導入
アルコール・トリップ
いらっしゃいませ。
ようこそ、「アルコール・トリップ」へ。
当店は、日々の生活に疲れたお客様を、お酒と、私のサービスで、癒させていただくお店です。
お客様は、どのようなお酒が、お好きですか?
芳醇な香りと、ほんのりとした渋みのある、ワイン。
ハーブの香りが刺激的な、薬草のリキュール。
様々な香りと風味の溶けこんだ、果実のリキュール。
ほんのり甘い香りと、しっかりとした腰のある、ウイスキー。
みずかしの香り漂う、日本酒。
すっきりとした味わいの、ウォッカ。
複雑な香りが絡みあう、ジン。
他にも、他にも…
世の中には、それぞれ、とっても個性的で…
とっても、美味しいお酒が、たくさんありますよね。
ここには、私がこの目で、この舌で、しっかりと選び抜いた、美味しいお酒を、取り揃えてあるんですよ。
もちろん…これらを組み合わせて、とっても美味しいカクテルを、お作りすることも出来ます。
でも…
お客様、とっても、お疲れのようですから…
今日のメニューは、私にお任せしていただけますでしょうか。
きっと、ご満足いただけるように、精一杯努力させて頂きますから…ね?
ふふっ、それじゃあ、まずは…
あったかいもの、お作りしますね。
ホット・バタード・ラムっていう、ちょっと長い名前のカクテル。
お湯で割ったラムに、バターの風味をつけたもので…
レーズンとか、ちょっと甘いおつまみによく合うんですよ。
コップに、美味しいラムを少し注いで…
そこへ、お湯をそっと注ぐ。
そして、バターを乗せたら…
シナモンスティックで、くるくる、くるくる、かき混ぜるの。
ラムとバターが、くるくる、くるくる、混ざっていく。
とろとろ、とろとろ、溶け合っていく。
ラムの、あま~い香りが広がる。
ふんわりと、バターの香りが広がる。
とっても、美味しそう…
くるくる、くるくる、融け合って…
グラスの中に、美味しい、美味しい、カクテルが…
一つの世界が、出来上がっていく。
くるくる、くるくる…
はい、出来上がり。
とっても甘~い、ラム酒の香りと…
ふんわりとした、バターの香り。
そして、ほんのりと、シナモンの良い香りがして…
とっても、美味しそう♪
少し、熱くしちゃったので…
良い温度になるまで、じっくりと香りを楽しんで下さいね♪
すぅっと、香りを吸い込んで。
お湯で温められて、香りが開いてるから…とっても濃厚な香り。
ふぅ、っと、息をつくと、香りが、全身に染みこんでいく。
息を吸う度、全身に、あま~い香りが広がっていく。
なんだか…とっても、いい気持ち。
息を吐く度、広がった香りが、全身に染みこんでいく。
ふわふわとした、とっても、いい気持ち。
香りを嗅いでいるだけで、なんだか、ぼんやりと、いい気持ちになる。
香りを嗅いでいるだけで、なんだか、心が落ち着いてくる。
うん、そろそろ、ちょうどいい温度ですね。
さ、どうぞ。
コップの取っ手を掴んで…
そっと、口元へ。
温かいお酒が、ゆっくり、ゆっくり、口の中に入ってくる。
舌に、染みこむ。
温かい…
甘い…
こくん、と、飲み込む。
全身が、ぽかぽか。
ふんわりとした、いい気持ち。
どんどん、どんどん、飲み込んでいく。
口の粘膜に、お酒が、染みこむ。
温かい…
甘い…
口の中いっぱいに、お酒の香りが、味が、広がっていく。
心地いい…
美味しい…
こくん、と、飲み込む。
喉へ、胃へ、お酒が染みこんでいく。
香りが…
味が…
アルコールが。
全身に、ゆっくり、ゆっくり、染みこんでいく。
全身に、ゆっくり、ゆっくり、溶けこんでいく。
なんだか、ふわふわした感覚が、全身を包んでいく。
それは、酔い。
とっても、心地いい感覚。
雲にのって、ふわふわ、浮かんでいるような…
そんな感覚が、全身を包んでいく。
飲めば飲むほど、お酒が染みこむ。
飲めば飲むほど、酔いが回っていく。
意識が、だんだん、ぼやけてくる。
心地良い、
ふわふわした感覚に包まれて…
なんだか、とっても、いい気持ち。
カクテルに浮かべた、バターのように。
とろとろ、とろとろ、溶けていく…
体が、じんわり、温かい。
心が、じんわり、温かい。
とっても、心地いい…
とっても、気持ちいい…
ぽかぽか…ぽかぽか。
体が、あたたまる。
とろとろ…とろとろ。
心が、とろけていく。
最後の一口を、飲み干すと…
心も、体も、もう、とろとろ。
うっとりとした、恍惚感に満たされて、とっても心地いい。
ふふっ。
お次は、とっておきのカクテル、ご馳走しちゃいますね。
アルコールトリップっていう、私のオリジナル。
お店の名前と、一緒ですね♪
コレは、特別なカクテルなんです。
飲んだ人の心を解放する、不思議なカクテル。
とってもピュアな部分を呼び覚ます、美味しいカクテル。
