっち…こっち…こっち…こっち…
さぁ…右手を出して…
うちの手を、しっかりと掴んでな。
あんたの、意識を…魂を引っ張り出して、気持ちのいい世界へ、連れていったげるから。
少し、揺れるかも知れへんし…しっかり、掴まっててな。
ほら…いくで…
えぃっ。
ふふっ。
うまく、抜けたね。
いらっしゃい。
ここは、あんたが普段生きてる世界とは、似て非なる世界。
星幽界とか、アストラルとか言うんやけど…まぁ名前なんてどうでもええよね。
そこにあるあんたの体が、コチラとアチラを繋ぐ門。
元に戻るときは、体に意識を重ねるか、戻りたい!って、強う念じたら、戻れるえ。
ただ…慣れへんうちは、門の近くにおると、すぐにあっちに戻ってまうから…
ちょっと、ここ離れよか。
さぁ、外に行こ。
今なら、壁なんて関係あれへんよ。
どこへでも、行ける。
どこまでも、行ける。
一杯、一杯楽しもな。
ほら、しっかり手ぇつないで…
一緒に、楽しも。
ほな、行こっか。
まだ、あまり良く見えへんやろし…しっかり手ぇつないで、ついてきて。
ほら…こっち。
(3秒空白)
今…あんたの目に映ってるのは、うちと、お月様だけ。
ホンマは、他にも色々なものがあるんやけど…
始めてこの世界に来たばかりやから、まだ目が慣れてへんねん。
その辺りは、おいおい慣らしていったらええよ。
まずは、見えるものを、よーく観察してみよな。
ほら…空見てみ。
きれーなお月様…
まぁんまるで、ぼぅ…っと、綺麗に輝いてて。
あんたの世界のお月様より…なんだか、大きいやろ。
それに…光が、とっても綺麗。
それはな、あんたの世界みたいに…この世界は、汚れてへんから。
空気がとっても綺麗やから、あないなふうに輝いて見えるんえ。
これが、うちらの世界。
これが…心の目で見た、世界。
この綺麗な世界を…一緒に、お散歩しよ。
月明かりに照らされて…
ふんわり、ふんわり。のーんびり、お散歩。
邪魔するものなんて、何も無い。
この世界には、今、うちとあんただけ。
ふふっ…なんか、やったらあかん事してるみたいで、楽しいなぁ。
一歩一歩、足を進めるごとに、ふんわりとした心地良さが広がっていく。
なんか、開放的な気分。気持ちいい。
このまま、わーっと走ってったら、すごく気持ちええかもしれへんね。
でも…それはまだ、あかんよ。
しっかり、うちと手ぇつないでてな。
まだ、あんたはこの世界に慣れてへんから…
私の手を離したら、どっちが右でどっちが左か、とか…
どっちが上で、どっちが下か、とか…
そういう感覚があやふやになってしもて、迷子になってまうよ。
そしたら、勝手に元の世界に戻ってしもて…
折角この世界に来たのに、楽しむことでけへんよ?
勿体無いやろ、そんなん。
せやから、しっかり手ぇつないでてな。
ほら…うちの手の感触、どう?
やーらかくて…ちっちゃくて…不思議と、あったかい。
幽霊なのにあったかいん、不思議?
ふふっ、それはなー…
うちの心が、あったこうなってるから。
この世界は、精神の世界。
せやから、心があったこうなると、体もあったこうなるんよ。
うー、なんか、照れるわぁ…
ほら、お散歩続けよ。
折角やし、どっか、綺麗なとこに行きたいなぁ…
あ、せや。お花畑がええなぁ。
なぁ、お花畑いこ。
そんなに歩かんでも、すぐに着くしな。
一歩、二歩、三歩。
ゆっくり、ゆっくり歩いてく。
そうすると…ほら。花の香りが、してきたやろ。
一歩、二歩、三歩。
歩(ほ)を進めるごとに、花の香りが強うなってくる。
一歩、二歩、三歩。
あま~い香り…気持ちいい…
四歩、五歩、六歩。
あまい香りに、脳がしびれてくる。
七歩、八歩、九歩。
花の香りが、気持ちいい…幸せ。
あ、せや…
ただ歩いてるだけやったら、面白ないし…
ちょっと、気持ちようしたげるね。
ほら…右手に、意識集中してみ。
ちょっと、気持ちようなるように…力を送るね。
ほら、行くよ…
3…2…1…0!
ほら…なんか、手の平がムズムズしてくる。
ほら…じんわりと、心地良さが広がってく。
ムズムズが、心地良さに…快感に、変わってく。
右手。気持ちええやろ?
ふふっ…
不思議? でもな、全然不思議やないんよ。
さっきも言うたやろ? ここは精神の世界やって。
うちが、あんたを気持ちようしてあげたい、って思たから…
こんなふうに、気持ちようしてあげられてるんよ。
えっちなのは、その…まだ、恥ずかしいからでけへんけど。
もー、そない残念そうな顔せんとって。
いつか、きっと…な?
