プロローグ ある日の放課後
あははははっそうなんだ~♪うん、うん。あ・・・ごめんね~・・・今日はこのまま家にまっすぐ帰りたいんだ~。
・・・!?ち、違うって!兄さんは関係ないってばぁっ!
た、確かに、今日の兄さんは試験で帰る時間早いみたいだけど・・・。で、でもそれとは全然関係ないのっ!もうっ!
・・・うん、うん、ホントごめんね!今度埋め合わせするから!
うふふっ、うん♪また明日ね~!ばいば~い!
・・・ひゃあっ!お、おにいちゃ・・・!?じゃなくて・・・兄さん!?こ、こんな所でどうしたの?うん、うん・・・。ええっ!?
・・・ぅ~・・・。だ、ダメっ!きょ、今日は一緒に帰れないから。
・・・あっ、そのイヤって訳じゃ無くて・・・えっと・・・その、そうっ、用事があるの、用事が!
だ、だから・・・ゴメンね!兄さん、ま、また後でね!バイバイ!
はぁ~・・・。またやっちゃった・・・。どうして素直になれないかな~・・・私。
素直に一緒に帰ったら絶対楽しかったのに、どーしてあるはずもない用事とか言い出しちゃうんだろ・・・。
で、でも、一緒に帰ってるところ友達に見られたら後で絶対からかわれるし・・・。
・・・ぅ~・・・兄さんと一緒にいるときの私ってそんなに顔ゆるゆるなのかなぁ。
あ~あ~・・・早く帰って兄さんとお話しようと思ってたんだけどなぁ・・・。
まさか学校でいきなり兄さんと会っちゃうなんて想定外だよ~・・・。
せめて途中でバッタリ・・・とかだったらなぁ・・・喜んで一緒に帰ったのに・・・。
これで今すぐ帰ったら変だし・・・ちょっとだけ図書室寄ってから帰ろうかな・・・。
・・・私なにやってんだろ・・・はぁ~・・・。
・・・ん?・・・あ、あれ?・・・あそこにいるの兄さんだよね?先に帰ったはずなのにどうしてあんなところにいるんだろ・・・。
それにあの娘・・・なんかもじもじしてるような・・・。
・・・こ、この雰囲気ひょっとして・・・。・・・!?
兄さん・・・もしかして、こっ告白されてる・・・!?うそ・・・しかもあんなに可愛い子にされてるなんて・・・。
や、やだっ・・・!
はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・。はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。
お、思わず走って逃げてきちゃった・・・。
どうしよう・・・!!に、兄さん取られちゃう・・・!ど、どうしよう・・・!
・・・はぁ・・・。私・・・何言ってるんだろ・・・。取られちゃうも何もないよ・・・。私と兄さんは・・・兄妹なんだから・・・。
兄さんが他の女の子と付き合うのなんて・・・当たり前・・・なのに・・・。
帰ったら・・・聞いてみようかな。でも『彼女ができた』って言われたとき、私どんな顔をすればいいんだろう・・・。
・・・ちゃんと笑って『おめでとう』って言えるかな。・・・ううん、ちゃんと言わなくちゃ。
私は妹なんだから・・・。兄さんの幸せはちゃんと笑ってお祝いしないとダメだよね。
それに、これは・・・兄さんのことを諦めるいい機会なのかも・・・。兄さん・・・。
兄さんに・・・。お兄ちゃんに、好きって言う前に・・・終わっちゃうのかな・・・。
お兄ちゃん・・・大好き・・・。