グラス一杯のお酒で行く、とっても気持ちいい、心の旅…
そんな意味を込めた、特別なカクテル。
ゆっくり、楽しんで下さいね♪
ベースのお酒と、リキュール、それから果汁を、おっきなグラスに注いで…
氷をいくつか、ちゃぷちゃぷ、入れて。
くるくる…くるくる、かき混ぜるの♪
くーるくる、くーるくる。
お酒が、リキュールが、果汁が。
くるくる、くるくる、混ざりあう。
香りが、味が、融け合っていく。
くーるくる、くーるくる。
かき混ぜると、どんどん、お酒がまろやかになる。
どんどん、美味しくなっていく…♪
お酒が出来たら、一工夫。
カクテルグラスのフチに、お塩を付けるの。
そしたら、そぉっと、カクテルを注いで…
ふふっ、完成♪
ピンク色に、キラキラ光って…とっても、綺麗♪
それに…とっても、良い香り。
お酒と、フルーツ…
美味しい香りが、融け合って…
あなたの脳を、刺激する。
ほら…
香りを、楽しんで。
ちゃぷん、と、グラスを揺らすと…
ふわり、ふわりと、いろんな香りが、波になって…
あなたを、包み込んでいく。
あま~い香り…
爽やかな香り…
それに…
濃厚な、お酒の香り…
嗅いでいると、頭が、ぼんやりとしてくる。
嗅いでいると、なんだか、楽しくなってくる。
ただただ、心地良い。
ただただ、楽しい。
ふわふわした頭の中を、恍惚感が、陶酔感が、埋めていく。
気持ちいい…心地いい…
ほら…
もっともっと、楽しんで。
カクテルが、グラスの中で、ちゃぷん、ちゃぷん、と、揺れる。
キラキラしたピンクが、ちゃぷん、ちゃぷん、と、揺れる。
揺れる度、ふわん、ふわん、と、様々な香りが、漂ってくる。
すぅ…っと吸い込むと、頭が、ふわふわした感覚に包まれる。
ふぅ…っと吐き出すと、ふわふわが、全身に染み渡る。
とろとろになった心と体に、どんどん、どんどん、心地よさが…快楽が、染みこんでくる。
香りを嗅いでいるだけで…うっとりとした感覚に包まれる。
酔いが、心に、体に…あなたの全てに、回っていく…
それじゃ、そろそろ…舌で、味わってみましょうか。
ゆっくりと、グラスを口元へ運んで…
そっと、口をつける。
グラスのフチにつけた塩が、ざらり、と唇を刺激する。
ひんやりと冷えたカクテルが、塩を巻き込みながら、あなたの唇を、濡らす。
そのまま、ゆっくり…口の中に、入ってくる。
塩で、味が引き締まって…とっても美味しい。
たっぷりと空気を含んで、舌触りが、とってもふわふわ。
まろやかで…クリーミーで。
口の中が、とっても、幸せ。
果実の風味が、香りが、アルコールが…
口の中に、広がっていく。
粘膜に、舌に、口の中いっぱいに、染みこんでくる。
酔いが、どんどん、広がっていく。
酔いが、どんどん、染みこんでくる。
少し、口に含んだだけで…
口の中が、とっても、幸せな感覚に包まれる。
あまくて、ふわふわで…
とっても、美味しい。
とっても、心地いい。
ほら…
もっともっと、楽しんで。
口の中から、幸せな感覚が…
うっとりとした、心地いい酔いが、頭の中まで、広がっていく。
頭の芯まで、酔いに、とろけていく。
香りが…
味が…
酔いが。
全身を、とろとろに溶かしていく。
意識を、とろとろに溶かしていく。
ただただ、心地良い。
ただただ、気持ちいい。
酔いが、全身に広がっていく。
酔いが、全身を溶かしていく。
頭の先から、足の先まで…
お酒の快楽に…
酔いに、とろける。
気持ちいい酔いで、頭の中は、もう、とろとろ。
気持ちいい事に埋め尽くされて…
余計な思考が、消えていく。
どんどん、どんどん、単純になる。
どんどん、どんどん、純粋になる。
現実のしがらみも…
長年、培ってきた理性も…
気持ちいい酔いに、押し流されて…
純粋な、あなた自身が、残される。
意識が、どんどん、ぼやけていく。
周りの世界が、どんどん、遠くなっていく。
ただただ、私の声だけが、あなたの心に、響いている。
他のものは、消え去って…
あなたと、私。
ただ、それだけになる。
意識が、ふぅ…っと、落ちていく。
もやもやと、ぼやけた世界さえも…遠くなる。
温かい、闇の中へ…
意識が、すぅ…っと、落ちていく。
温かい闇に、包まれていると…
余計なものが、どんどん、どんどん、闇の中へ、溶け出していきます。
どんどん、どんどん、純粋になっていきます。
静かな闇の中で、あなたは、とても純粋な状態に、なっていきます。
次に、私の声が聞こえる頃には…
まるで、少年の頃ような…とっても、ピュアな状態になっていることでしょう。
幼かった、あの頃へ。
しがらみのなかった、あの頃へ。
純粋だった、あの頃へ。
きっと、戻ることが出来ますよ。
そしたら…ふふっ。
お姉ちゃんが、遊んであげますからね…♪
さぁ…それじゃあ、また、後で。
お待ちしてます…♪
(一分間無音)