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同人音声サークル「妄想研究所」 実験シリーズ・第五作目 【実験】しっかり者の妹をクリスマスデートに誘ってみたお話 [ストーリー]  ――夢だったのだろうか。  しっかり者なのに時々甘えだす、そんな妹との蜜月の夜。  一夜だけ交わした身体の熱を、俺はまだどこかで覚えていた。  そんな俺を、彼女は何食わぬ顔で、素知らぬ顔で嘲笑う。  まるで、変な“妄想”に取り憑かれた男を見る様な目で――。  世間がクリスマスシーズンで賑わう中、俺は一種の孤独感を覚えていた。  毎年、独り身の孤独を共感し合う仲の、信頼していた友たちに裏切られ、  今年は一人寂しく聖夜を過ごすことが決まっていた。  あいつらに彼女がいて、なんで自分には彼女がいないんだ。  妬ましい。  忌々しい。  キスした瞬間、結合部で何らかの化学反応を起こして勝手に爆ぜろ。  そんな恨みごとを呟いていると、視界の端で俺のベッドに腰掛け、  髪を櫛で梳いている妹の姿が見えた。  はて……、と考える。  こいつは、毎年クリスマスを実家で過ごしていた。  俺が聖夜に野郎どもと実家を占領してドンチャン騒ぎをしていた際も、  食事や飲料類を提供してくれる、まさにその日においての聖女だった。  ……今年も、こいつは暇をしているのだろうか。  クリスマスは家族と過ごすものとかいうアメリカンスタイルを貫いているのだろうか。  ……言うだけなら、問題はあるまい。  さして、以前の過ちを懲りない兄が、妹に再びその毒牙をかけようとするのである。 [キャラクター]  妹:   またしても標的にされた今作のヒロイン。   前回ラストの情事以後、そわそわとぎこちない兄をしり目に、   素知らぬ態度で兄と接している。   何を行うにしても理由、動機がはっきりしないと気に入らない質で、   論理的思考と言えば聞こえはいいが、   時にはそれが言い訳がましく聞こえることも。   兄には「もっと単純に考えればいいのに」と思われている。   恋愛ごとにおいても、単なる感情としてではなく、   ロジックとして恋心を読み解こうとしているが、   その成果は今のところ皆無。   最近のマイブームは“ココア”。  兄:   今回も変わらず加験者な主人公。   女の子たちと遊ぶときの愛想笑いや苦手なフォローで下手に神経を磨り減らすよりも、   気軽に和気藹々と遊べる野郎どもとの付き合いを優先してきた結果、   女友達皆無の彼女いない暦=年齢が出来上がった。   女性とのコミュニケーションは苦手ではないが、尋常ではないとてつもない神経と   エネルギーを要するため、積極的に関わり合おうとして来なかった。   そんな彼にとって妹は、人生における紅一点の花であったが、   肉親ゆえに特別な感情は抱いていなかった。……と、自信している。   ……あの日、その時までは。   結局、本実験は彼の揺れ動く感情の焦燥が招いた、   彼女への一つのアプローチに過ぎないのだ。 序章 ―自宅・夜― 【妹】 「はぁ? “クリスマスデート”?」 【兄】 「はい」 【妹】 「……なんで妹の私が、クリスマスに兄とデートなんかしなくちゃな  らないのよ。理解できない」 【兄】 「だから、それはさっき……」 【妹】 「あぁそうね。その理由はさっき聞きました。“クリスマスなのに家  で一人寂しく過ごすのが嫌だから”、だったっけ?」 【妹】 「それなら、昔みたいにクリスマスパーティーでも開いたら?  よく友達と馬鹿みたいに騒いでたじゃない」 【妹】 「“ドキドキっ! 男だらけの酒乱パーティー!  (ゲロリもあるよ!”」 【妹】 「……とかなんとか掲げて。あ~……ほんっと、あの凄惨な光景は、  あの頃の私には刺激が強すぎて……見てらんなかったわ」 【兄】 「あぁ……。かつて戦場を共にした彼らはな……、  もう、この世にいないんだ……」 【妹】 「彼らはもうこの世にいない? ……なに言ってるの。この前一緒に  遊んでたじゃない。ほら、お土産にドーナッツ買って来た日」 【兄】 「あぁ、確かに生きている。だから彼らはもう……俺の知る彼らでは  ない。無論、お前の知る彼らでもない」 【妹】 「……生きてはいるが、知らない人間になったぁ?」 【妹】 「……兄さん……。もったいぶって話さないなら、もうこの話終わら  せてもいいんだけど?」 【兄】 「ごめん!」 【妹】 「ふぅ……。もう、ほら。話すならちゃっちゃと話す。湯冷めしちゃ  う前に布団に潜りたいんだから」 【兄】 「彼女ができたらしい」 【妹】 「彼女ができた……? 兄さんの友達に?」 【兄】 「(こくこく」 【妹】 「そっか……。なるほど。確かに、そうなると兄さん主催のクリスマ  スパーティーなんかに出席する義理はなくなるわね」 【兄】 「義理はあるだろ! 今まで寂しさを共にしてきたのに! 薄情者共  め!」 【妹】 「あははっ。ふぅ、そうね。今まで寂しいクリスマスを共にしてきた  のに、彼女ができたからはいさようならは、薄情者どもー、かもね」 【妹】 「まぁ、彼女のできる人が一人や二人生まれるのも、おかしくはない  んじゃない?」 【妹】 「逆に、兄さんの歳で未だに彼女もいないっていうほうが異端よ。あ  る意味で変質者ね」 【妹】 「……、兄さんも。遊んでばっかいないで、もっと恋に前向きになっ  たら? この機会を、いい機会にして。ね?」 【兄】 「うるさい」 【妹】 「うるさくない。当然のことを言ったまでよ。……まぁ、今回は少な  くなった人数で、精々盛り上がるだけ盛り上げればいいじゃない」 【妹】 「少なくとも、一人で寂しいクリスマスーっていうのは防げるわよ?  ね?」 【兄】 「……」 【妹】 「……どうしたの? 暗い顔して。……ココア飲む?」 【兄】 「……全員なんだ」 【妹】 「え? ……全員が、なに? どうしたの?」 【兄】 「あいつら全員…………彼女作りやがった」 【妹】 「全員に彼女ができた……ぇえっ!? 嘘っ! すごい! めでた~  い!」 【兄】 「どこがだよ!!!?!」 【妹】 「あぁ、そかそか。兄さんにとっては違うもんね。……くすっ。そっ  かぁ、一人取り残されちゃったんだ。兄さん一人だけ、独り身」 【兄】 「う、うるさいよ」 【妹】 「あー、ごめんごめんっ、拗ねないでー、ねー? 許してねー?   よちよちー」 【兄】 「触わんじゃねーやい!」 【妹】 「あははっ」 【妹】 「ふぅ……。そっか。誘って応えてくれる友達が、いなくなっちゃっ  たんだ。ふーん、そっか。……ふふっ」 【妹】 「……まぁっ、クリスマスだけでしょ? 絶交したわけじゃないんだ  し、そうしょげないの」 【妹】 「クリスマスの、しかもたった一日の我慢じゃない。  彼女といっても、毎日を縛るようなものじゃないでしょうし……」 【妹】 「それに、ほら。こう言っちゃなんだけど、いっときの気の紛れかも  しれないわよ? 存外、すぐに別れちゃったりして」くすくす 【兄】 「……お前は、どうなんだ?」 【妹】 「へ。……へっ!? わ……私? 私はどうって……。あー、……恋  人の有無について?」 【兄】 「まぁ……、そんなとこ」 【妹】 「私は……、まぁ、なんというか……。っ、ほらっ、順風満帆な青春  を送ってるから!」 【兄】 「……だから?」 【妹】 「だから……えと」 【兄】 「……」 【妹】 「…………いません」 【兄】 「クリスマスの予定は」 【妹】 「クリスマスの予定は……、空いて、ます」 【兄】 「……」 【妹】 「…………なに。