訪問 -妖精(ロリータ)の夏-
「訪問 -妖精(ロリータ)の夏-」
【プロローグ】
「お兄ちゃーん! メールだよッ。優奈からのメールだよ! 着信! 着信中ゥ♪」
優奈特製の着ボイス。
誰かに聞かれたら、いいわけのしようがない、恥ずかしい…それ。
でも、オレはこれを聞くとドキワクが止まらない。
なんたって、大好きな優奈からの…メールだから。
「やっほー、お兄ちゃん♪
あさってから夏休みなんだけど、そっちに遊びにいってもい〜い?
ま、さ、かぁ。
ダメ…なんていわないよね?
(ダメって言われたら優奈、泣いちゃうから…↓)
優奈、お兄ちゃんと会えるのを楽しみにしてるんだから!
だって一年ぶりなんだよ!
イイお返事待ってまーす♪
…お兄ちゃんに会うのが楽しみな優奈より
P.Sちゃんと優奈の着ボイス使ってくれてる?」
優奈め…♪(ニヤニヤしながら)
優奈を大好きなお兄ちゃんは、ちゃんと、使ってるぞ。
オレは夏休み中だって構わないぞ…って即返信。
さすがに、それはムリがある…か(笑)。
でも、やっと、会える。
優奈。
小神野優奈(おがみのゆうな)とは、去年、急逝(きゅうせい)したじいちゃんを弔問に家族で訪れた田舎で初めて会った。
子供の頃に家族旅行で行った時には生まれてなかった、お袋の弟、叔父さんの一人娘…。
○○のオレとは、やばいくらいに年が離れてたけど、
一目でオレは…優奈に眼を奪われていた。
同年代のコにはない…魅力?
まっさらで…、透き通って…。
ああっ! ちくしょうっ。うまく言葉にできないっ…。
口に出すとすんげえありきたりになっちまう…。
“清純”の漢字二文字で現せちゃう…コ。
今時、いないだろ。
とにかくっ…美少女なのはマチガイないんだ。
…けど、それだけじゃない。
…死んだじいちゃんを悼む姿が……とにかく儚(はかな)かった。
でも、そんな姿が白く輝いて見えた。
…ひどく眩しかった。
こんなコがいるんだ…と、オレの心は優奈に奪われていた。
じいちゃんが死んだってのに、オレは…、彼女ばっかりみてて。
なにやってんだって、自分でもわかってたけど…。
そんなオレに彼女が気づいて、話しかけてきたんだ。
…多分、周りがおじちゃんおばちゃん連中ばっかで、オレが1人、若くて浮いてたからだと思う。
話しやすそうだったからじゃないかと。
今となっては、その時、オレが何を話したかなんて覚えちゃいないけど。
…たぶん、慰めの会話だった…ハズ。
もう、思いがけない展開に舞い上がって一生懸命しゃべってた。
そのあまりの勢いに優奈もびっくりしてた…と思う。
でも、ウソ偽りのない真剣な慰めの言葉の連続に…優奈は、
「そんなにいっぱい慰めてくれるなんて、お兄ちゃん、優しいね…」
…っていったんだ。
オレは真っ赤になって、しどろもどろ。
それでも、踏ん張った。
オレは年上風を吹かせるように、
“いつだって慰めてやるから”ってメールアドレスを教えたんだ。
もちろん、返事なんてくるわけはないって思ってた。
だって、年も違うし、なんたって優奈とはこの日に初めて会ったんだし。
でも、…でも、だ。
優奈と別れて数日後に返事がきた。
きたんだよ!
オレはびっくり!
急いで返事を書いて送って、その早さに逆に驚かれたり。
だって、嬉しかったんだ。(苦笑)
わかるだろ?
好きなコからのメールだぜ??
そうして、メールのやりとりが始まった。
優奈の相談、他愛もない報告。
そんな…日常、ささいな内容。
たまに写メも交換したり。
さっきの着ボイスだって優奈がノリで作って送ってきたんだ(笑)。
仲良くなってるって実感、手応えはあった。
“また、会いたい。
夏休みになったら会えるといいね”
それは、メールのやりとりの中で自然に出た、2人共通の思い。願い、だった、と思う。
それがまさか本当に実現するとはっ!
でも、会いに来るとはいってたけど、優奈の叔父さん夫婦は許すのかな。
なんたって、まだ○○だし。
いざとなったらオレが助け船を出す……か。
…そんなオレの心配は、
杞憂だった。
親父もお袋も、優奈が家に遊びに来るのに大賛成だった。
叔父さん夫婦も特に反対はしなかったらしい。
大学生のオレを臨時の家庭教師に見立ててるらしく、夏休みが終わったら成績アップ間違いないわね。っていってるらしい。
そこそこに名の知れた国立大学生の面目躍如ってとこかな(苦笑)。
ウチのお袋も“娘が欲しかったのよ。あの優奈ちゃんならいつでも歓迎よ”
っていってるくらいだった。
とにかく、これで、夏休みはなんの障害もなく、優奈がこっちにくる。
それも夏休み中、だ。
よっしゃあっ!
自然と顔がほころぶ。
バイトはそこそこにしないとな。
優奈と一緒の時間が減っちまう。
…どこに遊びいこう…。
オレは優奈との時間をどう過ごそうか考えながら、まどろんでいった…。
…夢。
オレは夢を見ていた。
優奈の…夢。
それは…イケナイ…夢。
夢にでてくる優奈は…。
っんぁああぁっ!!
…跳ね起きた。
オレは…汚れたパンツをこっそり洗いながら、
さっき見た優奈の夢を思い出して自己嫌悪…。
何やってんだ…オレ……。
【其の一・妖精少女】
「お兄ちゃーーん♪」
…夢じゃない。
着ボイスでもない、声。
携帯越しなんかじゃない優奈、本人の声、だっ。
ここは、待ち合わせの駅。
そして、待ち合わせの時間。
待ち焦がれていた夏休みの初日、
優奈はやってきた。
笑顔で走り寄ってきた。
真っ白いつばの大きい帽子、肩の出た白いワンピース、白いスニーカー。
手に提げた大きめの鞄と、背中のリュックだけが違う色だ。
やっぱり、写メで見ていた優奈とは違う。
一年ぶりに見る実物の優奈は…、
まだ、…少女だった。
でも、相変わらず…いや、予想以上に美しかった。
でも、少女っ…。
オレは自分にそう、言い聞かせた。
そうだ、優奈はオレと…年が○も違う…○学生……なんだ。
身長だって会った時より大分伸びているけど、150もないだろう。
優奈の透き通るような白い肌が眩しい…。
それは夏の日差し。人の形をした太陽。
直視したら…チリチリと眼が灼(や)け焦げる。
思わず、眼をつむっていた。
「ちょっとぉ、お兄ちゃん、なに眼をつぶってるのぉ。優奈はココだよ!」
呼びかけられて、おそるおそる…目を開けた。
目の前には、いきなり目をつむったオレを不思議そうに見つめながら、小首をかしげる優奈がいた。
眩しいっ。
優奈、やっぱし、お前は眩しいよ。
こんな近くで……耐えられないっ。
オレは必死に優奈から眼をそらしながら、さりげなく、手に提げた大きめの鞄を持ってやった。
「あはっ、さっすが、お兄ちゃん。気が利いてるぅ」
…当たり前だろ。
フツーの男子は、レディにこんな重そうな荷物持たせっこないんだ。
ん…結構、重いぞ、これ。
夏休み分の荷物となるといっぱいなんだなぁ。
こんなの持って、優奈、家出少女とかって間違えられたりしなかったか?
「あー、そうっ、そうなの、お兄ちゃん、ひどいんだよっ」
…図星だったのか、それからしばらく優奈のグチが続いた。
オレは優奈の可愛らしい声を聞き逃すまいと耳を傾け、時折、口をはさんだ。
優奈に目をやられたが、口は大丈夫、滑らかだ。
優奈の声が笑いに弾(はじ)けるとオレの心も弾(はず)んだ。
健康的な細い足と腕が目の端で元気に動く。
オレの家までは、歩いても15分だ。
この分じゃ15分なんてあっという間だな…。
当の優奈は自然にオレの腕に手をからませて歩いていく。
腕に触れる優奈の…素肌の感触。
肌と肌が触れたそこに神経が、全神経が集中していた。
優奈の肌の熱とひんやりとした汗を感じた。
……。
…………。
「お兄ちゃん、ココ? ココがお兄ちゃんのお家?」
…ぇあっ!?
