後輩ちゃん

セーンパイッ♪　こんな時間まで残ってるなんて、珍しいですねー。 他の軽音部の部員、皆帰っちゃってますよ？　何かイベントとかありましたっけ？　学祭はこの前終わったばっかりだし……。 へ？　何となくベース触ってたら、熱中しちゃって時間を忘れてた、ですか……。 真面目というか……子供っぽいというか……ま、まぁそれもセンパイの魅力なんでしょうけど……。い、いえ！　何でもないです。 あ、あと！　後輩、じゃないです！　私には佐伯里奈（さえきりな）って名前がちゃ～んとあるんですから。 そっちで呼んでくださいよ。……別に呼び捨てでも、名前呼びでも、何でもいいですから。とにかく、後輩、は嫌なんですぅ！　もぉ……。 あ、センパイ、今日ってまだ練習、していきます？　そのぉ……もし……もし、良かったらなんですけど……私のドラムと合わせて、ベース弾いてくれませんか？ え？　何でって、別にいいじゃないですか！　センパイと合せるの。私の中では、ちょっとした夢だったりしてたんですよ？ センパイは忘れてるかもしれないけど、新入生歓迎会の先輩方の演奏、特にセンパイが……凄くカッコよくて……いつか、一緒に弾けたらなぁ……って思ってたんです、私！ ほらぁ、普段はバンドメンバーと一緒ですし、二人っきりの機会なんて、めったに無いんですから……その、ダメ？　ですか？　 いいんですか！……やったぁ！ センパイ！ありがとうございます！　それじゃあ、準備しますね。よい、しょっと……ふっふーん♪　楽しみだなぁ♪ 何の曲がいいかなぁ……あ、そうだ！　新入生歓迎会の時の一番初めの曲、あれが良いです！　あの曲で行きましょう！　私、一発で好きになちゃって、こっそりドラムの練習してたんですよ。 まさか、こんなに早くセンパイと一緒に出来るなんて、思ってもなかったですけど……。 それじゃ、行きますよっ！　１！　２！　１２３４！ お、おおぉ……一緒に弾いちゃってるよ、私……。……へ？　ドラム走りすぎ？　リズムキープをしっかり？　わ、分かりました。 い、行きます……　１！　２！　１２３４！ ……え？　今のもダメでした？　私は良い感じにいってたと思ったんですけど……。さっきよりは、上手く出来てた？　やったぁっ！ ……へ？　それじゃあ何で……演奏、止めちゃったんですか？　まだ全然、曲の最初の方なのにっ！ あっ、ちょっ……そんな、もう止めとこうって……何でですかぁ。せっかくやる気になってくれてたのに……。 あ、あれ？　センパイ、何か、顔赤くないですか？　何でもないって……いや、でも……顔、真っ赤……。もしかして体調悪かったりしてたんですか？　 あぅぅ、その、ごめんなさい。私、全然気付いて無くて……。……え？　そうじゃない？　じゃあ何で……。 ……あっ！　……もしかして、そ、その……私の……見えちゃってました？ あはは……ち、違うんです！　いつもは、ドラム叩く時はちゃんとその、ぱ、パンツ見えないように、下に履いてるんですよっ。 でも、今は、その……帰るところだったから……。 それに、センパイは……私のパンツ見たくらいじゃ、何もないでしょ？　……む、胸もそんなに大きくないし、女子としての魅力とか、足りないかなーって。 思ってて、結構、諦めてたんすけど……。あはは……はぁっ……。 ……って、あれ？　な、何でそんな前屈みになってるんです？　……ええっ！　せ、センパイ、もしかして、た、勃っちゃった……んです、か？ ……そっか、えへへへ……なぁんだ。私、そういう目で見られてないと、思ってました。少し……ううん、凄く嬉しい……です。