その目」 【兄】 「そうかそうか。うんうん。辛いな、辛いな。分かるぞ、分かる。  お前の気持ちはよーーーーーーく分かる」 【妹】 「なっ! あ、頭撫でないでよ! そんな優しい目して……違う、同  情の目して! 嬉しくない!」ばっ 【兄】 「おっと」 【妹】 「ったくもー……。こんなことで兄さんに同情してもらっても、これ  っぽっちも嬉しくないわよ……」 【兄】 「で、話を戻すが」 【妹】 「あー、はいはい。わかりましたわかりましたー。一緒にデートに行  けばいいんでしょ?」 【妹】 「……どうせ暇だし、せっかくだから、独り身の兄さんに着いてって  あげるわ」 【兄】 「お前だって独りだろ」 【妹】 「えー? くすっ。同じ独り身でも、私は兄さんとは違うわ。  だって、私は別に独りであることを嘆いたことはないもの」 【妹】 「今年のクリスマスも、……確かに私も独りだけど、それについて、  兄さんのように惨めに哀れんだりしないもの」 【兄】 「ぐぬぬ……」 【妹】 「話は終わり?   ……それじゃ、先に寝るわね。また明日。おやすみー兄さん」 【兄】 「あれ? お前ここで寝るために来たんじゃなかったのか?」 【妹】 「え? あぁ、最初はそのつもり……一緒に寝るつもりで来たんだけ  ど……なんか、気が逸れちゃって」 【兄】 「ふーん?」 【妹】 「……じゃあ、また。……おやすみなさい」 ぱたん 【妹】 「ふぅ……」 【妹】 「……一張羅のコート、どこやったっけ……?」 ? クリスマス・イヴ ―自宅・昼― 【妹】 「兄さーん? 準備できたー?」 【兄】 「あー。もうちょいかかりそー」 【妹】 「まだぁ? もー……。当日になってから準備して……。しかも昼過  ぎまで寝続けるなんて、どうかしてる」 【兄】 「お前が準備良すぎるんだよ」 【妹】 「準備を怠らないのは当然。特別、私の準備がいいわけじゃないわ。  兄さんが怠けすぎなだけ」 【兄】 「あー、はいはい」 【妹】 「はぁあー。……この様子じゃ、エスコートに期待できそうにないわ  ね……」 【妹】 「デートという名のお散歩、ってことにでもなったら、さすがに……」 【妹】 「……まぁ、別に……それでもいっか」 がちゃ 【兄】 「お待たー」 【妹】 「あ、やっと出てきた。って……うわ。  それ、いつもの格好じゃない。秋服の上にジャケット……はぁあー」 【兄】 「なにか問題があるのか?」 【妹】 「問題も問題、大問題よ。相手は妹の私とは言え、あくまでデートな  のよ? それに着る服がいつも通りって……ねえ?」 【兄】 「ぐっ……」 【妹】 「……まっ、でもいい味は出てると思うわ。兄さんのいい味が。兄さ  んらしさが、ね」 【妹】 「今の現状をよーく表してくれていると思うわ。……まさに、彼女い  たことありません、って感じだもの」 【兄】 「……」 【妹】 「……? どうしたの? 黙ったりして……――きゃっ!? な、な  になにっ、なんでいきなりスカート持ち上げようとするのよっ!?」 【兄】 「……お前の理論が正しければ」 【妹】 「え? ……私の理論が正しければ?」 【兄】 「……お前は、彼氏がいたってことか?」 【妹】 「へっ!? わ、私に彼氏がいた!? な、ななんで、そうなるのよ」 【兄】 「いや……。なかなか、いけてるじゃねーか」 【妹】 「へ?」 【兄】 「彼氏がいます、って服装してるってことだよ」 【妹】 「か、彼氏がいますって服装……? あー……はは。それって、褒め  てくれてる……?」 【兄】 「まぁ……、センスあるんじゃねーの」 【妹】 「……」にへら 【妹】 「……っ、に、兄さんにファッションのセンスがあるって  言われても、説得力ないし、嬉しくないけど……」 【妹】 「まぁ……、えと。……どうも、ありがとう」 【兄】 「ん」 【妹】 「……。あー、そろそろ出ましょっ! 早くランチ食べなきゃ。もう  お腹ぺこぺこー」 【兄】 「あぁ、そうだな」 ―街中・夕方― 【妹】 「ふぅ……。日も沈んできたわね。  そろそろライトアップの時間かしら?」 【兄】 「どーだろーなー?」 【妹】 「って、兄さんに聞くのも野暮か。今までクリスマスに、外へ出かけ  なかった人に訊いても……ねぇ?」 【兄】 「うるさいぞ」 【妹】 「くすっ。……それにしても、兄さんがデートのスケジュールを組ん  でるとは思わなかったわ」 【妹】 「てっきり、日が沈むまで、公園で散歩中の子犬を眺める作業に付き  合わされるのかとばかり」 【兄】 「どんな発想だ」 【妹】 「もしくは、公園のブランコを利用した靴飛距離競争をする、とか。  ふふっ、こっちのほうは、まだ現実的でしょ?」 【兄】 「どっちもねーよ!」 【妹】 「ま、どうなることかと心配したけど、結果的に、ショッピングモー  ルと浜辺のチョイス、か……。まぁ、ほどほどにベター、かしらね」 【妹】 「合格。……満点とは言わないけど、まぁ、及第点ね。彼女のいない  兄さんにしては、よくできたほうだわ」 【兄】 「けっ。インテリ処女がなに生意気なこと言ってんだ」 【妹】 「い、インテリ処女!? インテリを馬鹿にしたわね!? 理論が経  験より勝るってことを証明してあげましょうか!?」 【妹】 「というかっ、処女じゃないわよ! 処女は兄さんが――!」 【兄】 「へ」 【妹】 「あっ」 【兄】 「……」 【妹】 「……ぁ、……っと……。ご、……ごめんなさい」 【兄】 「い、いや」 【妹】 「…………」 【兄】 「…………」 【妹】 「ぁー……。えっと、あ、あー……」 【みっちゃん】 「なーにしてんのっ」 【妹】 「ひゃっ!? な、なにっ!? ……って、あれ? みんな……。  はぁぁー、びっくりした……。……みんな揃って、なんでここに?」 【みっちゃん】 「んー? 買い出しだよ。今日のパーティーの」 【妹】 「今日のパーティーの買い出し……? あぁ、そういえば、今日みん  なでパーティーするって言ってたっけ」 【兄】 「……誰?」 【妹】 「あぁ。えっと……、クラスメイトの子。私の友達」 【兄】 「ほーん」 【みっちゃん】 「おろ? おろおろ~?」 【妹】 「あー、みんな、今日はごめんね。パーティーに参加できなくて」 【みっちゃん】 「ノンノンっ♪ デートなのに無理に引っ張るなんて野暮なことしな  いってーのっ!」 【妹】 「っ、あちゃぁ……。……そうだった……。今日はデートだってみん  なに言ってたんだった……」 【みっちゃん】 「あとあとさー。その人って……」 【妹】 「あぁ、いい機会だし、みんなにも紹介するわね。この人は私の……」 【みっちゃん】 「彼氏さんですかっ!?」 【妹】 「か、かれしっ!!? ち、ちがっ、そんなのじゃなくて、  この人は――」 【兄】 「はい、そうです」 【妹】 「ちょま――! っ、に、にいさんっ」ぐいっ 【兄】 「おっと。……どうした」 【妹】 「どうしたじゃないわよっ。なに勝手にっ、か……か、彼氏宣言して  るのよっ」こそこそ 【兄】 「お前、みんなにデートだって言ってるんだろ?」 【妹】 「……そうよ。みんなには、今日はデートだって伝えてある。  だから、パーティーには参加できないって、そう伝えて……」 【兄】 「兄貴とデートするためにパーティーに参加しなかったなんてバレて  もいいのか?」 【妹】 「う……。そ、そうね。確かに、実の兄とデートしてるなんてバレた  ら……」 【妹】 「しかも、それを理由にみんなとのパーティーを欠席したなんて…  …。