オレが立ち止まったので優奈はそう声をあげた。
……オレは、我に返って、周りを見渡した。
あ、あぁ、そうそう、ココだよ。優奈。
…家だ。
目の前に家があった。
いつの間に…。
オレは優奈の手を引いて家に迎え入れた。
ようこそ。
ここが優奈の夏を過ごす…家だよ。
そういって優奈にニッコリと笑顔を向けた。
「お世話になりまーす。お兄ちゃん♪」
優奈はそういってぴょこんと頭を下げた。
その勢いに、肩より長い髪が跳ねた。
…オレは今頃、優奈の髪が意外に長いことに気がついた。
【其の二・夏の住み処(すみか)】
優奈は歓待された。
もう、文字通り。
その日の夕飯もいつになく豪華でお袋のもてなしっぷりがわかった。
親父も娘ができたって大喜びだ。
食卓は優奈を中心に盛り上がっていた。
…オレは1人、蚊帳の外だ。
でも、優奈は、そんなオレに気を使ってか、自然に話題を振って会話に引き入れる。
おいおい、そんな年で…こんな気配りができちゃうのか。
オレは箸を伸ばす手を止めて、目を丸くして、優奈の横顔を見つめた。
…感心。
食事を終え、優奈は食べ終わった皿を手に、「洗い物、手伝いますね」と、立ち上がった。
“あら、長旅で疲れてるんじゃないの? 今日はいいから、お風呂はいっちゃいなさい”
優奈は「そんな…」と、固持するが、
“啓太の汗で汚れた風呂になんて入れられないから、一番風呂は優奈が入ってもらいたいの”
…そうきたか。
優奈はそれでも、お袋に抵抗したが、結局は、お袋に押し切られた。
「じゃあ、明日からさせて下さいね、お母さん♪ 必ずですよ」
優奈に、お母さんって言われてお袋はデレた。
…はは(苦笑)。
優奈はそのやりとりを微笑ましく見つめていた親父に洗面所の場所を教わり、キッチンを後にした。
オレはお袋の“あんたが代わりに洗い物をするのよ攻撃”をかわし、自分の部屋に逃げ込んだ。
夏休みを過ごす優奈の部屋には、物置同然だったオレの隣の部屋があてがわれた。
オレは事前に部屋を掃除して、今日は優奈の荷物を運んでやった。
優奈が部屋に入って荷物を取り出して10分と立たず、みるみるうちに部屋の雰囲気が変わっていったのには驚いた。
なんというか、
…華?
部屋ってやつは、持ち主1人でこんなにも変わるもんかと。
オレは感心した。
優奈は私物をすこしだけ持ってきていた。
お気に入りの熊のぬいぐるみ。
花柄の枕。
(枕が変わると眠れないらしい(笑))
あとはリラックスするためのお香。
どれも優奈にぴったりで可愛らしかった。
ベッドに寝転がり、そんな事を思い出していた。
そうでもしないと、考えてしまうからだった。
彼女が、お風呂…。
…想像するなってのが…無理……。
枕に顔を埋めた。
視界が闇に飲み込まれ、
代わりに白い妖精が現れた。
…優奈。
白いワンピースを着た優奈だった。
彼女は、ワンピースの肩に手をかけ、止まった。
その下…。
白いワンピースの下。
ワンピースの下の……。
“…啓太っ、優奈ちゃん、上がったから、あんたもお風呂入っちゃいなさい”
…お袋の声で…台無しだ…。
オレはベッドから起き上がり、部屋を出た。
「一番風呂、気持ちよかったよ♪ お兄ちゃん」
バスタオルを巻いただけの優奈が階段から降りるオレと入れ違えるように階段を駆け上がっていく。
あまりにも…無防備。
「えへへ、着替え忘れちゃった…の」
思わず、振り返り、見上げた。
「もぉっ、下から見上げちゃだめぇっ!」
ご、ごめっ。
オレは反射的にそう答えて、慌てて視線を戻した。
…優奈は真っ赤になりながら、タオルのお尻を押さえるようにして、階段を駆け上がっていった。
バタンっ。
(部屋の扉を開ける音がして、もう一回、今度は閉まる音)
バタンっ。
一瞬だけ、見えた。
タオルから伸びる脚…。
その付け根はもちろん、タオルに隠されて見えなかった。
でも、その優奈を捉えた一瞬、一コマは確実に、網膜に焼き付いた。
優奈……。
自然と名前を呼んでいた。
廊下には優奈のシャンプーの匂いだけが残っていた。
(シャワー音)
オレはシャワーで心と体を鎮めようとした。
でも、…鎮まらない。
流れて消えていくのは優奈の残り香だけだ。
階段の一コマに加え、新たな刺激が…、
なんたって、この湯船には…優奈がさっきまで……つかっていたんだ。
ただのお湯じゃない…。
そんな考えをするのは…変態か…?
変態なのかっ。
優奈がやってきた初めての夜で…こんなんじゃ…、
夏休みは始まったばかりなのに、
オレは…。
……オレは…。
…湯船に肩までつかり、そっと湯を手のひらですくい、
…こぼした。
もう一度、手のひらを湯に沈めて、すくった。
そのまま、湯を見つめて…。
凝固。
お湯に…優奈の姿が映った。…見えた。
今度は、口に……含んだ。
ゴクッ…ンッ。
味は…
しなかった。
【其の三・夜の戯れ】
風呂から出たオレを寝間着姿に着替えた優奈が迎えた。
ギンガムチェック柄のワンピースだ。
髪ももう乾かし終わったらしい。
前髪だけ、ヘアピンで両脇に止めて額を出していた。
これがまた、かわいい。
今日は、そればっかりいってる気がする。
…優奈はほんと、ワンピース好きなんだね。
寝間着も、とは思わなかったよ(笑)。
「だって、かわいいんだもん」
そういってくるりと回転して見せた。
裾がふわりと優美に弧を描いた。
「どぉ、優奈、かわいい?」
んー、どうだろ。
…思ってないことを口にしてしまっていた。
オレはガキか…。
「えーっ?! これ、お気に入りなんだけどっ、似合ってないかなぁ」
そんなことを言われて意外だったのか、優奈は困ったような表情をしてオレを見つめた。
優奈のそんな顔が…。
“こら、なんてこというの、このバカ息子っ! 優奈ちゃん、よく似合ってるよ。ほんと、お人形さんみたい。母さんの若い頃にそっくりで、ほんとかわいぃわぁ…”
…おいおい。
そりゃないないって…。
オレの真意を知らず、テキトーな事をいいやがるお袋に呆れた。
大体、こんなかわいい優奈が着る服がかわいくないわけないじゃないか。
…ん?
服を褒めてないな(笑)。
イヤ、かわいいんだから、いいか。
でも、オレの言葉で、こんな表情の優奈が見れた。
笑顔じゃない優奈。
レアな優奈、それが満足だった。
似合ってないって一言もいってないだろ。
遅ればせながら、フォローの言葉を口にした。
「そ、そう? …ほんとに?」
オレを見上げる不安げな瞳。ちょっぴり茶色がかっている。
迎えに行った時は直視できなかった至近距離の優奈。
相変わらず眩しいけど、ここで、眼をそらすわけにはいかなかった。
堪(こら)えた。
眼を見て優奈の不安を…消してやらないと。
…優奈の長いまつげはキレイにウエーブを描き、まぶたは二重でくっきり、めじりはやや下がっていて、優しい感じ。
小さいが彫りの深い鼻立ち。
唇は全体的にバラ色で薄くて形がいい。
写メで見た優奈も可愛いかったが、改めて本物の優奈の可愛いらしさ、美しさを認識した。
…直視できたのはそこまでだった。
「ゲ、ゲームでもするか?」
オレは右手を銃のように構えるとパンパンと声に出して見せた。
優奈はきょとんとしている。
ふ、不自然…だったか?
…優奈はゾンビとか苦手だっけ?