今は、この右手の感覚で、満足してな?
その代わり…もっともっと、右手を気持ちようしたげるから。
これから先、歩(ほ)を進めるたびに…
段々、右手のムズムズが強うなっていくえ。
花の香りの気持ちよさと合わさって、脳がとろーんとしてまうくらい、気持ちようなるよ。
えへへ~…楽しみやね。
ほら…気持ちいいお散歩。続けよ?
一歩…二歩…三歩。
右手が、ムズムズ…ムズムズする。
四歩、五歩、六歩。
あま~い香りが、気持ちいい…
七歩、八歩、九歩。
十歩、十一歩、十二歩。
十三歩、十四歩、十五歩。
ムズムズ…ムズムズ…あま~い、あま~い。
十六歩、十七歩、十八歩。
十九歩、二十歩、二十一歩。
二十二歩、二十三歩、二十四歩。
右手のムズムズが、腕全体に広がってく…
二十五歩、二十六歩、二十七歩。
二十八歩、二十九歩、三十歩。
三十一歩、三十二歩、三十三歩。
どんどん、ムズムズが強うなる…気持ちいい…
三十四歩、三十五歩、三十六歩。
三十七歩、三十八歩、三十九歩。
四十歩、四十一歩、四十二歩。
あま~い香りも、どんどん、どんどん強うなっていく。
とっても、気持ちいい…
四十三歩、四十四歩、四十五歩。
四十六歩、四十七歩、四十八歩。
四十九歩、五十歩、五十一歩。
ムズムズが、全身に広がってく…
五十二歩、五十三歩、五十四歩。
五十五歩、五十六歩、五十七歩。
五十八歩、五十九歩、六十歩。
とっても、あまい…とっても、気持ちいい。
六十一歩、六十二歩、六十三歩。
六十四歩、六十五歩、六十六歩。
六十七歩、六十八歩、六十九歩。
全身が、ムズムズ。気持ちいい…
七十歩、七十一歩、七十二歩。
七十三歩、七十四歩、七十五歩。
七十六歩、七十七歩、七十八歩。
あま~い香りで、脳がとろけてまいそう…
七十九歩、八十歩、八十一歩。
八十二歩、八十三歩、八十四歩。
八十五歩、八十六歩、八十七歩。
体が、ムズムズ。気持ちいい。
頭が、とろとろ。気持ちいい。
八十八歩、八十九歩、九十歩。
さぁ…あと十歩で、お花畑やで。
九十一歩、九十二歩、九十三歩。
体も、頭も…とっても、気持ちいい。
九十三歩、九十四歩、九十五歩。
ムズムズ…とろとろ…気持ちいい…
九十六歩、九十七歩、九十九歩。
ほら…もう、着くよ…
百歩。
はぁい、到着~。
ほら…見とうみ。
めっちゃ、綺麗やで…
色とりどりの花が、咲き乱れてる。
花の蜜のあま~い香りが、鼻腔(びこう)をくすぐる。
月の光を浴びた花は、なんかとっても、艶(つや)やかに見える。
とっても、綺麗…
…ん~?えらい、ぼ~っとしとるね?
あー…もしかして、気持ちようしすぎてしもた?
それに、今…気持ちええあまい香りの真ん中に立ってるんやもんね。
まぁ、無理もないかぁ…
せやけど…折角のデートなんやし、うちの事も、見てほしな。
せやから…ムズムズも、あまい香りでとろとろになるのも、おしまい。
みっつ数えたら、とろとろもムズムズも、すっと消えてまうで?
ひとつ…ふたつ…みっつ!
ほら…もう、ムズムズなくなったやろ。
ちゃんと、うちのこと…見てな?
…そない、残念そうな顔せんとってや…
うちより、花のほうがええのん?
そない悲しいこと…言わへんよね?
うん、ならええねん。
さ、改めて…
ここが、この世界で、一番きれいなお花畑や。
世界中の、ありとあらゆる花の中でも…特に綺麗なモノばっかりが集まってるんよ。
色とりどりの花が、月明かりに照らされて…とっても、幻想的。
ほら…ちょっと変わった蝶々が、お花畑に飛んでるで。
とっても、綺麗やね…
それに、とってもええ香り。
さっきは、あま~い香りで、ぽ~…っとしてしもたけど…
今度は、大丈夫やよね?
ちゃんと、うちのこと…見てくれてるもんね。
ほら、一緒に、あま~い花の香り、嗅ご?