むぅ……」 【兄】 「だろ?」 【妹】 「……わかった。今回ばかりは、兄さんの意見が正しいわ。さすがは  年長者、と言ったところかしら。機転が利くわね」 【兄】 「ま、たまにはな」 【みっちゃん】 「?」 【妹】 「あぁ、ごめん。…………そう。このひ……、彼が、私の彼氏」 【みっちゃん】 「やっぱりーっ!? へぇ~? へぇへぇ~?」 【みっちゃん】 「……でも、あんまデートらしくないね」 【妹】 「え? デートらしく、ない? ……そう? そんなことはないと思  うけど……」 【みっちゃん】 「だって、手も繋いでないじゃん? あっ、清い関係なのかなっ?  らしいね~、らしいね~」 【妹】 「手? あ、あぁ……。手を繋いでないのは……」 【みっちゃん】 「あっ! もしかして、清い関係なのかなっ?」 【妹】 「あ、そ、そうっ! その通り。私たちは、清い関係なのよっ」 【みっちゃん】 「お~っ! らしいね~、らしいね~」 【妹】 「だから、手は――あっ」ぱしっ 【みっちゃん】 「わぁー」 【妹】 「ぇと……。にーさん……?」 【みっちゃん】 「積極的な彼氏さんだねっ」こそっ 【妹】 「あ、あははっ、あは……。ふ、普段は、こんなに積極的じゃないん  だけどね? 今日は……、特別」 【みっちゃん】 「ふーん……? そうなんだあ」 【みっちゃん】 「くすっ。まぁいいや。邪魔しちゃ悪い、これにてドロンだじぇ!」 【妹】 「あ、うん。それじゃ、また。……楽しんできてね」 【みっちゃん】 「おうよ! めりーくりすます!」 【妹】 「うん……。メリー……クリスマス」 たたた…… 【妹】 「……」 【兄】 「……」 【妹】 「…………」 【兄】 「……」 【妹】 「…………。……ぁ、あの……」 【妹】 「……もう……、手、離しても……大丈夫。……みんな、行っちゃっ  た、から……」 【兄】 「……そうだな」 【妹】 「……。ま、まぁ、……兄さんがいいなら、別にこのままでも……。  私は、全然平気。……デート、だものね。これくらい、普通……」 【妹】 「……。じゃあ、行きましょ、兄さん。駅前の広場まで……」 【妹】 「きっと、今まで見たことがないくらい、  美しいものが待ってるはずよ」 ? 確執 ―駅前・夜― 【妹】 「わぁ……。すごい……」 【兄】 「ほー……」 【妹】 「沢山のオブジェクトが並んで……。きれー……」 【兄】 「そうだな……」 【妹】 「…………。くすっ。なんだか、あれね。こういうのに慣れてないせ  いか、情緒的な言葉を上手く紡ぐことができないわ」 【妹】 「我ながら、酷く味気ない感想だと思うけれど……。すごく……綺麗  ね……」 【兄】 「……あぁ」 【妹】 「…………。ね? もっと近くで見てみましょ? あんなに大きいん  だもの。あの木の下まで、ね? いいでしょ?」 【兄】 「ん? おお、別に構わんぞ」 【妹】 「うんっ。じゃあ、行きましょ?」 … …… … 【妹】 「……」 【妹】 「この広場と、街並木に彩られた電光の数から鑑みるに……。このイ  ルミネーションだけで、相当な電気量を消費しているわねー……」 【兄】 「おい! 色気もないこと言うなよ!」 【妹】 「いや、だって、こんなに近付いてみて分かったけど、結構な密度で  LEDが使われてるわよ、これ。……電気代がすごそうね」 【兄】 「だからやめろって! 深入りすんな!!」 【妹】 「くすっ。冗談よ。……ごめん、趣(おもむき)の欠けたことを言って。  ……でも、綺麗綺麗と連呼するのも、私の柄じゃないわ」 【兄】 「そうか?」 【妹】 「ええ、そうよ。……きっと、そう」 【妹】 「……」 【妹】 「……そういえば、さっきのことだけど。……兄さんは、勘違いして  る」 【兄】 「ん?」 【妹】 「私は、みんなとのパーティーを蹴って兄さんとデートしてるわけじ  ゃないわ。……始めは、本当にクリスマスの予定が空いていたの」 【妹】 「ただ、兄さんが先客だっただけ。独り身の兄さんに付き添ってデー  トするっていう約束が、パーティーのお誘いより早かっただけ」 【妹】 「ただそれだけのことよ。……だから、そんな申し訳なさそうな顔し  ないで。兄さんは、別に悪いことをしたわけじゃないわ」 【妹】 「私がただ、約束の順序を遵守してるだけに過ぎないわ。……兄さん  が、私をみんなから引っ張ったんじゃない。……わかるでしょ?」 【兄】 「あー、いや、そのー」 【妹】 「兄さんが、私に恥を欠かせないようにと、彼氏役に徹していてくれ  てるのは良く分かるわ」 【妹】 「人前でいきなり手を握るだなんて。……くすっ。あんな積極的な兄  さん、なかなかお目に掛かれないわ」 【妹】 「私は、そんな兄さんを見れただけで満足。……勿論、理由はそれだ  けじゃなく、今日のデートコースも含めて」 【妹】 「他の女性を満足させられる出来だったかはともかく。私は……満足  してる」 【妹】 「今日、兄さんと、クリスマスイヴを過ごせてよかったって思ってる」 【妹】 「だから……ね? 私はこう思ってるんだから、兄さんもそんな顔し  ないの」 【妹】 「……折角、私は楽しめているのに、兄さんは楽しくないとでも言う  のかしら? 酷い兄さん」 【兄】 「そんなことは、ないが……」 【妹】 「そんなことはない、けど?」 【兄】 「だが、やっぱり兄とクリスマスを過ごすよりは、友人とわいわい過  ごすほうが、やっぱ……」 【妹】 「兄と過ごすよりも友達とわいわい過ごすほうが良い、ね……」 【妹】 「……」 【妹】 「……もし」 【妹】 「もし先に、みんなからクリスマスパーティーのお誘いがあって、そ  の後に、兄さんからクリスマスのお誘いがあったとして……」 【妹】 「約束の順序を遵守する私は……」 【妹】 「……それを破ってでも、兄さんと過ごすほうを取ったと思う」 【兄】 「へ?」 【妹】 「兄さんと過ごす、クリスマスイヴを……選んだと思う」 【兄】 「……」 【妹】 「今日、兄さんと見れた、この……満天の星空と共に輝く、煌びやか  なイルミネーションは……、今日、この今しか見られない」 【妹】 「もしも、来年も兄さんが独りだったとして……。今日みたいに、私  の手を取って、イルミネーションの海に駆り出たとして……」 【妹】 「そのときに見れる光景は、今年とはまるっきり別物のはずよ」 【妹】 「もしも、細部に至るまでイルミネーションの構造が今年と同じだっ  たとしても……」 【妹】 「それでも、そのときに見える光景は……違って見えるはず」 【妹】 「今の私を彩っているのは、今の私であり、過去の私」 【妹】 「私というものは、そのときそのときで刻一刻と変化して行っている  わ」 【妹】 「来年の私が、今の私と同じとは限らない。兄さんだってそう。  ……私達の関係だってそう」 【妹】 「もしかしたら、私達は大喧嘩をして、二度と口を聞かなくなってい  るかもしれない」 【妹】 「もしかしたら、兄さんに彼女ができているかもしれない」 【妹】 「もしかしたら、私に彼氏ができているかもしれない」 【妹】 「もしかしたら、私と兄さんは……もっと……」 【妹】 「……」 【妹】 「知らず知らずのうちに、私たちを取り巻く環境や私たちの思想、精  神状態は変化するわ。そして同時に、世界も違うものに見えるはず」 【妹】 「観測において、観測者の環境設定は大切なものなの。少しのズレ  で、観測による認識は大きく変化する」 【妹】 「……なんて。この際、カオス理論だー確率論だ認識論だーなんても  のは無視して。