慌てて、続けた。
「ん、苦手じゃないよ? お兄ちゃん、優奈と遊んでくれるの?」
ぱっと顔を輝かせた。
他の誰と遊ぶんだよ。
…さっきの冗談がよっぽど堪えてたのか。
オレは罪悪感にかられ、明るく優奈にウインクしながら言った。
「えへっ。…優奈しかいない?」
負けたら、罰ゲームな。
オレは優奈にそう言い残して階段を駆け上がった。
「えっ、ちょっとぉ、優奈初めてのゲームでそんなのずるいよ!」
“あんまり、遅くまで遊んじゃダメだからね。啓太もほどほどにするのよ”
…わかってるって。
優奈はお袋の言葉にお行儀良く、「はぁーい」と返事を一つ、
オレの後ろをについて階段を上がっていった。
オレと優奈は液晶TVの前に仲良く座って大いに盛り上がっていた。
「わぁっ、お兄ちゃん、右っ、右からゾンビっ」
…えっ、あっマジかっ?!
くっ、おりゃおりゃっ…。
(ゲーム音)
「わっ、きゃっ、どんどんくるっ。
きゃーぁ、何あのデッカイの!」
(ゲーム音)
…優奈、驚いてないで撃て撃てってっ。
(ゲーム音)
くそっ。
…ぁっ!?
(ゲーム音)
肩に衝撃を感じてゲームオーバーになった。
衝撃の原因…、
優奈がオレの肩に寄りかかっていた。
…さっきまで元気だったのに…。
寝ちゃった…のか…。
オレは苦笑。
やっぱり…○○…だな。
優奈の重みを感じながら、そう、つぶやいた。
髪からシャンプーの匂い。
…いい匂い。
優奈のよりかかる肩に顔を向けて、優奈の匂いを味わった。
ずるっ。
…バランスが崩れたのか、優奈のカラダがオレの肩を滑り、
あぐらをかく脚の上に崩れ落ちた。
…っ!
それでも…起き…ない…。
よっぽど疲れてたんだな…。
オレは横向きで倒れ込んだ優奈の髪を撫でた。
さらさらの髪の下にみえる優奈の横顔。
眼を閉じた無垢な美少女。
………見とれる。
そして、この体勢はちょっと危ないぞ。
やばい考えを一瞬でもしたら…ばれちゃう…体勢。
そんな事を考えまいとすると余計に…。
反応…。
「…お兄ちゃん…ゾンビィ」
っ!?
(苦笑しつつ)……ね、寝言か…。
でも、今ので、やばい劣情がぶっ飛んだ。
ふっふふ…、子供だな。
うん……優奈は子供なんだ。
オレが…そんな事を考える対象にしちゃいけない…。
いけないんだ。
…それが許されるのは、想像の中だけ。
そう…オレだけの中にしまっておくんだ。
少なくとも優奈がもっと年を経てから…。
…オレはギリギリで踏みとどまり、優奈を起こさないように両手でゆっくりと抱え上げた。
よっこい…しょ…。
思ったより…軽い。
そろり…そろりと、レバーのドアノブを…。
(ガチャリ)
隣の部屋へ向かった。
部屋は当然、暗闇。
明かりを付けるには手がふさがっているのでムリだが、大丈夫、部屋の配置はわかる。
長年のカンだ。
ベッドの脇に立つと、優奈の体をゆっくり…、
(どさっ)
コけた。
…ゅっ、優奈の荷物があるのを忘れて…た…っ…。
幸い…、ベッドに突っ伏す感じになっただけみたい…だ。
両手の優奈をとっさに抱え込んだ体勢で…。
よ、予想外の密着。
オレの顔は優奈の体に密着して、優奈の匂いを嗅ぐ前に顔を上げた。
衝動よりも、早い反射だ。
…さっきまでの決心を後悔にしたくなかった。
幸い、優奈は眼をさまさなかった。
…爆睡だな(笑)。
…お休み。
いい夢を見ろよ…。
願わくばその夢の中にお兄ちゃんが出てくることを。
なんてな…。
その思いは口にせずに心にしまった。
オレは、優奈の体にタオルケットをかけて部屋をそっと後にした。
優奈、また明日、な。
オレも、もう寝るかな。
トイレで用を済まし、ベッドに入った瞬間…。
「お兄ちゃーん! メールだよッ。優奈からのメールだよ! 着信! 着信中ゥ♪」
!!
メール??
この着ボイスは…優奈から…。
びっくりすぎる…。
なにがなんだかわからずに…携帯に手を伸ばした。
(ピッ、ピッ)
“オヤスミ、お兄ちゃん♪”
メールはそう始まり、
その後、ずっと改行が続き…、
最後に…
“…優奈、○○じゃないよ”
…そう書かれて…いた。
優奈…っ、ずっと、起きて…??
聞いてたのか…。
オレは…携帯を手に固まった。
数秒、いや、もっと…。
そのままだったろうか。
携帯がするりと手から滑り落ちて、ベッドにぽむと落ちた。
我に返った。
…よかった、ヘンなことしないで…。
優奈に嫌われたら、最悪も最悪だ…。
まずは、それ。
いや、それでいいのか?
…最後の一行…。
それを、その意味を考える。
考えろ考えろ…。
啓太っ、考えろっ。
…お前はオレの事を…どう思って…。
…もし、もし…。そうなら…、オレは…。
それを聞きに優奈の部屋に行く…??
バカっ、そんなことっ…。
…自問自答。
答えは出そうで出ない。
いや、出ているのか?
出そうとしないのか。
わからない。
…うぅ…。
オレはそのまま、ベッドに倒れ込んだ…。
よそう。
もう、寝る…。
頭がどうにか…なりそう…だ。
【其の四・きらめく光りの下で】
翌日。
朝早くからバイトがあるのをすっかり忘れて寝てたところ、お袋に叩き起こされた。
おかげで優奈と顔を合わせるまもなく、家を出た。
昨日のメールの事を聞きたかった。
いや…。
聞きたくない。
…どっちだよ。
とにかく、今はバイトだ。
寝不足なのはなんとか缶コーヒーでごまかした。
バイトは、なにかと話題の日雇いの派遣労働だ。
今日は倉庫整理の軽作業。
昼休み、これなら意外に早く終わって帰れそうだなと思ってる時、
メールが来た。
「お兄ちゃーん! メールだよッ。優奈からのメールだよ! 着信! 着信中ゥ♪」
幸い、誰にも気づかれなかった。
自衛策として、1人でいるようにしてる事も多く、今も、他のバイト連中とは離れていた。
ははっ、そこまでして優奈の着ボイスを使い続けるオレって。(自虐的笑い)
…そんなことはどーでもいいんだっ。
メールの内容が気になった。
“お兄ちゃんがいないーっ。
…バイトだったんだね。
いつ終わるのか、お母さんに聞いてもハッキリわからないみたいだったんだけど、
よかったら、外で一緒にゴハンなんか、食べたいなーぁ。
…なんて。
バイト終わったら、メールよろしくなのです”
…昨日のアレのことは何も書いてなかった。
でも、ゴハンかぁ。
そうだな…優奈となら…。
オレはどの店にしようか、悩みに悩みながら、バイトに励んだ。
バイトも見立て通り午後の3時には終わり、
待ち合わせは、5時、場所は、駅でとメールした。
作業の後で会うには汗臭すぎるんじゃないかと、
自分なりに気を使って消臭スプレーや、制汗シートを使ってみたが、
…大丈夫かと、自分で自分を何度も嗅いでみた。
デイパックを背負って腕を交互に匂いを嗅ぐ男……奇妙すぎる。
「…くんくん…お兄ちゃん、大丈夫。匂ってないよ♪」
…ゆ、優奈っ!?
いつの間にか、オレの側にいた優奈は、鼻をクンクンいわせていた。
ち、ちょっとっ、おまっ!?
オレは恥ずかしくなって優奈から逃げるように距離を取った。
「もぉ、逃げないのー、ほら、お兄ちゃん、臭くなんてないって」
そういって、オレの腕を取る優奈。
今日の優奈は黄色の花が描かれたTシャツにデニムのスカートだ。
ワンピースじゃない優奈は初めてだ。
「ふふ、これも、かわいいでしょ?」
…オレはニヤニヤしながら答えなかった。
「もぅ、なんで黙ってるのぉ」
優奈は口を尖らせた。
オレはますますニヤニヤだ。
また、優奈の新しい表情ゲットだぜ♪
不満げな優奈の背中を押すようにして、悩みに悩んだ定食屋に連れて行った。
そこでオレは四川ピリカラ豚肉炒め、優奈はナスの豚肉味噌炒めを食べた。
優奈にはボリュームがありすぎだったようだけど、味には満足してたようだ。
顔を見ればわかる(笑)。
「お兄ちゃん、すっごく、美味しかったぁ。ごちそうさま」
ふふ、そうだろ。
あそこは一見地味なんだけど、味はお墨付きなんだぜ。
「ちょっと散歩しながら、帰らない? 優奈、お腹いっぱい」
…ん、そうだな。
じゃあ、遅くならない程度に。
オレはすでに夜の帳がおり始めた空を見上げ、心配しながら答えた。
近くに公園があったし、ちょっと寄っていこう。
頷く優奈と連れ立って歩き始めた。
しばらくして、優奈がこう言った。
「お兄ちゃん、こうして二人で歩いてると…どんな感じに見られるかな?」
…どうって?