す~… は~…
す~… は~…
ふふっ…とっても、ええ匂い。
なんか、落ち着くね。
ここに来るまでの匂いは、なんや蠱惑的(こわくてき)で、ぽけーっとしてしもたけど…
今は、花だけやなしに、うちのことも見てるから…ほんのちょっと、ぽーっとするだけ。
だって…花より、うちのほうが…なぁ?(なんか照れる感じで)
ほ、ほら…こっちで一緒に、座ろ。
ほら…
さてと、ほな…ちょっと、手ぇ離すな。
大丈夫。大丈夫やで。
ほんの少しの間やから。
それでも不安やったら…ちょっと、おしゃべりしよか。
なぁ…この世界は、どう?
楽しい?
気持ちいい?
楽しんでくれてたら、うれしいな。
こんな風に、お花畑でデートするん…うち、夢やってん。
ほら…ちょっと、ロマンチックやん?
きれーなお月さんと、お花畑と・・・大好きな人と。
好きなもんばっかりに囲まれて・・・楽しくおしゃべりしたり、遊んだり・・・
そんなん、夢やったんよ。
ありがとうな、つきおうてくれて。
よっ…と。
んー?ふふ、もうちょっと待っててな。
もうちょいで、出来るから…
ほら、ちょっとだけ手ぇ握ったげるから、それで我慢しよし。
な?
ほら…
な。うちの手ぇ、さっきよりあったかいやろ?
好きな事さしてもろて、嬉しいから…
ぽかぽか、してるんよ。
さて…手ぇ握ってしもたから、うちまで名残り惜しなってしもたけど…
ほんまにもうちょっとやから、また手ぇ離すしな。
ほな、離すで…
あぁもう、そない寂しそうな目ぇせんとってぇや。
うちかて、手ぇ離してるん、寂しいんやから…
よっしゃ、でーきた。
あ、ちょっと、頭下げて。
よい、しょっ…と。
えへへ…お花の、かんむり。
コレを作りたかったから、手を離してもらってたんよ。
頭の上にも、お花が沢山あるから…体中、あま~いお花の香りで包まれてしもたね。
気持ちええね…
なぁ…今度は、ちょっと…顔上げて。
ん、ちゅっ…
えへへ…約束、やもんね。
ほら。付いてこれたら、キスしたげるって、約束してたやろ?
あ…もしかして、物足りひん…とか?
うーん…どないしよっかなー。
もう少し、デートしてくれたら…考えたげる。
ほら…もっと、デート楽しも。
花の蜜の、あま~い、香り…
気持ちええね…
香りだけやないよ。
ほら…周り、見てみ?
綺麗な、お花…まんまるな、お月様…あま~い、香り…
そして…あんたと、うち。
こんな素敵なデート、なかなかでけへんよ?
あたりは、静かで…
私の声と、風のざわめきくらいしか、聞こえへん。
月の光に照らされて…
花の香りに包まれて…
あんたと二人、佇んでる。
えへへ…
意識したら、なんか、ドキドキしてきたね。
なぁ…隣。座ってもええ?
うん…しょっと。
なぁ…うちの体温、わかる?
とっても、あったこうなってんの…
あんたの隣に、座ったから。
好いとう人の隣に座って…ドキドキしてるから。
あっ…
あんたも…体温、あったこうなってるね。
心…ぽかぽか、してるんやね。
嬉しいなぁ…
どんどん、どんどんあったこうなっていってる…
ドキドキ、ドキドキ…心臓の音まで、聞こえてきそう。
なぁ…くっついても、えぇかなぁ?
そしたら、もっと…体温、感じられるえ?
そしたら、もっと…ドキドキ、出来るえ?
ええ、よね…?
えへへー…ぴとっ。
くっついてしもた…。
わぁ…結構、逞しいんやね。(たくましい)
それに…えへへ。
めっちゃ、体温…あったこうなってるね。
うちで…ドキドキ、してくれてるん…?
顔、真っ赤やで…?
ふふっ…かーわい。
もっと、くっついたろ…
ほら…ぎゅーって抱きついてるん、わかる?
うちの、おっぱい…結構、おっきいやろ?
やーらかくて…気持ちええやろ?
ふふっ…じーっとくっついてたら、どんどんあったこうなっていってる。
ほら…どんどん、ドキドキが強うなる。
ほら…どんどん、体が熱うなる。
えへへ…
右手…出して。
ん、しょっ…
ほら…うちの胸、手ぇ当ててみて…
揉んだら、あかんえ…?
手ぇ、当てるだけ…やからね。
んっ…
ふにふに、してて…やぁらかいやろ?
それに、熱うて…ドキドキ、胸が鳴ってるの…わかる?
手のひらを通して…うちのドキドキが、伝わっていくよ。
ほら…なんか、手のひらがムズムズしてくる。
ムズムズ…ムズムズ…手のひらが、気持ちいい。
手のひらが、熱い…ムズムズ…ムズムズ…
手のひらから、腕…肩…
気持ちいいムズムズが、広がっていく。
うちのドキドキが伝わって…心臓のドキドキが、もっと早くなる。
体温が、もっともっと、上がっていく…
ムズムズが、どんどん、どんどん…広がっていく。