兄さんレベルに下げて、あえて言えば……要は……」 【妹】 「……今の、兄さんとの思い出を……大切にしたかったから」 【兄】 「……」 【妹】 「……これで伝わった? さすがの兄さんも、妙なとこで朴念仁を発  症する兄さんでも、ここまで言えば分かるかしら――んむっ!?」 【妹】 「んっ! んふ……っ! んっ……、ん……ちゅ、……ちゅぅ……、  っはぁ……ふぅ……」 【妹】 「っ、……こっ、公衆の面前で……っ。今日の兄さん、やっぱりおか  しい……。積極的過ぎよ……」 【兄】 「……クリスマスイヴだからな」 【妹】 「……くすっ。あはははっ、わけわかんない。クリスマスイヴだから  なんだっていうのよ、ふふっ。くすくす」 【妹】 「……ねぇ。兄さん? ……兄さんは、今年のクリスマスプレゼント  ……。サンタさんへのお願い事は、何にしたの?」 【兄】 「そーだなぁ……」 【妹】 「そーだなぁ……ってことは、決めてないんだ。……ま、変に欲求が  ないほうが、受け取ってもらえやすい、か……」 【兄】 「ん?」 【妹】 「ん。……じゃあ、私から、兄さんへ……プレゼント」 【兄】 「おっ。用意してくれてんのか? 悪いな~」 【妹】 「手、離すね」 【兄】 「ん」 がさがさ 【妹】 「ん……。はい、おっけ」 【兄】 「……眼鏡?」 【妹】 「うん。そう、眼鏡。心配しなくても伊達だから、度は入ってない  わ。どう? 付け心地は」 【兄】 「まぁ、悪くないが……」 【妹】 「悪くない? そっか。……よかった」 【兄】 「しかし、なんでまた眼鏡なんか……」 【妹】 「……眼鏡を掛けると、世界が少し……違って見えない?」 【兄】 「なに?」 【妹】 「眼鏡を掛けることによって、視野が狭まるし、パッドやフレームが  顔に触れるから、そのままでも、いつもと違う自分を感じない?」 【兄】 「ん? んー……まぁ、違和感は覚えるが……」 【妹】 「兄さんの感覚だけじゃない。周りの人から見ても、今の兄さんと、  さっきまでの兄さんは、違って見えるわ。少し、知的に見えるもの」 【兄】 「そうか?」 【妹】 「ええ。眼鏡を掛けた兄さんに対して抱く印象は少なからず変化する  はずよ。つまり、元の兄さんというものは崩れ掛かった状態にある」 【妹】 「今の兄さんは、普段とは別の人。周りからの印象が変わり、見てい  る風景も変わる。兄さんを形成しているものが、ガラッと変わった」 【妹】 「……ね。今のあなたには、私はどう見えてる?」 【妹】 「眼鏡を掛けたあなたにとって、私は……なに?」 【兄】 「なにって……」 【妹】 「あなたの妹かしら? ……違う、私は眼鏡を掛けていない兄さんの  妹。……だとしたら、今の私は……」 【妹】 「眼鏡を掛けたあなたの……彼女?」 【兄】 「……また妙なこと言い出すな」 【妹】 「ん……だから、よ、要は……。  ……きょ、今日は、……今日、だけは……」 【妹】 「眼鏡を掛けてるときだけ、は……」 【妹】 「妹じゃなく、彼女として……私を見て、兄さん」 【兄】 「へ?」 【妹】 「こ、これは、単に仮面効果を促してるに過ぎないけれど、そんな理  屈は関係なく……、私の気持ちを……汲んで欲しい」 【妹】 「今日だけ……。来年は、どうなってるかわからないもの。だから、  今日じゃないと……だめ」 【兄】 「……いちいち小難しいんだよお前は」 【妹】 「こ、小難しいのはしょうがないじゃない。こういう性分なのよっ。  兄さんほど……私はっ、……単純じゃ、ないんだから……」 【兄】 「……わかった」 【妹】 「……兄さん?」 【兄】 「今日……。んー……っと。この眼鏡を掛けてるときだけ、お前は俺  の彼女な」 【妹】 「あ……。うん……、ありがと、兄さん……。……ごめんね、色々と  迷惑かけて」 【兄】 「お互いさまよ」 【妹】 「ん。それじゃ……もう一回。手……繋ごっか」 【兄】 「ん」 【妹】 「…………。ふふっ、……あったかい……」 【兄】 「……そうだな」 【妹】 「…………あ……、雪……。  っ! ねぇっ、兄さんっ、雪よっ!」 【兄】 「ん?」 【妹】 「わぁ……」 【妹】 「……この様子だと、明日には積もって……ホワイトクリスマスー、  ってことになりそうね……」 【兄】 「積もらないと駄目なのか」 【妹】 「ええ。積もらないと、“ホワイト”クリスマス、とは呼べないわ」 【妹】 「庭の芝生を窓から見て、“グリーン”か、もしくは“ホワイト”  か。その違いだもの。積もらなきゃホワイトにはならないわ」 【妹】 「……けど、別にそんなことどうだっていいわね」 【妹】 「クリスマスのイヴに、兄さんとこうして……イルミネーションに輝  く、舞い散る雪の姿を見られただけで……わたしは……」 【兄】 「……そう、かもな」 【妹】 「…………。っ、……兄さんっ」 【兄】 「ん?」 【妹】 「……メリー、クリスマス!」 ? イヴの情事 ―自宅傍・深夜― … …… … 【妹】 「……そろそろ、家に着いちゃうわねー……」 【兄】 「そうだなぁ」 【妹】 「……」 【兄】 「……」 【妹】 「……今日は、ありがと。独り身の惨めな兄さんに付き合うだけだっ  たはずなのに、私も、結構楽しめたわ」 【妹】 「それに、こうして……少しの間だけだけど、……彼女にしてくれて」 【兄】 「なーに、まだクリスマスは終わってない。俺だって眼鏡を掛けて  る。お前にはまだまだ彼女をやってもらうさ」 【妹】 「あははっ。そうね、まだクリスマスは終わってない。兄さんも、眼  鏡を掛けたまま……。私はまだ彼女ー、……かぁ」 【妹】 「……相変わらずというか、なんというか……。妹の無茶振りなお願  いを、さらっと聞いてしまうのねー、兄さんは」 【妹】 「“眼鏡を掛けてるときだけ彼女にしてくださいー”なんて、  普通は、気味悪がって拒否するものじゃないの?」 【兄】 「んー……? そうかぁ?」 【兄】 「俺は嬉しかったが。お前の彼氏役」 【妹】 「う、嬉しかったっ? 私の、彼氏……役……。う、そっか。私が彼  女なら、兄さんは……私の……、彼……」 とことこ 【兄】 「着いた」 【妹】 「あ。……着いちゃった」 【兄】 「もう寝てっかねー」 【妹】 「そうね。もう夜遅いし、家の電気も点いてないし……。  お母さんたち、もう寝ちゃったかしら」 ―自宅玄関・深夜― がちゃ 【妹】 「ただいまー……」そーっ 【兄】 「おかえりー」 【妹】 「……寝ちゃってるっぽいわね」 【兄】 「そうさな」 【妹】 「……」 【兄】 「んじゃ、起こさないように静かーに、  んで、ささっと入っちまおう」 【妹】 「――っ、待ってっ、兄さん」がしっ 【兄】 「おっと」 【妹】 「玄関上がっちゃ……やだ……」 【兄】 「は?」 【妹】 「っ、だって、玄関を上がったら……もう、妹に戻っちゃう……。彼  女のままで、いられない……」 【兄】 「なに、言って……」 【妹】 「もう少し、……もう少しの間だけでいいから……、彼女でいさせて  ほしい……。ね? お願い……兄さん……」 【兄】 「んー……。わかったわかった。今日はてんで駄々っ子なのな」 【妹】 「ん、ありがと。……それと。むぅ、私のことを駄々っ子呼ばわりす  るなら、……もう一つ、お願いがあるの……」 【兄】 「ん?」 【妹】 「…………きす、して……? にーさん……」 【兄】 「へぃっ!?」 【妹】 「ほら、……さっき、クリスマスツリーの下で、無理やり……私の  唇、奪ったでしょ……? 周りに、知らない人がいるのに……」 【妹】 「あれくらい積極的だったじゃない。