仲良しな…兄妹…じゃないかな。
…無難にそう答えた。
なんでそんな事…聞くんだ?
「ふぅん、やっぱりそうかぁ…。
…そうだよね」
…それきり黙り込む。
オレは昨日のメールを思い出していた。
あの意味を聞こうか聞くまいか…迷った。
その時、優奈の掴む腕にぐっと力が込められた。
…っ。
ハっと、優奈の方を振り向いた。
「お兄ちゃん、公園ってここ? 看板に書いてある」
…あ、ぁ…そう、そうだ。
ここ、ここだ。
オレと優奈は車輪止めをくぐり、公園に入った。
そこそこ広い公園、時間が時間だけに人通りは少ないが、カップルはちらほらと。
…オレはめざとく、空いているベンチを確保。
汚れてないか確かめて優奈を座らせる。
ちょっと待ってろ。
そう言い置いて、自販機からペットボトルを二本買って、一本を渡す。
食後にさっぱりのお茶系だけど、
…それで良かった?
「ん…、これ好き♪ お兄ちゃん、さすがぁ」
いただきますといって、キャップをひねる。
ゴクッ、ゴクッ(それ風な音)。
白い喉が上下に動くのを横から見つめていた。
「…冷たくて…おいしっ…」
(遠くて花火の音。パーン。ドドーン…)
「あれ」
優奈が指差した先の空。
花火がぱぁーんと弾けていくつものきらめく光彩が暗闇を散った。
「花火ーっ♪」
…そんな季節かぁ。
オレも花火の音のする方に顔を向ける。
「お兄ちゃん、肩車して」
優奈は、オレの目を見ると、可愛くウインク。
しかも、そっと両手を合わせて拝むポーズ。
……愛らし…すぎる仕草、表情。
ほんと、似合う、似合いすぎる。
オレは、…しょうがないな。といいながらしゃがみ込んだ。
肩車程度で見え方に違うとは思わないけど、といいつつ。
「おにいちゃんと同じ目線でみたいの(笑)」
…いや、オレより高いと思うぞ(笑)。
優奈はしゃがんだオレの後ろに回り、よいしょっと脚をあげて首を跨いだ。
優奈の汗ばんだ太ももが頬をかすめ、オレの顔の両脇から膝小僧がにゅっと突き出た。
…傷一つない、なめらかなそれ……。
「お兄ちゃん、ゆっくり、ね」
…お、おう。
思わず膝小僧を撫でようとした手の位置を慌てて修正…。
靴下の上、肌が露出しているすねのあたりを掴み、優奈を固定した。
(よい)しょ…。
オレはゆっくり、立ち上がった。
優奈の体重を肩に感じ、うなじに優奈のパンツを感じる。
正直、デニムスカートで肩車は丸出しな気がする…。
夜だから大丈夫だろうけど…。
花火よりもそっちに気を取られていた。
「お兄ちーゃん、よく見えるよぉ」
…そりゃよかった(喜び笑い)。
優奈にはそう返事をしたものの、オレの注意は、うなじ…。
なんとなくそこに湿り気を感じるのは、汗のせいなんだろうな、と思ったり。
(花火音)
…っ。
優奈に目を塞がれた。
…見えないよ。
「ふふ、これで、キレイな花火、優奈だけのものぉ!」
…なんだよ、それ(笑)。
さっきのセリフとはちょっと違うじゃないかーぁ…。
「えー、優奈、そんなの覚えてなぁぃ」
そんな意地悪な優奈はっ、
こうっ、こうだっ。
オレはその場で思いっきり、ぐるぐると回転し始めた。
「わっ、わわわっ、や、やだっ、お兄ちゃんっ、こわいこわいこわいっ、止めて、降ろしてぇ〜〜〜」
慌てる優奈にオレもイタズラ心で回転速度をあげる。
ぐるぐるぐる〜のぐるぐるりんっ。
ち、調子に乗りすぎて、…目が回る…。
目が見えないのに…目って回るのか…。
つまんないことに気づく…(苦笑)。
落とされまいとする優奈のオレの目を押さえる力も半端ない。
オレもさすがに、目が回り、よろけ…、
優奈を肩車しながら芝生に倒れ込んだ。
「ひゃぁっ!!?」
…うぁっ…。
「もぉ、…お兄ちゃんひどぉ〜〜い」
優奈は芝生に転げた体をよろよろと起こしながら、声を上げた。
「まだ、ちょっと、頭がクラクラするぅ…」
かくいう、オレも…同じ。
ゴメン優奈、調子に乗りすぎた…。
…ほんと、アスファルトじゃなくて良かった…。
海より深く反省。
頭を押さえて、うんうん唸るお互いの姿に、先に優奈がぷーっと、吹き出す。
オレも、なぜか、おかしくなって、笑ってしまう。
そこで、優奈の足先、白のスニーカーの靴紐が解(ほど)けているのに気づいた。
優奈、靴紐……解けてる。
「…ん、ほんとだ。あれ〜、いつの間に…」
オレのせいかな…?
思いっきり、回転したからなぁ…。
ゴメンゴメンと、優奈の足に手を伸ばす。
と、その先、脚の付け根に目がいった。
両膝を立て、両手を後手にした体勢の優奈のそこは、無防備だった。
12.37デニムスカートの中に見える、白いパンツ。
暗闇の中だからこそ、わかる白さ。
その股間の中心のふくらみは中央で縦に一本の線を描いていた。
…パンツの下を想像させる…筋。
思わず、靴紐を結ぶ手元が狂う…。
…まだ、くらくらしてるみたいだ…。
「あはっ」
…うまく誤魔化して蝶々結びをやり直す。
そっちの靴紐は…大丈夫かな。
オレは目の前のパンツが名残惜しくて、大丈夫な方の靴紐も確認した。
「お兄ちゃんのが、力、強いし、ぎゅっと結んで」
…優奈の言葉に解けてない靴紐をしゅるっと解き…、
再び、結ぶ。
時間にしてわずか。
だから、ぎゅ、ぎゅっと何度も結び具合を確認する。
視線はちらちらと、パンツの筋を追っていた。
…ん、これでいいな。
これで、もう解けない、ハズ。
「ありがと、お兄ちゃん」
優奈は両膝立ちのまま、にっこり。
さっきまでパンツの筋を盗み見ていたオレは優奈のその清廉な美貌にたじろぐ。
優奈はそんなオレに構わず立ち上がり、なにやらもじもじしながら、
「ちょっと、おトイレ…」
…場所、わかるか?
「ん……」
不安げに公園を見渡す。
7時を過ぎて、人もまばらになった公園。
闇に浮かぶ外灯とトイレの灯(あか)り。
ヘンなヤツがいたらタイヘンだから…。
オレはそういって、優奈の手を取る。
ごく自然に。
「ありがと…♪」
トイレの前で別れると、オレも顔を洗おうと男性用のトイレに入り、洗面台の蛇口をひねった。
ジャバジャバと顔をすすぐ。
顔の脂とじっとりとした興奮の汗はキレイに流れ落ちるが、さっきのパンツの筋の映像は…消えない。
昨日の風呂の時とはまた違って、隠された部分に対する狂おしいまでの見たいという願望、渇望が映像をフルHDのように鮮明にしていた。
…スカートの中、パンツの、中。
それが優奈以外の女性だったら、ゼンゼン…とはいわないまでも、ここまではならない。
そう、それには絶対の自信があった。
…顔を濡らしたまま、ぼうっとしていると、声がした。
「おまたせ」
…優奈がいた。
ハンカチで手を拭きながら、ニコニコしている。
「…お兄ちゃん、顔拭こうよ……」
…え、あっ。
オレはデイパックからタオルを取り出そうとするが、それより早く、優奈のいい匂いがするハンカチが頬に触れた。
そして、背伸びをして懸命にオレの濡れた顔を拭き始めた…。
いや、バカっ、恥ずかしいって…!
