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就寝「女王の童話」

★★【設定】★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ メインキャスト 【セ】王女セシリア 眠れぬ主人公は女王セシリアの部屋に行く。 彼女は丁度就寝前。 ベッドに誘われると彼女は貴方を包み込み、まるで子供を寝かしつけるように エルフの童話を詩ってくれたのでした。 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ まぁ、こんな時間にどうしたのです? あらあらぁ、眠れない?それは困りましたねぇ~。 でも、もうこんな時間ですし、お話すると楽しそうですが、明日がしんどいですものねぇ。 うーん…… そうだわぁ~♪よく娘が眠りたく無いとぐずった時に聞かせたエルフに伝わるおとぎばなし、 それを横で寝聞かせれば、貴方もすぐにスヤスヤと眠れるはずですわぁ~♪ ささ、こちらにいらして。はい、遠慮なさらずお布団の中に。 んふふ、あの子と最後に眠ったのはいつかしら、、、今宵は大きな子供のお客さんだけど♪ ほら、遠慮なさらないで。もっと、も~っと、近づいていいんですよ? この枕に頭を横にして、、、体の力を抜いて…すぅ~~~~はぁ~~~~ んふふ、眠たかったらいつでも寝ていいですからね… はい。それはむか~しむかしのおはなしです。 とある小さな村に、それはそれはきれいなエルフの姉妹がいました。 二人はとってもとってもなかよしさん。 1つの命が間違って二つに分かれてしまった。 そう思うくらい、どこへ行くにも何をするにも一緒の二人。 好きな食べ物もいっしょ、よく最後の一切れで大喧嘩になりました。 虫が苦手なのもいっしょ、家に虫が入ったらもう二人で大慌て。 楽しい時はいっしょに笑い、悲しいときは手を握っていっしょに泣きました。 そんないつでもいっしょの仲良し姉妹。 でも、困ったことになってしまいました。 ある日、村にやって来たとある国の商人に二人は恋をしてしまったのです。 「お姉ちゃん、あの人好きでしょ」 「あなたもそうなのでしょう?」 「どちらかを好きになってくれたらいいね」 「ええ、そうね♪」 二人はそう言って微笑みました。 優しい姉妹は心の底から、相手の幸せを願っていたのです。 それからしばらくして、『美しいエルフの姉妹』の話が商人の耳に入りました。 彼はどんなものか一目見ようと足を運ぶと、あっという間に姉妹に心奪われていました。 やがて三人は姉妹と仲良くなり、好意を抱くようになりました。 三人で森へピクニック。 二人でばつが悪そうにフタを空けたお弁当の中身は真っ黒こげ。 それを彼はおいしいといって、がんばって食べてくれました。 二人も食べると、やっぱりおいしくありませんでした。 三人は苦い顔を浮かべ合うと、その顔が可笑しくてケラケラと笑いあいました。 とても優しく、素敵な時間でした。 しかし、そんな素敵な時間にも、やがて終わりが訪れようとしていました。 商談がまとまり、彼は国に帰らなければいけなくなったのです。 彼の国では結婚できるのは一人だけ。二人を連れ帰るにはどちらか一方を選ばねばなりません。 そして優しい彼にはどちらか一方だけを選ぶことなどできないことを姉妹は理解し、 そのまま別れの日を迎えようとしていました。 そんな折、商人と姉妹の関係を知った村長の娘が、それを苦々しく見詰めていました。 静かに彼女達に近づくと、徐々に衰弱して死に至る薬を二人、『別々』に渡したのです。 薬を飲み始め、互いに弱ってゆくことを隠す二人。 自分が辛くなる程に妹が、姉が、彼と一緒になれると感じ、二人は悲しくも幸せでした。 しかし、ついに隠せなくなる程に衰弱し、死期を悟った姉は夜、家を抜け出しました。 最後に、死ぬ前に、彼を一目見ようとの想いからでした。 いつもならすぐ着く道のりを、ゆっくりと、一歩ずつ進みます。 歩みを進める度に重くなる細い足。やっとの想いで辿り着いた彼の泊まる宿。 彼女の顔に弱弱しいながらも笑みがこぼれました。 最後に彼を一目見れる。そして自分の分まで妹に幸せを……と。 しかし、その笑顔が凍りつきます。 なぜなら、宿の前に自分と同じ後姿の……家で寝ている筈の妹が倒れていたからでした。 姉はそこで全てを理解しました。村長の娘が自分達を妬み、二人に毒薬を薦めたことを。 彼女はすぐにも駆け寄りたかったですが、もう、どこにもそんな力はありませんでした。 いもむしのように地を張って、泥だらけになりながら、 やっとの想いで妹の元に辿り着き、彼女の顔を覗き込みました。 それはそれは、幸せそうな笑顔でした。 妹は姉の幸せを想ったまま倒れたのです。 扉の外で女性が咽(むせ)び泣く声。 それに気付いた宿の主人が慌てて医者を呼んだのは、それから間も無くのことでした。 ………… そして長い長い時は経ち… 商人の国は二人のエルフを娶った王の時代に最も栄えたという伝説が今も語り継がれています。 それによると、村を訪れた商人は身分を偽ったその国の王子で、 姉妹の愛に胸を打たれた王が姉妹を娶ることを特別に許されたということです。 そして王と后になった三人は、末永く幸せに暮らしましたとさ。 めでたし、めでたし。 ------------------------------------------------ はい、これがエルフが国を作る前から伝わる、ニンゲンとの素敵な物語ですわぁ。 姉妹が無事で本当に良かったわよねぇ……それにしてもいつも気になるんですが、 毒を盛った村長の娘ってどんな罰を受けたんでしょうねぇ? 私だったらお尻ペンペンしちゃいま……ってあららぁ、寝ちゃい……ましたかぁ? んふふ、かわいい寝顔ですわぁ 私もこんな素敵な恋がしたいですわねぇ…… もう目の前に素敵な王子様はいますけど、ふふっ♪ それじゃぁいっしょに寝ましょうね、私の王子様。 ……ちゅっ♪ おやすみなさい…… (寝息) ………… …… END

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