……だから、誰も見てない玄関  の中で、キス……。……今の兄さんには、容易いことでしょ?」 【兄】 「いやっ、あれはムードというか、体が勝手にというかっ」 【妹】 「……なに、その言い訳。ムードがないとできないっていうこと?  もぉ……、兄さんっていつもそうよね」 【妹】 「この前だって、私の処女を奪っておきながら、ムードがなくなった  からとか言いながらやめようとするし」 【兄】 「おまっ、そのことは」 【妹】 「なによ……夢なわけ、ないじゃない。兄さんが変なことして、私を  たぶらかせて、それでっ、あんなことになったんじゃない……」 【妹】 「今だってそう。兄さんが彼氏役に徹してくれたり、無理やりキスし  たりで……。私をっ、その気にさせたのは兄さんでしょっ」 【兄】 「うぐっ。……まぁ、そこは素直に……すまん」 【妹】 「すまんなんて言葉は聞きたくない」 【妹】 「それじゃ……、さっきまでの兄さんがした行為が、しないほうが良  かった、間違いだったって釈明してるように聞こえる」 【妹】 「やだ。……私は嬉しかったって言ってるの。だから……謝らないで」 【兄】 「あー、はい」 【妹】 「ん。……なら、お詫びに……キス。ちょーだい?」 【兄】 「なんでそうなる!」 【妹】 「もうっ、なんだっていいのっ。兄さんの唇が欲しいのっ。そんなに  悪いことっ?」 【兄】 「そんなに捲くし立てられても」 【妹】 「……じゃあ、軽く……ちゅってする感じで」 【兄】 「うん?」 【妹】 「さっきみたいに、舌は入れなくていいから。軽く、啄ばむくらいで」 【兄】 「ん……まぁ、それでお前の気が済むなら」 【妹】 「うん。私はきっとそれで満足するから。……私は」 すっ 【妹】 「ぁ……。にいさ、っ……ん……ちゅっ」 【妹】 「っ、んぁ……。はぁ……はぁ……。……ふふっ。にーさん。  ……だーいすき」 【兄】 「っ(――どくん」がばっ 【妹】 「――っ、んぁっ、にぃさっ、ぁむ、ちゅっ、ちゅ、ちゅるっ……、  ちゅ、ちゅぴ、……ちゅっ、ちゅる、ちゅちゅっ」 【妹】 「ちゅるっ、ん……ぷぁ……。はぁ……はぁ……ふふっ、やーっぱ  り、我慢できなかった。兄さんが、我慢できなかったっ」 【兄】 「……お前のせいだぞ」 【妹】 「前の……、兄さんのファーストキス貰ったときの、兄さんの気持ち  良くて気持ち良くて堪らないって顔……。よーく覚えてるわ」 【妹】 「兄さんって、実は……、キス……弱いでしょ?」 【兄】 「うぐっ」 【妹】 「舌を誰かの舌で撫でられる感触。異物感。……でも不思議と心地良  い。……その狭間で揺れるのが、兄さんは堪らなく好き。でしょ?」 【兄】 「……はめたな」 【妹】 「はめたんじゃないの。兄さんが勝手にはまったの。……まぁ、どっ  ちも一緒か。はまっちゃったわけだしっ。くすっ」 【兄】 「こら」 【妹】 「あっ。ん、むちゅ、ちゅっちゅ……、ちゅぴ、ちゅ、ちゅぅ……、  っ、はぁ……ぁ、んちゅ、……ちゅ、ちゅる、ちゅっちゅ……」 【妹】 「ん……、んふふっ♪ にーはんおひっひなかおー……、んっ、ん  んっ♪ かーあいー……、ん、んっ……ちゅっちゅ、ちゅぴ」 【妹】 「ぁ……む、んちゅ……ちゅ、ちゅ……、ん、ぁ……あむ、ちゅう、  ちゅっちゅ、……んん、ちゅ、ちゅぴ、ちゅる……」 【妹】 「ちゅっ、んぁ……。もう……がっつきすぎ。……息くらいさせなさ  いよー……」 【妹】 「んっ、胸触って……っ、だめっ、声……出ちゃうから……。それ以  上触るのは……んっ。こ、こらぁ……、スカート中もだめ……っ」 【妹】 「お母さんたち、起きちゃうからっ……。だから、兄さんは何もしな  いで、そのまま突っ立てればいいから……」 【兄】 「ん……」 ごそごそ 【妹】 「……、ふふっ。あらあら~? これはなーにかしらー? ズボンが  ぱんぱん……。えいっ、太ももで撫でちゃえーっ。すりすりーっ」 【妹】 「あはっ、すごーい……。びくびく脈打って……。ズボンの下から、  私の太ももを力強く押し返してくるの、解る……」 【妹】 「……このままでも、気持ちいー? 太ももの軟らかさを感じる?  ……でも、ズボンの奥に仕舞われたままだと、もどかしいかしら」 【妹】 「……こーんなにびくびくしてるのに、満足できない? もっと強い  刺激が欲しいの? 我が儘さんでちゅねー」 【妹】 「……いいよ。出してあげる。……窮屈な檻から、開放してあげる…  …。待っててね。……んっ、ん……」 かちゃかちゃ じー 【妹】 「っ、しょ……。あ……出てきた。兄さんの育ち切ったペニス……。  っ、あ……すごいにおい……。むせ返りそうな、オスの香り……」 【妹】 「んっ、はぁっ……はぁ……。これが、私の中に……入ってたのよね  ……。お腹の、奥……。ここまで……っ、はぁ……」ぴと 【兄】 「っ、つめたっ……!」 【妹】 「あ、ごめんなさいっ。手、冷たかった……? さっきまで外にいた  ものね……。手は繋いでても、ペニスの熱さに比べれば……」 【妹】 「……、じゃあ。……温めて、あげる……ね」 すっ…… 【妹】 「……。ぁ……むぅ、ん……」 【兄】 「っ、く……」 【妹】 「んむぅ、ちゅる、ちゅぴ、ちゅっちゅ、……ん、ちゅるるる、ちゅ  るっ、ちゅぅー……、っ、ちゅぴ、ちゅるるる、ん、んぁ……」 【妹】 「れろれろれろ、えぇぇるぅ、ん……じゅる、ちゅるるるっ、ちゅぴ  っ、……ちゅぅ、ん……ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅー……」 【妹】 「ん、ぁ……。ぁ……兄さんの顔、ちょっと……見づらくなったわ  ね。暗がりで……ぇ、ぇぇええるぅ、じゅる、じゅぷ……」 【妹】 「ぷぁ……っ、んぐっ。っはぁ……はぁ……、兄さんの、気持ち良さ  に耐える顔が見えないから、ん、ちゅ」 【妹】 「ろこがきもひーのか……ちゅ、ちゅぷ、ちゅぴ……、解りにくいわ  ね……」 【兄】 「まぁ、っ……なにされても、気持ちいいけど……」 【妹】 「む。何されても気持ちいいじゃ駄目。……嬉しいけど……、兄さん  の弱点を知らないと……ちゅぴ、ちゅるるるる……」 【妹】 「兄さんの弱いところ……ぁむ、んちゅっ、ちゅるるるっ、ちゅぷ、  ……っ、ぷぁ……える、えろ……兄さんが、すぐにいっちゃうとこ」 【妹】 「ん……。ちゅっ、ちゅ……。じゅぷ、じゅぷ、じゅぽ、ちゅぴ、…  …ちゅぽ、ちゅぷ、ん、んん……じゅぷ、じゅぷ」 【兄】 「っ、く……はっ……!」 【妹】 「んんぅ……? んふふ、見つけは♪ にーはんの、じゅぷ、じゅぽ、  ……んんっ、んは……弱点っ」 【妹】 「にーさんはぁ、お口ピストンが弱点なのね~。んん、む……ちゅ  ぷ、ちゅぴ、じゅぶ……んふぅ、じゅぽ、ちゅぼ、ちゅぷ、ちゅぽ」 【妹】 「ちゅぷ、ちゅる、ちゅぴ……っ、んちゅ、ちゅぶ、ちゅぼ……、  じゅる、じゅるるるるるっ、っんん……じゅぷ、ちゅぷ……」 【妹】 「ちゅぷ、ちゅぽ……っ、ん……ちゅぷ、ちゅぽ、ちゅぽ……、  じゅる、ちゅる、じゅるる、じゅぽ……」 【妹】 「ん、ちゅぅ…っ、はぁぁ……」 【妹】 「ふふっ。単調な動きに弱いだなんて。兄さんを篭絡するのは簡単そ  うね……ぇぇえるぅ、ちゅっ、ちゅぷ……っ」 【兄】 「うるさっ……! くぁっ!」 【妹】 「ぁっ、こらっ。……大きな声だしちゃだめっ。お母さんたちに気付  かれちゃうわよ……? じっとして、……物音も立てちゃ駄目」 【妹】 「泥棒が入ったって思われちゃうわよ……? ちゅ、ちゅぴ……える、  える……」 【妹】 「ちゅるるる……っ、んぅ……。