オレは、めちゃめちゃ照れながら身もだえして、それから逃れようとした…。
さすがにたまらず、優奈の腕を掴んでやめさせようとする。
「も〜ぉ、なぁに、お兄ちゃん、そんなことしたら拭けないよぉ(笑)」
じ、自分で拭けるからっ…。
優奈の腕を掴んだまま、そう言い放った。
その時、ちょうどトイレに入ろうとしてきた二十代の女性が怪訝な顔で俺たちを見ているのに気づいた。
…オレと優奈はバツの悪さを感じながら、
慌てて、ちょ、お兄ちゃんは自分で拭けるから、ほらハンカチ貸してみろ。
オレは優奈の手からハンカチを取り上げて、ぎこちない笑顔を浮かべながら顔を素早く拭いた。
そして、優奈の肩を押すようにしてトイレを後にした。
「…もう…見てないよ。あの人」
優奈がこっそり、後ろを振り返り、そう呟いた。
そして、可愛く舌をぺろっと出して「あの人、すっごい、驚いてなかった?」
あぁ…、してたしてた! 目ぇ、すっげえ、丸くしてたのな(笑)。
オレは笑いながら、さっきの女性の顔マネをしてみてみせると、優奈はお腹を押さえて、きゃっきゃっと笑い声を上げた。
「…優奈とお兄ちゃん、どんな関係に見てたのかな?」
…無難に兄妹だろーなぁ…。
オレはハンカチを返しながら優奈にそう答えた。
「ふぅん…もしかしたら、年の離れた、カレとカノジョって見てたかもだよ??」
…笑いながら、オレの目を見つめてそういった。優奈の目の奥は…どことなく、真剣。
「兄妹か、カップル。どっちに思ってたか、聞いてこようか、お兄ちゃん?」
…一瞬、ホントに聞きかねないなと思ったが、
実は、親子…なんてな。
「え〜〜、ありえないっ、絶対絶対ありっこないよぉっ!」
優奈は両手を拳にしながら、声を上げた。
あははっ。
わからないぜ。
…予想外の事って結構あったりするから。
「…例えば?
優奈はさっきまでとはうって変わってマジなトーンでこう続けた。
…○学生が親戚の大学生のことを…(一拍おいて)好きになっちゃうこと…とか?(語尾を消え入りそうな感じで)」
…随分、生々しい例えだな。
○学生…と……大学生?
ぁっ!?
オレは耳を疑った。
それって…。
「………」
優奈は顔を赤くしながら、オレを見つめていた。
暗がりの中でも…それがわかった。
(花火の音)
オレは…突然の…事にたじろいだ。
優奈…それは…本当…、なのか(なのかを、自信なさげな小声で)。
心臓がドキドキと、高鳴った。
口の中は、カラカラだ。
周囲に、人影はない。少なくとも、近くには。
…二人を見下ろすのは花火くらい。
(花火の音)
…優奈は、いっちゃった、どうしよう的な態度で、もじもじと落ち着きがない。
オレは…、
花火の明滅が…、なんか、心を落ち着かなくさせ…る。
なんか、いわなきゃ、なんか…。
そう思うんだが、口が…半端に開き…閉じる。
オレも…オ、オレも…そう。
ただ、そういえばいい。
しかし、いっていいのか。
オレと優奈だぞ…ありえない。
あっていいの…か。
あぁ…。
そんな言葉にも、言葉にならない言葉が漏れて…。
じっと、オレの言葉を待つ優奈をやきもきさせる。
オレの無言の時が長引く毎に優奈の可愛らしい顔が、後悔の色に染まり、悲しげに歪んでいく。
可憐な花が急激に色あせる。…そんな感じ。
そして、優奈の周りも、崩れて落ちて、消えていく…。
そんなヴィジョン。
優奈が嘆き悲しむだけで……世界が…終わる。
嫌だっ。
オレは…そんな…優奈は、見たくない。
そんな悲しい優奈は、絶対に…嫌だった!!
ーーイイノカ?
心の片隅の良心の…警告を、
オレはついに…無視した。
次の瞬間、オレは…、夜の公園で、優奈を抱きしめていた。
オ、オレも好きだっ。
優奈がっ…。
優奈の耳にそうささやいた。
優奈は「優奈も、優奈も大好きなのっ」。
萎れた花が、一瞬で元の彩(いろど)りを取り戻した。
オレは優奈の体を力一杯抱きしめていた。
優奈もそれに応えるようにオレの胸に顔を埋(うず)めて、背中に腕を回した。
オレと優奈は自然に顔を見合わせ、
顔を寄せて…キス。
長い、長い、キス。
今までの想いを込めた愛の詰まった、キス。
どのくらいそのままだったか。
お互いの顔が遠ざかり。
…とりあえず、ウチに帰ろうか。
「……うん♪」
オレの言葉に優奈はコクリと頷いた。
二人は手を握りながら、家路に着いた。
【其の五・愛こそすべて】
家では何食わぬ顔で振る舞った。
さすがに、それくらいの分別はあった。
優奈は定食屋の事や、公園で見えた花火の話を親に上機嫌に話していた。
親も優奈の話にニッコリと耳を傾けながらお茶をすすっていた。
「そうだ、今日から、お兄ちゃんに勉強教えてもらわないと。うんと頭よくなって夏休み終わったらみんなを驚かすの」
“あはは…そう、うまくいけばいいんだけど、啓太の責任は重大だね”
ホント、お袋の言う通り、責任重大だ。
でも、ゴメン、勉強を教える前に…どうしてもやることがあるんだ。
風呂からあがったオレは火照っていた。
風呂のせいばかりじゃない。
優奈の部屋にいくからだ。
優奈の待っている…部屋に。
(ガチャ)
優奈の部屋に入ると、ドアを後ろ手にそっと閉めた。
爆音をひびかせる心音がヤバイくらいに轟く。
オレの視線は優奈。
優奈しか見えない。
部屋で勉強を教えるハズのオレを待っていた優奈は昨日と同じギンガムチェックのワンピースを着て部屋の真ん中で立っていた。
優奈の顔がうっすらと朱(しゅ)がかかっているのは、やっぱり、オレと同じ気持ちだから…?
