1. いらっしゃい
(雨音)
(紅桜):止みそうにないですね、雨。
あはは、あぁ、驚かせちゃった?
ん、ねえそこ・・・濡れない?
まだ止みそうにないし、ちょっと寄っていきませんか?
ここ?あぁ、ここはお店。
ご飯は簡単なものしかないけど、温かい布団もあるよ。
お部屋もたくさんあるから休んでいってもいいし。
お宿・・・?
あー、まあそんなもの、かな?
ああお金なんていいよ。
お兄さん私の好みの顔してるから、うふふふっ、なんて。
あー、私はここで紅桜って名前で皆には紅って呼ばれてるよ。
だから、あなたも私のことは紅って呼んで。
服もそんな色だし、覚えやすいでしょ?
(遊墨):紅ー?
そこ冷えるでしょー?
早く中に・・あら?お客さん?
(紅桜):あぁ・・・えっとぉー、この人は違うよ。
雨宿りしてただけだから。
(遊墨):そうなのぉ?
そこは冷えますから、どうぞ中にお入りください。
あ、もし家にお泊りでしたら?その・・・お金がないと満足なおもてなしもできませんが。
(紅桜):え?え?
(遊墨):んふふふ、なんの問題もありませんでした。
紅がご案内いたしますので、お客様、ごゆっくりなさってくださいねー。
あぁ、申し訳遅れました。私は遊墨と申します。墨と呼んでくださいな。
ん、あぁ!この子?ふふっ。
ほら、ちゃんとご挨拶して。
(白蓮):こんばんは。
(遊墨):あらぁん、白ったら引っ込んじゃって。
(紅桜):あはは、あぁ・・・あの子人見知りだから。
あの子は白蓮、白って呼んでるよ。
皆このお店の人だよ。
じゃあ、私は部屋に案内するから。
(遊墨):はーい、ごゆっくり。
何かご入用でしたらお気軽にお申し付けくださいね。
(紅桜):じゃあいこっか。
(雨音が止む)
(紅桜):この部屋使ってね。
あー、全部適当でいいよ?
えーっと、(お茶)寒かったでしょ?
よかったらこのお茶飲んで?
体が温まるから。
どう?おいしい?
ふふっ、そっか。
あ、着てるもの干しておくから脱いでくれる?
ん、ん。
んで、これに着替えて。
えーっと、布団はすぐ隣の部屋。もう敷いてあるよ。
えいしょっと・・・それにしても、あんな雨の中外を出歩いてるなんて、何をしてたの?
なんとなく?ふふっ、わかるよ?
疲れてるときとか落ち込んでるときとか、気分転換とかで外に出たくなる時あるよね。
あたしもそんな感じでさ、あたしも外に出てみたらちょうどあなたみたいな好みの・・・いや、えーなんていうか・・・
あんな大雨の中ばったり偶然出会うなんて、ちょっと運命感じちゃうよね?
んー、なーにその顔は?
女は運命って言葉に弱いんだから、そうだねーって言っとけばいいのに。
うふふふっ、ふぅ・・・ねえねえ。
紅って呼んで?紅桜は呼びにくいでしょ?
んー、耳にさ、囁く感じで。
駄目?お願い。
はい、どうぞ。
ふっ、息が耳にあたってくすぐったい。
ふぅ、でもありがと。
あたしだけじゃなくて、さっき会った二人も短く呼ぶようにしてるのはね、えーっと・・・えー、愛称?なんだっけ、ちゃんとした名前のほかに親しみやすく覚えやすい名前で呼ばせると、より親密になりやすくなる・・・らしいよ?
ってー、墨が言ってたの。
だから、ちゃんとした名前と紅って二つの名前があるの。
なぁに?計算高そう・・・って、それってつまり?
ものすごく褒めてる?
確かに墨はすごくお金の計算すっごい早いからね。
まあ、そんなことはいいのよ。
でさー、私の言いたいことわかるでしょ?
あれ?結構鈍い?
はぁ、しょうがないなー。
つまり、あなたと親密になりたいってことなんだけど。
ねぇ、そろそろ体温まってきた?ふふっ。
温まるっていうか、熱くなってきたんだよね?
うん、そうだよね。頭がぼーっとして、なんだか体もフワフワと。いや、重くなるのかな?
とにかく体が言うこと聞かないよね?
うふっ、大丈夫。心配しないで?
体はあまり動かせないけど、その代わりこれからどんどん気持ちよくなるから。
いろいろ出せば、ぜーんぶすっきりしてるはず。
ほら、体熱いよね?
着ているものは全部脱いじゃおうね。
それからその布団に横になって、ほら、おいで?
ん、大丈夫だよ。全部私に任せて?
ん?なにをするのか、知りたい?
うふふふっ、だーめ。
教えてあげない。
それはお楽しみにってことで。
あぁ、そういえば、ここの事を宿なのかとか言ってたけどぉ、ここはね?
男と女が交わる場所、男が快楽に覚えれる場所、私があなたをたっぷり味わう場所、だよ。
いらっしゃい、お客さん。