くすっ、泥棒かと思って玄関まで出  てみたら……自分の子供が……える、ちゅる、……ちゅぴ」 【妹】 「兄さんのペニスを口に含んでぇ……ぁむ、んん~……ちゅるる  るっ、ちゅっちゅぅ……っ、んん」 【妹】 「んぁ……。くすっ、兄さんを気持ち良くしてるのを見つけてしまう  の……。そんなこと、お母さんたちにさせられないでしょ……?」 【妹】 「だから、我慢して……。ちゅ、ちゅう……れろ、えろれろ……。  ちゅっ……ん、ぁ……むぅ」 【妹】 「ちゅぷ、ちゅぴ、ちゅぽ……ちゅる、じゅるっるる、ちゅぴ……、  ちゅぼ、ちゅぽ……っ、んふっ、……ん、ちゅ、ちゅるるっ」 【妹】 「ん……、んふっ。んぁ……、ぴくぴく跳ねてる……。舌が、亀頭を  這い回るたびに……えるれるれる……」 【妹】 「んちゅ、……ほら。兄さんのペニスが嬉しそうにして……、  んちゅ、ちゅる……っ、ちゅぅー……っ」 【妹】 「舌が気持ちいー? 軟らかい舌が、がちがちに勃起したペニスを這  うのが、そんなに気持ちいいの……? くすっ。ん、ちゅるるっ」 【兄】 「っ、仕方……ないだろっ」 【妹】 「……仕方ないの……ね。……ふぅーん」 【妹】 「……にぃーさんのペニスを這ってるのはぁ……、妹の舌なのに?」 【兄】 「っ(ぞくっ」 【妹】 「毎日言葉を交わす、見慣れた妹の口……。毎日毎日、兄さんのこと  を嫌味ったらしく説教する妹の、そんな口なのに?」 【兄】 「う、うるさ――」 【妹】 「んっ、じゅぽっ、ちゅぽっ、ちゅぼっ、じゅるるるるっ!」 【兄】 「――っっっ!!」 【妹】 「んふ……。ずーっと一緒に暮らしてきた妹の口に、兄さんのペニス  が……、くすっ。……“おちんぽ”、咥えられて……どんな気分?」 【妹】 「無理やり突っ込んでるんじゃないの。だからこうやって……える、  れろれろ……ちゅっ、ちゅぅ……っ」 【兄】 「っ、……っ、っ……!」 【妹】 「やさーしく、兄さんを労わるように、献身的に舐めてあげたり……」 【妹】 「兄さんが望むなら、こうやってぇ……ぁ、む……ちゅっ、  ちゅぽっ、ちゅぼっ、じゅぷっ、じゅるっ、じゅるるるるっ!」 【兄】 「っ、ぃ、くっ……! はっ……!」 【妹】 「んふっ……♪ んぷぁ……。ふぅ……、兄さんをイかせるために、  激しく吸ったりもしてあげられる」 【妹】 「どう? 普通は自分の手で行う性処理を、妹の口を使って行うのは。  どきどきする? ……イケナイコトをしてる気分になっちゃう?」 【妹】 「物音も立てられなくて……、ちゅっ、ちゅぴ、ちゅ……、  暗がりで、妹におちんぽを咥えてもらって……ぁぁむ」 【妹】 「ちゅ、ちゅぷ、……っ、ちゅぽ、ちゅぼっ、じゅぽっ、じゅぷっ」 【兄】 「っ、ふっ……はぁっ!」 【妹】 「っ、んぷぁ……。……くすっ。  それがぁ……、キモチイイんでしょ?」 【妹】 「物音を立てられない。暗がりの玄関でこっそりと。性欲処理を。妹  の口を使って。ごく自然に。嫌がりもしないで。……気持ちいい」 【妹】 「気持ちいいよね。……兄さん」 【妹】 「イケナイコトって……気持ちいいよね。兄さん」 【兄】 「ぁ……あ……」 【妹】 「……お兄ちゃん」 【兄】 「――っ!」 【妹】 「……ぺろ、ぺろぺろ……ちゅ、ちゅぷ、ちゅ……っ、んむ、んぁ…  …む、ちゅぷぷぷ、ちゅるるるっ……」 【兄】 「はっ……あ……ぁあっ!」 【妹】 「ちゅぷっ、ちゅぽ……ちゅっちゅ、ん……じゅるるるっ、じゅぽっ」 【兄】 「ぁ、い……いく……っ」 【妹】 「っ、ぷぁ……。うん、出して。私の口の中に……っ。兄さんの精子、  全部、飲んであげるっ、から……ぁむ、ちゅっ、ちゅぅぅ……っ」 【妹】 「んっ、ちゅぽ、ちゅぷ……、っ、じゅぷ、ちゅぷ、じゅぽっ……、  じゅるっ、ちゅるるるっ! んんっ……! じゅるるるるるっ!」 【兄】 「~~~っ!! っ、くぁ……っ!」 びゅるるるっ 【妹】 「――っ、っっ! っ、ん……ふっ!! っ、っ……、んん……ん、  出ふぁ……ぁ、むぅっ……」 【妹】 「ちゅるるる……っ、ちゅるる……、ちゅぅっ……。っ、ん……んぐ  っ、っ……っはぁ……」 【妹】 「へへぇ……飲み込めた……」 【兄】 「……っ」 【妹】 「あ、……まだ先っぽから出てる……。  これも舐め取っ――ひゃっ」 【兄】 「……」 【妹】 「ど、どうしたのっ。兄さ――んっ」くちゅっ 【妹】 「ゃっ、ちょ、ちょっとっ。パンツずらしたら、んぁ……っ! な、  なに、どうしたのっ、いきなっ、りっ、ぃっ、ぁっ……!」 【妹】 「ぁ、ぁ、ぁっ、ぁーっ、だめ、だめっ……だめだぇ……っ! そこ  っ、いま敏感……んんん~~……っ!」 【妹】 「ゃ……、ゃぁ……声、出ちゃうからぁ……。お母さんたちに聞かれ  ちゃ……」 【兄】 「……壁に手ついて」 【妹】 「へっ? 壁に、手を……? ぇ……ぇえっと……。  ん…………、こう……?」 【兄】 「そのまま声を出さないようにしてろ」 【妹】 「声を出すな……?  ……っ、て、まさかっ、にい――っ、ぁぁああぁぁあ……っっ♪」 【妹】 「入れたぁ……♪ 入れたぁ……♪ いもーとの許可っ、なく……、  っ、ぅぁ……後ろ、から、っ、ちんぽ……ぉ、いれ、たぁ……」 【兄】 「っ、とろとろじゃねーか……っ」 【妹】 「んっ、んぅっ……! はっ……はぁっ、はっ……ん、そりゃっ、だ  って……っ、期待してた、ものっ……」 【妹】 「またっ、兄さんのおちんぽ……っ、ぁ……おまんこの、中でぇ……  味わえるかもぉって……っ、ふっ、ぁ……」 【妹】 「指じゃ届かないとこまでっ、っ、ぁ……! 兄さんので、突いてく  れるかもぉ……ってぇ……!」 【妹】 「っ、はぁ……はぁ……だから……、そんな浅いところくすぐったら  ……やだぁ……。もっと、奥まで……っ」 【妹】 「ほら、兄さん……。私の腰、掴んで……もっと兄さんに近付けて?  兄さんの腰、私のお尻に……叩き突けて――っぁあ! ぅんっ!」 【兄】 「……」 【妹】 「ぁ……ぁぁ……はぁ……っ、ご、ごめんなさっ、兄さん……。それ  されると、声……抑えられないから、やっぱり、浅いとこ――っ!」 【兄】 「っ……、っ……!」 【妹】 「ゃっ! だめっ、にいさっ! っ、んんっ……! 奥っ、突いちゃ  ……っ!」 【妹】 「ぁっ、ぁっ、ぁあっ! ~~~っ、だめっ、だめ……だめぇ……  っ! 腰っ、掴んで……! ぐいぐいってぇ……ぁっ!」 【妹】 「っ、聞こえちゃう、からぁっ、ぁ……っ、ぁっ、あ……!  ふぅっ、ふっ、はぁっ……! ぁ、ぁ……」 【妹】 「だめ、だっ……てぇ……っ、いっ、……言って、る……っ、ん、は  ぁっ、は……ぁっ……!」 【妹】 「~~~っ! すご、っ、すごいぃ……っ、こ、腰……打ち付けてる  音っ、すごっ……ぅ、ぁっ……! ぁ、ぁうっ、んはぁっ……っ!」 【妹】 「こんなのっ……こん、なのぉ……っ! こえ、堪えてもぉ……っ、  ばれちゃっ……ぅ、ぁあっ……! ばれちゃぅぅ……っ、んっ!」 【妹】 「っ、っ……、ん、んっ、……っ、ぁ……ぁっ、あっ……! あっ、  はぁっ、……はっ、は、ぅんっ! んっ、っ、ん~~……っっ!」 【妹】 「っ、に、兄さんっ……! 私に、こえっ、出させようとしてるでし  ょ……っ? んっ、っ……は……」 【妹】 「感じてる、こえ……ぅ、あんっ! はぁっ……、兄さんので、掻き  混ぜられてっ、よがってる……っ、あ……声ぇ……ぇ、ぁっ!」 