「…お兄ちゃん。優奈、○○じゃないから、ね」
…あ、
そうだった。
オレは…その言葉で改めて優奈の全身を目に焼き付けようと優奈の周りをゆっくり、回った。
そして、背後から、そっと体を密着させた。
優奈がはっと身をこわばらせた。
オレは、手を優奈の前方に伸ばし、…優奈の胸にそっと当てた。
「……っ」
優奈が息を吸ったのを確かめると、密着させた手の平を、押すように優しく、柔らかく上下に動かした。
「ぁ……っ」
初めての愛撫に優奈は吐息まじりの声を漏らした。
優奈の、胸は発育途上。
ふくらみかけの胸が、オレの手のひらにありえない弾力を伝えてくる。
崩れることがないその感触がとっても心地よく、何より、気持ちがいい。
さわさわ…さわ…さわ…。
オレは右手でワンピースの上から愛撫しながら、左手を胸からお腹、ワンピースの裾へと移動させた。
そして、一気に裾の中に忍ばせ、優奈の肌を滑り上がる。
…風呂上がりのせいじゃない、しっとりとした肌。でも、すべすべだ。
そして、指先が、胸の柔らかな突起に触れた。
「あっ」
優奈の脇が、ぎゅっと閉じた。
オレはそのまま、優奈の乳首を人差し指と中指で挟むようにして、ぐにぐに、ぐにゅぐにゅと刺激を与えた。
この時、すでに、オレの胸と密着している優奈の背中は明らかに汗ばんでいた。
オレは左乳首ばかりじゃなく、右も、と…。
ずっと揉みしだいていた右手の動きを止めて、ワンピースの下に滑り込ませた。
間髪(かんはつ)入れず、ワンピースの下を両手の平がこねくりと動き回る。
左の乳首は優しく、右の乳首は強めに…。
緩急をつけて可愛がる。
優奈の乳首は次第に…硬く、硬く。尖ってきた。
オレはその感触を確かめるように、さらに…愛撫を続けた。
指ではさんだり、乳首の先を指を腹でねじりながら押したり、くりくりとねじりさすってみたり…。
(軽く喘ぎ声10秒)
強弱のリズムを刻む、優奈の声。
階下の親に聞こえまいと堪えているけど、確実に、呼吸は乱れ、鼻にかかったような喘ぎ声が、オレをさらに興奮させ…、手の動きを加速させる。
ワンピース一枚なくなっただけで格段に感触が変わる…想像はしてたけど、実際に触ってみると…ほんと…。
(軽く喘ぎ声15秒)
乳首を手のひらの下にくるように置き、胸全体を円を描くようにこねくりまわす。
小さい円、大きな円…、
時に、小刻みに振るわせながら…。
「(軽く喘ぎ声10秒から続くように)あっふぁ…っ」
優奈が声を高く上げた。
同時に、優奈がオレにもたれかかってきた。
オレは優奈の体を受け止めた。
優奈ははぁはぁと軽く息を整えながら、顔をこちらにひねった。
「…お兄ちゃん、優奈、…○○じゃないでしょ…?」
声を掠れさせながら、そう呟いた。
うん、優奈は…、○○なんかじゃ…ない…。
オレの手のひらの下で育ちつつある胸、なにより、目の前の優奈の顔、表情。
…普段の美少女っぷりに別の魅力が合わさり、とても扇情的。
この顔は…○○のなんかじゃ…ない…。
「……あのね」
優奈は言葉を続けた。
「優奈の…胸ね、大きくなりかけてるから、いつもは胸がぶつかったりすると痛いの。でも、でもね、お兄ちゃんに、いっぱい触られてるのに、そんなに…痛くないの…。なんでだろ」
…そ、そうだったのか。
それなのに触りまくちゃって…ゴメンな。
し、知らなかった。
成長期の女の子の胸は…男の大事なとこをぶつけたりした時と同じなのか…。
異性のことはわからん…。
「…あやまらないでお兄ちゃん」
オレの手が緩んだのをキッカケに優奈は体を入れ替え、向き合う。
「優奈、お兄ちゃんの事、大好きだから…」
顔を真っ赤にして唇をつむり、上を向く。
オレは返事の代わりに唇を合わせた…。
優しく。
そして、次第に…。
(キスのクチュクチュ音>フレンチキスからディープな感じに30秒)
オレは舌で優奈の唇をこじ開け、優奈の口の中に舌を絡ませた。
優奈も、はじめこそ、ためらった感じだったが、
次第に、オレの舌の動きに合わせるように舌を絡めてきた。
舌と舌がうねくりからみ、
時には吸い合った。
(それ風な音30秒)
優奈は徐々に体の力が抜け、オレが支えてやらないと立っていれないほどだった。
オレは優奈の腰に回した両腕に力を込めると抱え上げるようにしてベッドに寝かせた。
優奈をまたぐように四つん這いのオレは、優奈の顔を見つめた。
「……いいよ」
…優奈っ。
その意味は…当然。
優奈に一目惚れした時から、夢想していたそれが、まさか、現実になる時がくる、とは…っ。
合意。優奈は、今、合意した。
恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら…、確かにそういった。
類い希(たぐいまれ)なこの美少女…。…叔父の娘。
○○じゃないとはいったが、シカトした良心が、罪悪感と背徳感が、疼かないわけがない。
昨日までなら、なんとしても、抑えつけた。
しかし、今は、もう、抑える理由がなかった。
誰になんといわれても…。
眼下の優奈をオレは愛したい。
優奈の合意が免罪符。
その時が、きた。
…きたが故に、ご馳走を前にどれから手を付けていいか悩む○○のように、ためらい、迷った。
ワンピース、まくっちゃう…からな。
…オレにも、昔、カノジョがいたことがあったし、童貞ってワケでもない。
それなのに、自分の口から出たのは、そんなマヌケなセリフ。
「(微かに笑いながら)…うん」
オレは優奈の顔を見ずに、ワンピースの裾を掴むと上に…たくしあげていく。
膝丈のそれは、あっという間に太ももをさらけ出し、レモン色の縞模様をしたパンツが顔を覗かせる。
オレの手はそこで一瞬、停止。
公園の時に見えたそれとは違う…。そりゃ、風呂から上がったんだし、着替えていて当然。
一人、納得すると再び裾をずりずりと…へその上まで捲り上げた。
裾から手を離し、一片の汚れもない、清潔な楕円、へそを指先で一周…。
優奈がくすぐったそうに身をよじる。
指はへその外周をスイングバイしてそのまま下へ…急降下。
…パンツに到達。
布地を指で確かめる。
綿の手触り。優奈の体温が綿越しに伝わってきた。
優奈のパンツ。
盗み見ることしかできなかった優奈のパンツ。
…今はこうして、目の前に。
そして、この薄い綿の布きれの下に…。
(ごくり/生唾ごくり)
「お兄ちゃん、見てたよね?」
…っ?!
…何のことかわからず、一瞬手を引っ込めた。
「公園で靴紐結んでくれた時…(かすかに笑い)、優奈、気づいてたよ」
は、ははっ(乾いた笑い)。
…そうか、そうだったのか。
笑うしかない。
今、オレ、どんな顔してんだよっ…。
…っ?!
混乱したオレの顔を優しく優奈の手が掴み、そのまま胸に抱き寄せた。
「男の子はみんなエッチなんでしょ? お兄ちゃん、恥ずかしがらないで…いいの。
エッチなお兄ちゃんも…優奈好きだよ」
ゆ…優奈…っ。
オレは…優奈の胸に顔を押し当てながらその気遣いに…感動した。
そして、顔の下にある優奈の微かな膨らみにそのまま、蕩(とろ)け落ちそうになるが、成長期の優奈の胸の痛みを思い出し、はっと、顔をあげた。
…ありがとな、優奈。
目を合わせ優しくささやいた。
その言葉に応じるように、優奈はオレの両頬を慈しむように撫でた。
なんともいえない幸福感。
優奈…。
さらなる幸福を求めてオレは、優奈と目を合わせながら、へそ上まで上げたワンピースの裾をつかみ、さらに胸の上までずり上げた。
ゆっくりと、視線を優奈の目から逸らし、眼下に落とす。
なだらかな曲面に咲く、二輪の花。
優奈の淡いピンク色の乳首と乳輪がそこにあった。
……おぉ。
ため息が出る程、キレイ。
キレイすぎる…。
思いっきり、触りたい、舐めたい…etc、etc(エトセトラ)。
優奈の胸事情を考え、オレはぐっとこらえた…。
今は、見るだけ、見るだけでいい。
そう、自分に言い聞かせた。
何度も、何度も。
「ぃやぁ…お兄ちゃん、そんなに見ないで」
優奈が泣きそうな声を上げた。
…思いっきり、見られてるんだ。そりゃ恥ずかしいよな。
でも、そのリアクションが逆にオレを刺激する。
…優奈のおっぱいは…、見られて恥ずかしいおっぱいなのか?
