2章-1 耳舐めの女神さま
〈序奏BGM〉
むかし物語、「耳舐めの女神さま」
むか~しむか~し、ある小さな村のはずれに、一人の若者が暮らし
ていました。
若者の名前は、バブーといいます。
バブーは優しくまじめでしたが、とても貧しかったので、いまにも
やさまず
崩れそうなボロ家に住んでいました。
けれどそんなバブーが毎日欠かさずにしていることがあります。
裏山の山道にひっそりと佇んでいた、ゆえも知れぬ古びたお地蔵
様を尊び、自ら口にするはずの麦の半分を残しては、お供え物を
していたのです。
誰から言われたわけでもありません。
雨の日も風の日も、夏の日も冬の日も、くり返しくり返しずっと、
それを続けていたのです。
ある晩のことです――。
バブーの住むボロ屋の玄関を、ドンドンと激しく叩く音が聞こえま
した。
〈ドンドン〉
こんな夜更けに騒がしくする者は、まともな人間であるはずがあり
ません。
バブーは粗末な布団を頭までかぶり、気づかないふりをしました。
すると…。
「わしじゃ、地蔵じゃ。ここを開けるのじゃ」と、あのお地蔵様を
あ
名乗る若い女子の声が、はっきりと聞こえるではありませんか。
びっくりして飛び起きたバブーは半信半疑、おそるおそる戸を開く
と、そこには今まで見たこともないような、とても美しい女子が立
っていたのです。
「ふむ、相変わらずふぬけた面をしておるのう」
言葉づかいは少しヘンでしたが、バブーは一目惚れをしてしまいま
した。
「わしは耳舐め菩薩じゃ。長い間あの場所におったが、おぬしの
ことを幸せにしとうなった。今日からここに住まわせてもらう
ぞ?」
なんとバブーが毎日手を合わせていたあのお地蔵様は、その耳を舐
めた者に幸をもたらし、富を運ぶという、「耳舐めの女神さま」だ
ったのです。
さっそくその日の晩からバブーは、ぺろりぬるりと、耳を舐められ
ました。
〈右耳を舐めます〉
ペロ~リ、ペロペロ、ペロ~リ、ペロペロ…。
「耳舐めはよいものじゃ。どれ、こちら側もしてやろう」
〈左耳を舐めます〉
ペロ~リ、ペロペロ、ペロ~リ、ペロペロ…。
どれくらい舐められていたのか分かりません。
女神の手はバブーの乳首や下半身にも伸び、色々なところを気持ち
よくしてくれました。
バブーはあまりの夢見心地にウットリとし、いつのまにか眠ってし
まったのです。