【妹】 「っ、いいの? ばれても、いいのっ? 兄さん……っ。兄さぁん…  …っ、っ……にぃ、さ、ぁっ! ぁぁっ、はっ、ぁ……っ!」 【妹】 「っ、もう……、どうなっても……知らないんだか、らぁんっ!!  んはっ! はっ、ぁぁああっ! っ、ぅんんっ!」 【妹】 「っ、っ! く、ぁ……は、ぁ……っ……! っ、まだ……まだ、一  回しかしたことがないのに……っ!」 【妹】 「この間まで、処女だった妹のっ……ぅ、あっ…ぁ、んんっ……!  おまんこ……っ、おまんこにぅ……っ、ふぅぅ……っ!」 【妹】 「兄さんが……ぁ、ぁ……ぁ……兄さんの、がぁ……っ、ふぁ、  はっ、ぁ……ぐちゅっ、ぐちゅにぃ……ぐちゅ、ぐちゅっ、してぇ」 【妹】 「兄さんがぁ……っ、ぅぁ……ぁぅっ! 兄さん、なのにぃ……っ!  兄さんなのにっ、兄さんなのにぃ……っ! ぁっ、はぁっ……!」 【妹】 「私のっ……はっ、ぁっぁっ……。妹のっ、わたしの……なかぁっ…  …ごりゅごりゅしてるぅぅ……っ、っ! ~~~っっ!」 【妹】 「兄さんはっ……っ、ん……こんなことっ、しちゃ……だめなのよ…  …? いもーとの、奥っ、ぉく、おくぅ、おくぅぅ……っっ!」 【妹】 「ぁっ、ぁっぁっ……っ! にーさんの、さきっ、さ、ぁぁ~~っ!  さきっ、ぽでぇ……つついちゃ、だめっ……なのにぃ……ふぁっ!」 【妹】 「根元までぇ……ぇっ、ぇぇ……ずっ……ずぽぉー……ってぇ……、  ぁっ、あ……! ぅ、くぅ……そーにゅぅ……して、ぇ……っ!」 【妹】 「っは、ぁっ、はあぁ~~っ!! っ、これ、これぇっ……! は、  はぁっ、ぁ、すごっ、す、すごぃっ、っ、ぁ……ぁ!」 【兄】 「っ……締まるっ……!」 【妹】 「っ、し、しめてっ、んんっ! 締めてないっ! そんな、ことっ、  ふぁ……してなっ、ぁっ……ぁぁっ、くぅ……っ!」 【妹】 「っ、やば……くるかも……きちゃうかも……っ、はっ、……気持ち  よすぎて、ぁ……はぁっ……奥まで、ずぷずぷするっ、の……っ!」 【妹】 「っ、あ……、そ、そういえば、兄さん……? あの、いま……っ、  ぅ……ゴム、してない、わよね……っ?」 【兄】 「っ、そりゃ……そんなもの持ってないし、なっ!」 【妹】 「ひぅっ! ひぁんっ! っ、ん、で、でしょうね……っ、あ……、  くすっ、くすくすっ……」 【兄】 「……?」 【妹】 「っ、じ、……実はぁ……っ、きぉ、今日は、私にとって……んん  っ! だぁ……っ、大事な、日……なんだけど……っ」 【兄】 「っ、……だいじな?」 【妹】 「っ、ん! ぅんっ、うんっ! そうっ、だいじな……だーいじ  なっ、女の子にとって、とっても大事な日っ! ふぁ……っ」 【兄】 「……まさか」 【妹】 「くすっ……、んっ、そう……、きょーはぁ……はぅっ! ……、  き……、っ、きけんびーっ! なの……あっ!」 【妹】 「このままっ……前みたい、にっ……ん、は……気持ち良さにっ、か  まけて……ぁっ、あ……生ハメセックスの、なましゃせぇー、っん」 【妹】 「……ふふっ、なぁんてことしたら……どうなるかしら……? ん  っ! はぁぁ……」 【妹】 「実の、いもーとのっ、ん……はぁっ……。禁断の蜜壺を、っ、あ…  …味わうことを、意識し過ぎてぇー……、っ」 【妹】 「そのままっ……、っ、兄さんでしか染められたことがない膣内に、  んぁっっ! っ、んぐっ……兄さんのせーしを、上書きしちゃう?」 【妹】 「まだ、兄さんしかハメたことがない……んふっ、ふぁ……っ!」 【妹】 「……きつきつで、兄さんのおちんぽをっ、……ふっ、ぃ、一生懸命  っ、締め上げっ、る……んっ! はぁ……」 【妹】 「せーえきなんて、入る隙間がなさそうな……私の……ぅんっ! は  ぁ……、いもーとの……おまんこにー……」 【妹】 「赤ちゃんを孕ますためだけの子種……っ、どぴゅ、どぴゅぅ……、  どぷっ、どぷーって……っ、はぁ……っ、……注いじゃうの……?」 【妹】 「っ、くすっ、くすくすっ……。そんなことしたらぁ……っ、あっ…  …、ふっ、くすっ……、どうなるの、かしら、ぁぁあああっ♪」 【兄】 「誰がっ、そんなこと……っ!」 【妹】 「えー? くすっ、っ、は……、しないの……? いま、兄さんはぁ  ……ぁっ♪ わ……私を、孕ませようとしてるんじゃ、ないのぉ?」 【妹】 「自分の子種っ、私の中に……注ぎ込むためにっ……~~~っ! は  ぁっ! っ、あ……、腰っ、そんなに奥までっ……くぅんっ!」 【妹】 「っ、つ、突いてるんじゃ、ないのぉ……?」 【兄】 「っ、く……っ!」 【妹】 「いやらしい音っ、っ、……家に、響かせっ、てぇっ! はぁっ…  …! 自分のモノをっ……もっと、奥まで入れたくてっ、はぁっ!」 【妹】 「いもーとのっ、おまんこにぃー……やさしくっ、ぎゅーって締め付  けられながらぁ……ぁっ、あっ……!」 【妹】 「亀頭剥き出しのおちんぽでぇっ、っん! ……いもーとの軟らか  さをっ、味わいっ、ながらぁ……っ!」 【妹】 「根元をっ、いもーとのおまんこの入り口で、きゅーって締め付けら  れながらぁっ……っ、く……!」 【妹】 「気持ち良く……孕ませたいんじゃ、っ、ないのぉ……?」 【兄】 「っ、ちが、違うっ! っ、……っ!」 【妹】 「んっ、はぁぁっ!! っ、ち、ちが、ぅ……っ、ちがうって、はぁ  っ、……口で、そう言ってるのにっ! にぃさっ、腰っ、つよっ!」 【兄】 「はぁっ、はぁっ、はぁっ、……っ、くっ」 【妹】 「はぁっ、はぁっ、はぁっ! ぁっ、ぅんっ! んっ! んっ!   んんぅっ! っ、ぁ、ぁ、ぁっ、ぁっぁっ! ~~~っっ!」 【妹】 「っ、は……ぁ……。兄さんがぁ……兄さんが、私のっ……一番奥で  ……っ! びくびくぅってしながら、せーえき吐き出したらぁ……」 【妹】 「……そんなことしたら……嬉しくて、私の子宮が……兄さんのせー  えき、ごくごくって飲んじゃぅぅ……」小声 【兄】 「――っ! っ、な、なにを……っ」 【妹】 「……ね、おにーちゃんっ」 【兄】 「っ」 【妹】 「……先っぽに、せーえきが付いてる状態で、っ、んんぅっ……!」 【妹】 「はぁ……っ、おにーちゃんは、……私のおまんこのおくっ、まで…  …っ、ん、ふぁ……っ、突っ込ん、じゃったよね……?」 【妹】 「だからね、もういいの……っ。おにーちゃんの、したい……っ、し  たいように……したら、いいの……っ」 【妹】 「どうせ……もう、私の子宮は……ぁっ、ぅ……! んっ……、おに  ーちゃんのせーえき……飲み込んじゃってるからっ……ねっ?」 【妹】 「だから……。っ、突いて、おにーちゃん……」 【兄】 「っ。……――っっ!」 【妹】 「っ、あっ! はっ、ぁっ! ぁっ! おにっ、おに……っ! おに  っ……ちゃっ……ぁっ! はぁっ、はっ、ぁ……ぁぁっ!」 【兄】 「やべっ……! もう……いくっ……!」 【妹】 「っ、んっ! ぅんっ、うんっ! いって、いっ、てぇっ! このま  まっ、奥をっ……突い……っ! っ、て……ぇぇ……っ!」 【妹】 「っ、ぁ……だめ……くる、くるっ……! おにーちゃんのっ、おち  んぽで……っ、いっ……く、ぅぅ……~~~~~っっ!!!」 【兄】 「くっ、ぁ!!!」 びゅるるるっ! びゅくっ、びゅるっ! 【妹】 「っ、~~~っ!! っはぁ!! っ!! っ! っ、んんんっ!  あっ……ぁ……でてる……おく……、は、ぁ……っ」 【妹】 「おにーちゃ、が……腰……っ、ん! 打ちつけながら……ぁ、ぁぁ  ……。んっ、っ……」 【妹】 「っ……ぁぁ……。