こんなキレイな色で形、なんだぞ…。
乳輪の大きさだって、大きすぎず小さすぎず…、
オレは人類50億人に見せつけるべきおっぱいだと思う。
「ぃヤダ…そんなのぉ」
…じゃあ、オレだけで。
「…うん、お兄ちゃんだけなら……」
(笑)…優奈を恥ずかしがらせるのが…楽しい。
興奮する…。
だから…もっと優奈が恥ずかしい事をしたい、恥ずかしいところが見たい…。
オレは横たわる優奈の体の上に跨ったまま、ずりずりと膝のあたりまで下がった。
そして、優奈の両膝に手を伸ばす。
肌を撫で滑らせながら膝裏に手を回すと、ゆっくり持ち上げた。
次に、横方向に力を込めた。
「………っ」
優奈の抵抗にあった。
流石に…脚を開くのにはためらいが…ある、か。
そこが逆に…。
オレはM字にさせようととさらに力を込めた。
「ぁっ……!」
大学生の本気にあっけなく、優奈の抵抗は突破された。
優奈は観念したように、オレのなすがままに脚を開いた。
完璧なM字。
細身の脚、太ももの間には縞模様のパンツ。
パンツはオレが優奈の体で一番見たいところを完全に覆っている。
強烈な欲求。
布の下への渇望。
渇望の果てを考え、オレの下半身が唸りを上げる。
……くぅ…。
普通に脱がせても面白くない。
優奈を恥ずかしがらせながら、脱がせたい。
オレは優奈の左膝を掴んでいた手を離すと、左の内ももを右手の指先でそっと触れる。
当たるか、当たらないか、そんな微妙な距離だ。
敏感な感覚に優奈が脚を閉じようとする。
オレは右膝を持っていた左手でそれを遮った。
もちろん右膝はオレの左肘でブロック。
触る。
閉じる。
遮る。
それを何度か繰り返すと、今度は内ももを脚の付け根まで指先でなぞり始めた。
「ひぁゃ…ぁ…」
一気に増した感覚に優奈の声がでかくなる。
なぞる。
閉じる。
遮る。
繰り返し、指を往復させ、刺激に慣れた頃を見計らって距離を伸ばす。
パンツの前で反転させてた指先をそのまま、パンツの上を通り過ぎ、右内ももへと。
「ふぁ……あ…っ!」
予想外の触感に優奈は目を閉じ、ぐっと耐えていた。
ぎゅっと拳を握った。
なぞぉ〜り、
閉じる。
遮る。
オレはそろそろ頃合いだと、何度目かの往復の後、
指を太ももとパンツの間に潜り込ませようとする。
「っ!!?」
優奈は敏感にそれを察知した。
オレは構わず、パンツの柔らかなゴムをくぐらせ、その中に入り込ませた。
「ぁ…ぁあっあっ!」
優奈が切なげな声を上げた。
オレは優奈の反応とパンツにめり込んだ指先の感触に満足…。
さらに、これはどうだと、
オレはパンツに顔を近づけて、匂いを嗅ぎ始める。
容赦ない、優奈への辱め。
オレの鼻に届くのは、おろしたてのパンツ、洗濯の香り。
興奮した優奈、汗の臭い。
それがブレンドされて……脳に直接くるっ。
優奈印の最高級フレグランス。
優奈はオレに執拗に匂いを嗅がれ、
あまりの恥ずかしさに身もだえしきり。
両肘に伝わる優奈の足の強(こわ)ばりが、ますますオレの中の熱を高める。
そして、匂いをかがれまくってるパンツに徐々に変化が現れた。
じっとりと湿り気を帯びはじめ、肌との密着度が上がると、公園で見た、一本の筋を浮かび上がらせたのだ。
…うぉっ!
筋にオレは反応っ。
次の瞬間、無意識にそれをなぞっていた。
「ぅはぁああっ」
それは、今までで一番の優奈の声。
耳に心地いい。
なぞるたんびに優奈が鳴く。
(それ風な声15秒)
オレはさらに行動をエスカレートさせた。
匂いを嗅ぐように近づけていた顔をさらに近づけ、舌をぺろっと付きだすと、パンツの上を舐めた。
「おっ、お兄ちゃんっ!?」
ち、ちょ…優奈っ、そんなデカイ声出したら、下に聞こえちゃうかもだぞ。
「……っ?!」
オレの指摘で、優奈は切なげに歯を食いしばった。
歯がみする優奈にオレは構わず、べろりべろりと続けた。
唾液はあっという間にパンツに染みこみ、ぐっしょりと濡れていく。
パンツが濡れた分、優奈のその下の密かな部分の形がこれでもかと露わになった。
オレは顔を上げ、その形を…確認、した。
…優奈のココ、透けてみえてる。
「っっっ!!!」
オレの両肘にがっと優奈の両ももが食い込んだ。
尋常じゃない、圧力。
大事な部分を見られてるんだもんな。
当然の反応。
…透けて見えてるんだから、もう、パンツいらないよな。
そういって優奈辱めに追い打ちをかけた。
「ぇっ、えっ。えっ!?」
…一応声を抑えて驚いた優奈がそれ以上、何か言葉を言うより早く、優奈の躊躇が発動するより早く、オレは優奈のパンツに手をかけ、優奈の腰を浮かせるようにぐいっと一気に脱がせた。
「ーーーーーーーーっ!!!!!」
…絶句した優奈を余所にパンツは優奈の膝のあたりで制止。
パンツのゴムがM字を窮屈に変形させる。
これじゃ、オレの…渇望していたそこは…見えない。
ドクドクと下半身から駆け上がる興奮の濁流が優奈の左脚を折り曲げさせ、力尽くでパンツをくぐらせた。覆うべき役目を失ったパンツは一瞬でクシャクシャに縮み、右足首にひっかかった。
オレはすかさず、崩れたM字を元通りに直す。
さらに、脚をぐぅうっと前に押し倒すようにさせた。
勢い、優奈の体はM字のまま、ひっくり返ったような体勢になった。
…俗に言うまんぐり返し。
美少女のまんぐり返し!
「(声にならない驚き)…!!!??」
優奈はあまりもの体勢に両手で顔を覆った。
蛍光灯の下、
ついに、これほどはっきりと、優奈の、大事な大事な…部分が見えた!!
くらっとした。
視覚の刺激のせいだけじゃない。
大事な部分から吹き上がる匂いにも、だ。
優奈の一本の筋を作っていたそこは肉襞の合わせ目。
無駄な毛は一本もなく、まさしく少女のそれ。
優奈はココも可愛い。
見とれた。
呼吸が止まる。
優奈の秘密を覗き見た感動。
見てしまった衝撃。
…死んでもいい。
いや、この合わせ目の奥を見ずに死ねるかっ。
ぐ、ぐいっ!!
そう思った瞬間、指で2枚の肉襞を押し開いていた。
襞は想像以上に柔らかく、たやすく押し開かれた。
「あぁ……っ」
さらに強烈な匂い。
かぐわしい匂いがオレの顔に吹き付けてきた。
襞の間は強烈なピンク色だった。
てらてらと濡れ光り、濡れそぼった肉の穴がそこにあった。
しかも、肉がひくひくと息づいて蠢いている。
これが、優奈の禁断の秘密の全貌だった。
…背筋がゾクゾクした。
「…優奈の…おまん…こ(語尾小さく)、誰かに見られたの初めて……」
!!
ま、まさか、優奈の口からその4文字がきけるなんてっ。
オレはびっくりして優奈の顔を見た。
優奈は顔を隠した手のひら、指と指の間からオレを見ていた。
その瞳には強烈な恥ずかしさ、
そして、自分の大事な部分を自分が好きな人がどんな顔でなにをするのか、
という好奇心…があった。
「…お兄ちゃんでよかった……」
胸にジンときた…。
オレは優奈の好奇心に答えるように優奈の2枚の肉襞を閉じ、開いた。
くちゅ。
粘膜と液体の擦れる音が弾けた。
…優奈のココからイヤらしい音がする。
言葉にして優奈に教えてやった。
「……いやぁ…っ」
開閉作業を繰り返すと、じきに優奈は声を上げ始めた。
さっきまで顔を覆っていた手で口を塞いで、必死に堪えてるけど、いつまで頑張れるか…(笑)。
オレは優奈の肉襞の上部にある膨らみから小さな突起が顔を覗かせているのに気づいた。
クリトリス…!
本物の真珠と見まがうばかりの艶(つや)と光沢。
た、たまらん…。
(クリを舐め攻めるちゅぱちゅぱ音15秒)
…気がついたら舌で転がしてねぶっていた。
(喘ぎ声30秒/後半を枕で遮る感じで微かに)
優奈持参の花柄の枕を優奈の口に押しつけた。そうでもしなけりゃ…、やばい域だった。
クリを舌で転がす度に優奈の反応が凄くなるのがわかる。
まんぐり返されたまま、優奈の胸が大きく上下し、脚がびんびんと跳ね上がった。
なにより、優奈の襞の割れ目の穴からはとろとろしと液があふれだし、止まらない。
それをオレは美味しく頂いた。
甘美で極上な…味。
優奈の汁。
優奈汁。
飲んでも飲んでも飲みきれない。
後から後から……湧き水のようだ…。
飲みきれない優奈の汁は肉襞からだらだら優奈のお尻を伝い、背中へと消えていった。
オレは飲むことを諦め、
口で、舌で、クリを、肉襞を、内側を、外側を、穴を、中を、外を、舐め回し、こねくりまわし、吸い、つっついた。
そして、わかった。
優奈の反応が一番強い場所が。
それは…やっぱり、クリトリスっ!
