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①(一日目)覗き穴と最愛の妹

----------------------------------------------- ①覗き穴と最愛の妹 ----------------------------------------------- 【リィヤ】 にぃさま……いらっしゃいますか? ……あ、いたいた……ふふっ♪ あ、えっと……特に用事はないんです…… ごめんなさい、何度も何度も呼びつけてしまって…… なんだか落ち着かなくて…… にぃさまのお姿が見えないと、どうしても…… ……ゆるして、くれますか……? ふふっ、にぃさまは本当にお優しいですね…… ……どうして、こんなことになっちゃったのかしら…… 私たちはただ、兄と妹として、一緒に過ごしていただけなのに…… 突然部屋を分けられて……納得、できません…… 寂しくて………さびしくて……… 私たちは、普通の人とは違う身体をもっているから…… お外にもいけず、ずっと……ここにいる…… にぃさま……みんなはね、学校というところに行くみたいなの 同じ年頃の子たちがね、男の子も女の子もなく集まって…… そこで、将来のために勉強するんだって…… なのにどうして、私たちはこんなところで、ずっと…… 私たちは……私たちの将来は、どうなのかな…… 全然わからない……このままずっと、ひとりぼっちなの……? にぃさまだけが、私の遊び相手で……それは、にぃさまも同じで…… リィヤだけが、にぃさまの空白を埋められるのに…… どうして、それすらも許されないの……? お外にはたくさんの人たちがいるはずなのに、出会うことも叶わない…… お父様とお母様は、私たちのためだって言うけれど……私たちの心は?  身体が無事でも、このままだと……心がどうにかなってしまいそうです どうして……人間として生まれたのに、お日様の下を歩けないなんて…… いったいなんのために、私たちは産まれてきたの……? ……ううん、にぃさまに当たってもしょうがないですよね、ごめんなさい…… にぃさまだけが、リィヤのことをわかってくれる…… にぃさまだけが、リィヤの表面のその先を、見てくれる…… 一緒だったから……ずっと……だから、離れたくない…… この穴から見えるにぃさまの姿とお声が、唯一の希望です ……ごめんなさい、暗い話ばかりになってしまって…… 今日はもう寝ますね……にぃさまも、お休みになられますか? そうですか……あっ、にぃさま…… 寝る前に、穴はちゃんと隠しておいてくださいね? もしこれが見つかったら……もし塞がれてしまったら…… もしも、にぃさまと完全に、引き離されてしまったら…… リィヤの心はもう、砕けてしまいそうですから…… だからどうか、守ってください……リィヤも守ります にぃさま、お手を………あぁ、温かい……… いつまでもこうしていたいくらい……あたたかいです……… ん……ありがとうございます ふふっ、今夜は良い夢が見れそうです では……おやすみなさい、にぃさま……

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