導入 (誘導後半)
ちゃぷん…
ちゃぷん…
ゆっくり、ゆっくり、波に揺られて…
ココロも、体も
ゆらーり…
ゆらーり…
揺れる…
揺れる…
暖かさに、心地よさに、包まれて…
ゆら~り…
ゆら~り…
ほら…
声に…
お湯に…
身を任せて。
ゆら~り…
ゆら~り…
揺れる…
揺れる…
ココロを、体を、優しく揺られていると…
ふわふわ、ふわふわ、浮かぶような感覚が、生まれてくる。
ゆら~り…
ゆら~り…
揺れる…
浮かぶ…
ぽかぽか…
ぽかぽか。
ゆら~り…
ゆら~り。
だんだん、ココロが、落ち着いてくる。
とっても、心地いい…
心地いい感覚に、包まれて…
だんだん、だんだん、意識に、靄がかかってくる。
ただただ、心地いい。
心地よさの中で、私の声だけが、聞こえている…
ゆらーり…
ゆらーり…
声に、波に、揺られていると…
意識が、ふぅんわり、浮かんでいく。
ゆらゆら…
ふわふわ…
意識が、ふわふわ…浮かぶ。
感覚が、だんだん、だんだん、ぼんやりしてくる。
肉体の感覚が、すぅっと、消えて…
ただ、ぼーんやりとした、意識だけになる。
ただただ、心地いい。
あたたかい。
他には…何も無い。
あたりは、真っ暗で…
ただ、あなただけが、そこにいる。
闇の中に、ぽつん、と、ひとつ存在する、ぼ~んやりとした、ヒトガタ。
それが…あなた。
他には、何も存在しない。
上下も…
左右も…
よく、わからない。
自分の体の感覚も、なんだか、ぼ~んやりとして…
よく、わからない。
腕と、足と…
頭と、体。
ただ、それだけ。
ここでは、細かい事を意識する必要なんて無い。
ただ、ぼんやりと、存在しているだけでいい。
別に…誰が見てるわけでも、ないんだから。
私の声だけが、響いて…
あなたの意識だけが、そこにある。
それで、いいの。
今、あなたがいるのは…
とっても暖かくて、とっても心地良い、闇の中。
この、真っ暗な世界はね…
私の世界と、あなたの世界の、丁度中間にある世界。
世界と世界の、狭間の世界。
ごくごくたま~に、人が迷い込む以外には…
ほとんど、誰も訪れることの、ない世界。
なんのしるべもない。
なんのあかりもない。
なんだか、あま~い香りがして…
とっても、あたたかくて…
すごく、心地いい、優しい闇のある世界。
もっとも…ハロウィンの時だけは、特別だけど。
ほら…最初に言ったでしょ?
ここなら、誰にも邪魔されることがないから…
気に入った子を連れてきて、イロイロ、遊んじゃう魔物がいる、って。
まぁ…行き過ぎたことがないように、私が管理してるんだけど、ね。
サキュバスなんかに、たまーにやり過ぎちゃう子がいてねぇ…
あの子たち、この世界にこっそり潜んでたりするから、気を付けないとね。
吸いつくされるまでは行かないまでも…
結構、がっつりいかれちゃうからね。
まぁ…私がそばにいる限り、何もして来ないけど、ね。
さぁ…それじゃ…
そろそろ、一緒にいきましょうか。
私のおうちに、連れてってあげる。
いーい?
はぐれちゃったら、探すの、大変だから…
しっかり、私の声に、ついてきてね。
ほら…こっちだよ。
こっち…
こっち…
ほら…こっちだよ。
こっち。
さて、と…
ここからが、大変なんだよねぇ…
いーい?
ここから先は、
複雑な道のりだし…
樹海なんかと一緒で、
ただ、歩いてるだけじゃ、
まっすぐは歩けないの。
私の声がする方に、
常に、意識を向けて…
ちゃんと、
ついてこないと…
簡単に、はぐれちゃうよ。
出来るだけ、こまめに声をかけるから…
私の声に、ついてきてね。
ほら…
こっちだよ。
こっち。
こっち。
くすっ…
あまーい空気を、たーっぷり吸い込みながら…
ふわり…ふわりと、お散歩。
声を、聞きながら…
声の方向を、意識しながら…
ふわふわ…ふわふわ…
歩いて行く。
あま~い世界に、侵されて…
頭の中が、
どんどん、
どんどん、
とろとろになっていく。
ふわふわ、ふわふわ…
声を、たどっていくと…
だんだん、だんだん…
意識が、ぼんやりとしてくる。
心地いい、闇の中を…
声だけをたよりに、
ふわふわ、ふわふわ、
歩いて行く。
でも…
とっても、あまくて…
とっても、心地いい香りに包まれて…
あまり、疲れは、感じない…
ただただ、心地いい…
ただただ、気持ちいい…
ぼーんやりと、きもちいーい感覚に、包まれながら…
あたしの声を、追いかける。
ほら…
こっちだよ…
こっち…
こっち…
ぉーぃ…
ほら…ちゃんと、ついてきて…(囁き)