【導入】エルフの世界へ
★★【設定】★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
メインキャスト:ナレーター(女占い師)
貴方が無意識に訪れた各人の心の中に在ると云われる占い師の館。
周囲は黒い幕がオーロラのように幾重にも重なる暗闇に包まれる常世。
云われるがままソファーに横になった貴方は
妖艶な声に誘われ、意識は肉体を離れ、もう一つの世界へと誘われる・・・
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お客様…?
んふふ、ようこそいらっしゃいました。
現世の者がこの場所へ、こうしてやってくるのは実に久しいこと
歓迎致しますわ。
んふふふふ…
あら…とてもたくましい魂の器……でも、ふふふ…
心は…飢えて安寧を求めている。
やせ細り、心許なくて……今にも折れてしまいそうな小枝
わかります。 私にはわかりますわ。
それゆえ、貴方はこの幽玄の間……
数多ある世界が交わるこの地へと導かれたのでございますから…
ここへ辿り着いたのも何かの縁…
私が貴方をもう一つの世界へ旅立てるよう、お手伝いして差し上げますわ♪
さぁ、どうぞ服を脱ぎ、横になって下さいませ。
ふふ……いいのです、ゆっくりと、生まれたままのお姿に……
(待ち)
んふっ……脱げましたか……?
まぁ、、、たくましいお体・・・♪
さぁ……雪のように白くて柔らかい毛皮のソファーへと……
ゆっくり、ゆっくり。 貴方は、体を横たえる……
目を閉じ、スー……ハァ……
息を吐きながら…静かに、深く……そう………ふふふ
ここは心と体の境界が曖昧な世界。
服は心を覆う外套。
疲れた旅人が泉でそれを脱ぎ捨て、疲れを体の芯から癒してゆく……
ここはそんな、素敵な場所……
ほら、一糸纏わぬ貴方の心……
蒼く澄み渡る水面にゆらゆら、ゆらゆらと浮かんでいる。
雲ひとつ無い空、波は煌き……
貴方は『海』という大きな大きなゆりかごに揺られている。
------※------ [ 5分 ] ------※------
ゆらゆら……ゆらゆら……
大きく息を吸って、吐き出すぅ……体は海に沈んでゆく。
優しく……母親に包まれるように……
水の衣が優しく貴方を包み、息を吐く程、体は下に堕ちてゆく。
スゥーっと。 スゥーっと……
大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出す……また沈む……貴方は、深遠へ……
スゥー、ハァー……沈む、沈む、沈む……
美しい水面が徐々に……徐々に小さく、遠のいてゆく……
スゥー、ハァー……そして心は、暗い暗い海の底へ……
静かに、たおやかに……
ふわふわと……ゆっくりと…………堕ちてゆく。
ほら、御覧なさい……
辺りを照らす、淡く、小さな光……とても美しい……
けれど、それは貴方を元の世界へ引き戻す最後の光……
だから……
フゥー
消してしまう……
最後にもう一度……
フゥー
光は風を受けたロウソクのように消え去り…辺りは淡い蒼に包まれる…
優しく包む闇は暗く…光が届かない…海の底…
あれはなんでしょう……闇の中にある小さな輝きは……
それは弱い浮力で優しく、優しく舞い降りる……
……光り輝く水晶の玉。
海を固めたような蒼く輝く優しい、優しい何か。
貴方を追って、ゆっくりゆっくり落ちてくる。
もう手を伸ばせば届きそう……
------※------ [ 10分 ] ------※------
蒼い玉は揺らめきながら、おなかで静止する。
そして……貴方の本当の姿を映し出す。
覗き込む貴方……これはそう…戦士だ。
無駄の無い筋肉。 肌には至る所に刀傷。
短髪で、小さなナイフ一本でも魔物達を凌駕する圧倒的な戦士。
それが貴方の…もうひとつの姿。
とても…とてもたくましい貴方…
頼り甲斐のある、逞しい戦士様…
そして、それを取り囲むのは美しい耳の長い女たち。
それは、エルフ達の住まうもう一つの世界。
深き森へとあなたは誘われる……
さぁ、横になったまま、両の手足をダランと垂らして…
本当の貴方へと、堕ちてゆく・・・堕ちてゆく…堕ちてゆく…
体から離れ心だけがもう一人の貴方へと、ゆっくり…ゆっくり…堕ちてゆく…
ゆっくり…ゆっくり…
静かに…静かに…
堕ちてゆく…