1. プロローグ
あ、目が覚めたみたいね
ココは我が軍の本拠地の地下に存在する拷問部屋よ
キミは戦闘中に捕まり、捕虜としてここに連れてこられたの・・・
どこか痛む場所はあるかしら?
・・・ん・・・、よし、だいじょうぶみたいね・・・
そう睨まないでよ・・・
キミにとっては敵軍のど真ん中かもしれないけれど、怖いことはしないわよ
自己紹介が遅れたわね、わたしは心理カウンセラーをやっているアギレラといいます
今回はキミのカウンセリングを依頼されて、ココにきました
拷問部屋という名前はついているけれど、必ずしもそういうことをするためにある場所じゃないわ・・・
誰にも邪魔されないっていう意味で使い勝手がいいのよ、怖がらせちゃってごめんね?
どうして殺されなかったのか?
そういう目をしているわね・・・
こっちの国の人たちはね、あなたたちを憂いているのよ・・・
少年兵なんて、非人道的だと言って、救いの手を差し伸べたがっているの・・・
わたしも同じよ・・・キミくらいの歳の子は、普通に学校に通って友達を作り・・・
外で遊んだり、ゲームをしたり・・・
豊かな感受性でたくさんの楽しいことを知るべきだと思ってる
でも、おそらくキミはこう教わったでしょう・・・
奴らは敵だ、我らの生活を脅かそうと侵略してくる・・・
全員で立ち向かわなければならない・・・って
物心ついたときからナイフを握らされ、銃を担がされ・・・
それでも疑念を持たず、わたしたちを敵とみなして殺してきた・・・
初めて人を殺したとき、恐ろしい・・・と思ったでしょう?
血が吹き出て、今まで動いていたものが動かなくなる・・・
それを自分の手でしてしまった恐怖と、自分もいずれこうなるかもしれないという恐怖・・・
たくさんの恐怖に苛まれながら、今の今まで戦ってきた・・・
けれど、その生活も終わり・・・今日からキミは、生まれ変わるの・・・
いいえ、本来あるべき姿に戻る・・・といったほうが正しいかしら?
無垢で喜怒哀楽に満ちた、普通の少年の姿へ・・・
フフッ、わたしにそんな大それたことができるのかはわからないけれど・・・
キミの心に触れることを許してね?