「ひゃぅぁあんっ!」
な。この通り、だ。
吸ったり、突っついたりの反応もよかったが、舌先で叩いた時が一番だった。
それも焦(じ)らすようにクリの周りを舐め回した後でそうすると余計に、優奈の声のトーンがあがる。
それが楽しい。
クリをつまびいて優奈を鳴かす。
淫らな楽器。
優奈はオレの楽器になった。
淫らな優奈の旋律、可憐な喘ぎ声が、たまらないっ。
あまりの快感に優奈はいつの間にか、枕を放り出し、顔をのけぞるようにして嬌声を上げていた。
のぞき見た優奈の顔ははぁはぁと口を半開き、口の端からは涎がつぅーと、垂れ流ちていた。
うるんだ優奈の目がオレの目と合った。
ドキッ。
優奈の目は快感にどっぷりと浸かり、淫らな光りを放っていた。
その淫靡すぎる眼光は、優奈の普段の清純なそれとはゼンゼン違った。
オレはあまりものギャップに驚き、まんぐり返していた優奈の脚を離していた。
折りたたまれていた優奈の体は支えを失って、元に戻ろうとした。
瞬間、優奈の両脚は軌道を変えてオレの顔を挟みこんでいた。
優奈の足にオレは見事に蟹挟み…。
優奈は微かに笑ったような顔をすると、優奈は、手を自分の股間へと伸ばし、オレの唾液でどろどろになったそこを、肉襞を、ぐぃいと横に広げた。
…うるんだ目がオレに舐めろと命令していた。
「……ぉ兄ちゃ…ん…」
…優奈はオレの口と舌に明らかに溺れ、酔っていた。
オレは蟹挟みの優奈の両脚をやさしくほどくと、再びM字。
あーんと大口を開けてそこに食らいつく。
大口を開けたまま、舌を突き出し、大きく上下に…べろん、べろん。
その度に優奈の体は震え、跳ねた。
(激しい喘ぎ声15秒)
幾たび目のジャンプ、痙攣。
オレの不意をついたそれは、クリの方からオレの歯に当たってきた。
「ぁっ、あーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!?」
それが激しい刺激を生んだようで、優奈が一際大きく鳴いた。
同時に優奈の体がバネ仕掛けのように弾けて浮いた。
そして、ベッドの上でバウンド。
足の親指をピンと伸ばしてのけぞった優奈の体が一瞬固まったかと思うと、
優奈が開いていたそこ、…おまんこから、透明の汁がびゅうぅっと噴出した!
…ぅおっ!!!
……初めてみる潮吹きの瞬間だった…。
す、すっげ……。
当の優奈は何が起きたのかわからない様子で、オレにあられもない姿を見せ続けた。
止めようと思ったって止まりっこない。
「!???…ぁ…ゃ……ああっ…??」
ぴゅぅぴゅぅぴゅぅ…。
……ぴゅっ。
最後の一滴がようやく、こぼれ落ちた。
オレはその様を、一部始終を、優奈の体全身が見えるように一歩引いてベッドから降りて、目に焼き付けた。
滴(しずく)が残る優奈のひくついたおまんこが、ひどく淫靡だった。
イったばかりの優奈は消え入りたいような恥じ入った顔。
さっきまでの淫らな化粧は消え、少女の顔だ。
だからこそ、イッたばかりのおまんことのギャップが凄かった。
「優奈…恥ずかしい……」
…優奈のいっぱい感じた表情、すっごかったぜ
「…あうあう…お兄ちゃん……恥ずかしいよぉ」
その証拠に…オレの興奮は…。
優奈を愛するのに夢中ですっかり、おきざりにしてたが、
スウェットは見事にテントを設営している…。
優奈はオレのテントに気づき、
その理由に思い至ったのか、ますます顔を赤らめた。
オレはそんな優奈に近づく、
大いなる期待を込めて。
…ん。
ベッドにおいた手が冷たい。
…っわわわ!?
ベッドに思いっきり、でかい染み、海があった…。
優奈の体しか見てなかったからすっかり気づかなかったが、これは…。
すげえ。
…いや、感心してる場合じゃないっ。
「や…ンっ!?」
優奈もそれがさっきの潮吹きが原因だと気づき、絶句する。
こりゃ…、マズイだろ…。
優奈の声も…凄かったし。
“優奈ちゃーん、お勉強お疲れ様…お夜食作ったわよぉ”
なんというタイミングでお袋の声!!
…続いて階段を上がってくる音っ。
…!!
二人は同時に顔を見合わせて硬直。
考えてるヒマはなかった。
オレは優奈を立たせ、ベッドをとりあえず布団で隠す。
そして…。
(ガチャリ)
“あらあら、がんばってるのね。感心感心。なんか、騒いでた感じがしたんだけど”
あ、危なかった…。
参考書を載せたちゃぶ台をオレと優奈は囲んでお袋を迎えた。
そう、何事もなかったフリで。
夜食を置いてお袋は部屋を後にしていった。
優奈はオレと顔を見合わせて、ため息をついた。
冷や汗もすっごい。
やばかったな…。
さすがに…、夢中になりすぎたのはダメだ。
「うん…、そうだね……」
お袋のブレイクで、周りが見えてきた。
やっぱり、ちゃんと考えて、だな(苦笑)。
少なくとも、二人っきりの時が、いいかもだ。
「ああははは……そ、そうだね」
誰かに迷惑をかけて、お前を失ったら、オレは悔やんでも悔やみきれない。
「………ん、優奈も、だよ」
そうはいったものの…、
さっきまでの、興奮の収まりが付かないのは事実。
…だから、今日はさ、オレはこれで、ガマンしとく。
目がハテナマークの優奈の前でオレは立ち上がり、股間のテントを付きだした。
「ひゃっ?!」
…オレはおもむろにスウェットをパンツ毎降ろすと、優奈の目の前にオレの猛り狂ったモノがまろび出た。
優奈が息を飲むのがわかった。
初めて見るおちんちんに違いなかった。
赤黒くて太い、肉の棒。
優奈は目をまん丸にしてオレのちんちんを凝視していた。
「…おっきぃ……」
オレはその反応に満足しながら、ちんちんをしごきはじめた。
…これなら、いつもやってるし、優奈も声を出しようがないから、迷惑ゼロだ(笑)。
しかも、優奈の視線があるから、興奮も倍増だぜ♪
「えっ、ぇっ!??」
とまどう優奈を余所にオレはちんちんをしごく右手のスピードを上げた。
しゅっしゅしゅっしゅっしゅしゅっしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅっ。
…いつもと違う自慰。
さっきまでの優奈の痴態。
優奈の視線。
これが、予想以上の高ぶりとなってオレを貫いた。
しごくたびにびくっびくっと走る快感の電流、その電流の出力が急激にあがった。
しごき始めてから、あっという間だった。
こ、こんなのは…初めて…だった。
次の瞬間、
「優奈っ、手、両手をっ」
オレはそう、優奈に懇願していた。
切羽詰まった懇願に優奈は、わけもわからず、とりあえず手をさしのべる。
どぴゅぅ、ぴゅーぅぴゅっぴゅっぴゅっぴゅっぴゅぅぴゅっぴゅっ…!
優奈の手のひらめがけ、オレは思いっきり発射していた。
むっちりとした亀頭の先から間欠的にぴゅぅぴゅぅと注がれる真っ白い液体、大量の精子。
優奈は初めて見る精子に、びっくり、とまどい、わなわなと手のひらを振るわせてそれを受け止めた。
「…ひゃぁあああ……出た、白いのがっ!??
お兄ちゃんの…おち、おちおちおちっ(いいよんどんで誤魔化す)…から…っ」
…は、ははっ、いつもよりいっぱい出ちゃった……。
「そ、そうなんだ……」
優奈は呆然と手のひらに溜まった精子を見つめた。
濁ったような白濁液を不思議そうに…。
「なんか…すっごぉい」
そして、おずおずとオレを見つめ、
「……これ、どうすれば…?」
あわあわと不安そうな顔でそういった。
…あっ、
ははっ、
そう、そうだなっ…。ゴメン。
オレはティッシュでそれをぬぐってやった。
…今日は、色々あったな…。
優奈の手をキレイにしながら、優奈にそう語りかけた。
「……ん♪」
優奈は参考書に視線を移して恥ずかしげにそう呟いた。
そうだ、優奈、今度はちゃんと花火を見に行こうぜ。
「…優奈はお兄ちゃんが一緒ならどこだって」
優奈は嬉しそうに答えた。
その輝かんばかりの笑顔。
オレは類い希なこの美少女にこんな笑顔を浮かべさせた事が誇らしかった。
オレだけに見せる笑顔。
オレだけの優奈。最高の優奈の表情コレクション。
優奈、愛してる…。
「優奈もだよ、お兄ちゃん」
夏休みは始まったばかり。
優奈との日々は…愛の日々は…。
まだ続く。
続くんだ。
(完)