奥に……おくにーって……、腰、押し付けてぇ…  …はぁぁ……」 【妹】 「ぅ、んっ……そんなにっ、腰、掴んで……っ、んんぁっ♪ ぐいぐ  いしなくても……っ、は……逃げない、からぁ……」 【妹】 「はぁ……はぁ……。はっ、ぁ……。ふぅ……ふっ、んんっ♪  ぁ…………。はぁ……」 【妹】 「ぜんぶ……でた……? にーさん……」 【兄】 「っ、あぁ……」 にゅる……っ 【妹】 「っ、あっ♪ 抜いちゃ、ぅんっ! ぁ……、ぁぁ……」 【妹】 「ぁ……抜けちゃった……」 【妹】 「……ふふふっ。……気持ち良かった? 兄さん」 【兄】 「ま、まぁ……」 【妹】 「そっか。……私も……すっごく、きもちよかった」 【兄】 「う……そうか」 【妹】 「……にーさん」 【兄】 「ん?」 【妹】 「……ちゅっ」 【兄】 「んむっ」 【妹】 「……ありがと。兄さん。……少しの間だけど、  私を……、彼女にしてくれて」 【兄】 「は? ……あ、あぁ。別に、きにすんな」 【妹】 「……っ、と。  ……はいっ。眼鏡は外した。……もう、私は兄さんの彼女じゃない」 【妹】 「これからは……いつも通り。私は……兄さんの妹」 【妹】 「……」 【兄】 「……ぁー。とりあえず、上がろうか? 風呂とか入りたいし」 【妹】 「っ、あぁ……そうね。そろそろ玄関を上がりましょうか――っくし  ゅんっ!」 【兄】 「あ」 【妹】 「あ……。はは、ごめんなさい。火照った体が冷めて、寒くなったみ  たい。……というか、寒い」 ? 想い ―リビング・深夜― … …… … 【妹】 「はい、兄さん。ミルクココア。よーく混ぜて飲んでね」 【兄】 「おう。さんきゅ」 【妹】 「んっ、と……」 【妹】 「ふーっ……、ふーっ……。……ん、っ、っ……ん。はぁ……。お  いし」 【兄】 「だな」 【妹】 「……。改めて、兄さん。……今日は、ありがとう。普段、一日では  回れないようなところに連れてってもらえて、……楽しかったわ」 【兄】 「ん」 【妹】 「それだけじゃなく……、たくさん……たくさん、我が儘も聞いてく  れて」 【兄】 「なんの」 【妹】 「……ホント。相変わらずの甘やかし体質だことで。……我ながら、  随分と兄さんに甘えてしまったと思うわ」 【妹】 「今日だけで、一年分の甘えは消費したんじゃないかしら」 【兄】 「ははは。かもな」 【妹】 「……ホント。どうかしてるわ、兄さんは」 【兄】 「いつまで続くんですかね……」 【妹】 「……いい機会だから、兄さんに……。  兄さんに、言っておこうと思うことがあるわ」 【兄】 「ん?」 【妹】 「……私が、兄さんに感謝していること。  それは、私の兄さんであったこと」 【妹】 「そして、私が、兄さんに怨嗟(えんさ)……うらみ嘆いていること。  それは、……私の、兄であったこと」 【妹】 「……せめて、兄でなければ、こんな苦しみを味わうことはなかった  はずなのに……」 【妹】 「どうして、兄さんは私の兄なんだろ……」 【妹】 「どうして、私は兄さんの妹なんだろ……」 【妹】 「兄さんが兄さんで、兄さんであることが、こんなにも幸せで。  兄さんが兄で、兄であることが、こんなにも苦痛で。でも、幸せで」 【妹】 「……わからないわよ」 【妹】 「兄さんが兄さんじゃなかったら、私は……、こんな苦しみを味わわ  なくても済んだの?」 【妹】 「でも、兄さんが兄さんじゃなかったら、こんな幸せを味わうことな  んて、できなかったんじゃないの?」 【妹】 「……わからない」 【妹】 「わからないわよ……」 【兄】 「……」 【妹】 「……。……ねぇ、これって……、  恋、なのかしら……」 【妹】 「それとも、気が置けない相手とエッチする気持ち良さに、溺れてい  るだけなのかしら……」 【妹】 「……麻薬のような背徳感の心地良さに……、感情が、麻痺している  だけなのかしら……」 【兄】 「それ……は……」 【妹】 「……ねぇ。……兄さんは……、  兄さんは、どっち……なの?」 【兄】 「へ? どっち……って」 【妹】 「私への恋心で、エッチしてくれた? ……それとも、ホントに……  性欲処理のためだけに……、私を……抱いたの?」 【兄】 「う、ぐ……」 【妹】 「あっ……。ご、ごめんなさい。駄目ね、こんな質問。  どうかしてる。……これじゃ、優しい兄さんには、答えられない」 【兄】 「……」 【妹】 「……すぅ……、はぁぁぁ……。ん、そうね。今の気持ちの整理状態  じゃ、答えなんて期待できないわ」 【妹】 「きっといずれ……、時が解決してくれるはず……」 【妹】 「……もし、そのときになっても、お互いの環境が変わっていないな  ら、そのときは……お互い真剣に、将来のことを考えましょ」 【妹】 「今はまだ……考えるには、幼すぎるわ」 【兄】 「ん……。そうだな」 【妹】 「……あ、そうだ。……はい、これ。兄さんに返すわ」 【兄】 「ん? ……、眼鏡」 【妹】 「ん。そう、私からのクリスマスプレゼント。これは、兄さんが持っ  ていないと」 【兄】 「ははは。そうだな、俺へのプレゼントだもんな」 【妹】 「……あと……、その。兄さんが……良ければ、だけど……」 【兄】 「ん?」 【妹】 「私と……、その……。したくなったら……、その眼鏡を掛けてくれ  れば、いいから……」 【兄】 「へっ」 【妹】 「っ、め、眼鏡を掛けてるときだけはっ、私は、兄さんの彼女だか  らっ! だから、体裁とか気にせず……貪(むさぼ)ってくれて、いいから」 【兄】 「は……ぇ?」 【妹】 「っ、と、取りあえずっ、渡したから! 伝えたから! どうするか  は、兄さん次第。……兄さんに、全部、託す」 【妹】 「私は……、兄さんの決めたことに……従う」 【兄】 「……そうか」 【兄】 「……わかった。受け取っておく」 【妹】 「ぁ……。うん、お願いね」 【妹】 「っ、ん、ん……っ、はぁぁー。それにしても、おかしいわね……」 【兄】 「なにが?」 【妹】 「最初は彼女としてエッチしたかったのに、結局最後には、妹として  の背徳エッチになっちゃったわ」 【兄】 「ぶっ!! い、いきなりなにをっ!?」 【妹】 「……愛だけよりも、やっぱり、愛と背徳が入り混じったほうが、何  倍も気持ちが昂るのねきっと。そうに違いないわ」 【兄】 「冷静に判断してるんじゃねーよ!!」 【妹】 「あははっ! 兄さん顔真っ赤っか! なーに、どうしたの~?  恥ずかしいんでちゅか~? よしよしーっ」 【兄】 「触んじゃねーやい!!」 【妹】 「やーんっ! 兄さんが拗ねたぁー。もー……、くすっ。ココア入れ  なおしてあげるから、機嫌直してねー?」 【兄】 「ココアだけで俺の機嫌を窺おうというおつもりか」 【妹】 「はいはい。すぐ入れてあげるから、そこでお利口して待っててね~」 すたすた 【妹】 「――あっ、そうだ」 くるっ 【妹】 「にーぃーさぁーん」 【兄】 「あー? なーんだー?」 【妹】 「一つだけー、謝っておくことがあるのー」 【兄】 「おー?」 【妹】 「今日が危険日っていうのー、あれー、……くすっ。  うっそだぴょーーーーーーんっ♪」 【兄】 「はああああああっ!!!?!!」 【妹】 「ふふっ♪ だからぁー、私の体のことー、心配しないでねー」 【兄】 「っ、くっそ……。ったくあの女郎が……」 【妹】 「くすくすっ」 【妹】 「だから……、ずっと。……これからも宜しくね。兄さん……」 END

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