プロローグと導入
受付嬢:
ご協力をお願いします!
精液が足りません!
サキュバスがお腹を減らしています!
あなたの精液を必要としています!
あ、待って!
逃げないでくださーい!
なんで?
なんでみんな、逃げていくの?!
ううう…
どうしよう…
このままじゃ…
あの子…
あ、そこのあなた!
あなたです!
あなた!
お願いします!
緊急事態なんです!
あなたの精液を、いただけませんか!
いいですよね!
いいに決まってますよね!
こちらへどうぞ!
階段をおりて、地下へ!
この部屋にお入り下さい!
サキュバス:
あ、もしもし?
おこさま電話相談室ですか?
えーっとぉ
どうすればぁ
精液ってぇ
もらえるんですかぁ?
はい、そうです
精液です
精子、ザーメン、スペルマのことです
え?ワタシですか?
サキュバスのぉ
ヒプルルちゃんでーす!
あれ?
もしもし?
もしもーし?
切れちゃった…
おなか…すいたよぉ…
このままじゃ魔界に…
強制転送だよぉ…
受付嬢:
ほら、連れて来たわよ!
あなたのために、ご同行いただいたわ!
サキュバス:
に、に、に、人間だぁ!
お、お、お、男の人だぁ!
あまねく神よ、感謝します
この食事を祝福してください
われらの心と体を支える糧としてください
受付嬢:
悪魔が神に祈るな!
サキュバス:
この世の全ての男に感謝をこめて
いっただっきまーす!
受付嬢:
ちょ、待ちなさい!
少し落ち着きなさい!
サキュバス:
もう土下座でもなんでもするからぁ!
なんなら全裸でスライディング土下座しよっか?
受付嬢:
悪魔が頭を床にこすりつけない!
悪魔のプライドを簡単に捨てない!
サキュバス:
もう犬でもケルベロスでもブラックドッグでも、なんでもなるからぁ!
わんわんわん!
きゃいんきゃいんきゃいん!
わおん、わおおん、わおおおぉぉぉん!
受付嬢:
悪魔が犬になるとか言わない!
サキュバス:
ちょうだい!
ちょうだい!
ちょーだーい!
精液くれないと、紀元前98000年生まれの、上位悪魔さんを呼んじゃうよ!
受付嬢:
閣下を呼ぼうとしない!
地球が滅んじゃうでしょ!
あ!こら!暴れないの!
サキュバス:
はーなーしーてぇー!
たーべーるーのぉー!
いっただっきまーす!
受付嬢:
完全に正気を失ってる…
こうなったら仕方がないわ
緊急措置よ
すみません、ワタシがこの子を取り押さえていますので、その隙にチュウ、してください
それでだいぶ落ち着きますので
ほら!早く!急いで!
キスです!キス!
もう、ブチューッと、いっちゃってください!
ほーら!さっさとする!
ちゅううううううううう!
サキュバス:
ぷはぁ!
ちょっとだけど、落ち着いたぁ
受付嬢:
ふぅ、やっと正気に戻ったわね
まったくもう、世話の焼ける子
あ、もしかして…
はじめて、でした?
今した、チュウ、ファーストキスだったり、します?
ご、ごめんなさい!
その、緊急事態だったので…
もう少しでこの子、この世界から消えるところだったので…
なんとお詫びしたらよいのやら…
あ、そうだ!
お礼、と言ってはなんですが
気持ちいい体験、していただくのは、いかがでしょうか
この子がお相手しますので
サキュバス:
やったぁ!
ごはーーーん!
ごはんだ、ごっはんーッ!
受付嬢:
あんたは黙ってなさい!
食事ってことがバレちゃうでしょ!
あ、いえ、なんでもありません
こっちの話です、こっちの
そういえば
自己紹介
まだでしたね
申し遅れました
ワタシはこの店の受付、兼、オーナーの、ミサです
この子はサキュバスの
サキュバス:
ヒプルルちゃんでーす!
受付嬢:
当店では、お客様に至福の快楽体感をしていただきます
そしてお相手するのは、サキュバス、です
サキュバスと聞くと、人間男性を誘惑して襲う悪魔、というイメージをされますよね
それは誤解です
サキュバスが人間に危害を加えることは、ありません
むしろ人間を、この上なく気持ちよくしてくれるのです
サキュバス:
あのね!あのね!
ヒプルルちゃんが欲しいのはね、人間の性的エネルギーなの!
性的エネルギーはね、精液にね、たーっくさん含まれてるの!
だからね
あなたの精液
たーっくさんちょうだい!
受付嬢:
この子は本当にもう…
そういう不安をあおるような言い方、しないの
変に誤解されても困りますので、ご説明いたします
サキュバスの糧(かて)、つまり、ごはんですね
それは人間男性の、性的エネルギーです
この性的エネルギーは、エッチな気持ちになればなるほど、増幅します
そして、気持ちよくなればなるほど、性的エネルギーは熟成されて、より濃いものとなります
つまり、最高潮に気持ちいい体験をした男性の性的エネルギーは、サキュバスにとって最上のご馳走なのです
サキュバスはお客様からご馳走をいただくかわりに、お客様に極上の快楽体験をさせてくれるのです
ちなみに性的エネルギーは、射精すると、精液に混じって放出されます
なので、サキュバスは精液を欲しがるのです
男性は射精をすると、賢者タイムが発動しますよね
これは射精によって、性的エネルギーを失った状態なのです
サキュバス:
あ、でもね、射精しなくても、大丈夫だからね
サキュバスはね、人間の体から直接、性的エネルギーを吸い取ることができるの
だからね、ピュッ、ピュッ、ピューッ、って射精すれば、精液から性的エネルギーをいただいちゃうしー
射精しなかったら、あなたの体から直接、性的エネルギーを吸い取っちゃうしー
受付嬢:
サキュバスにとって、射精するかしないかは、それほど重要ではないのです
ダイジなのは、気持ちよくなること
人間はサキュバスによって極上の快楽を与えられ、サキュバスは人間から糧(かて)を得(え)る
まさに共存!
助け合いの心!
困ったときはお互い様!
ということで、ヒプルルのこと、よろしくお願いします
サキュバス:
えへへー、よろしくねー
そうだ、ワタシと気持ちいいことするにはね、お約束があるの
お約束、その1
ワタシの声を聞いて、エッチな気持ちになるとね
あなたはおちんちんを、シコシコ、したくなるかもしれない
そのときは、いいよ、シコシコしても
もちろん、想像するだけでも、いいよ
ワタシの声を聞いているあいだは、あなたの好きなように、してていいからね
気持ちよくなりたい、それだけを考えていれば、いいんだよ
ダイジなのは、気持ちよくなりたいと思う気持ち、だからね
お約束、その2
服は全部、脱ぐこと
あのね、サキュバスの前で服を着てるのはね、とーっても失礼なことなの
だ、か、らぁ、ぜーんぶ脱いじゃってねッ
お約束、その3
寝る体勢になること
仰向けになって、寝ちゃって
サキュバスの前ではね、寝た体勢でいることが、礼儀なんだよ
寝たら、軽く目を閉じて
ワタシからは以上でーす
受付嬢:
それでは、よい快楽を