雨のち…
【雨未】
は、ぁ……っ……ちょっと、疲れちゃった……っ
いっぱい、動いたから……ん、ふ、ぅ……っ
でも………楽しかった………ふふっ♪
たのしいって、すごいことだよね……
ひとりじゃ、感じられない……わたしは……
あなたとだから、たのしいの……一緒に、いるから……
ん………顔色、すごくよくなった………もう、だいじょぶだね………
…………………
…………………………………
わたし……わたし、ね……じぶんが誰だか……ほんとは、わからないの……
気づいたら……あなたを、助けてた……
それまでの記憶、ない……なにも、ない……
自分が、わからないの……ほんとうに、人間なのかすら、も……
形は、してるけど……言葉も、しゃべれる、けど……
名前も……自分で、適当につけたの……
でも……なんでこんな名前にしたのかも、わかんない……
なにも、ないから……わからないの……
わからなくて、こわい……
でも……でもね……?
楽しいとか、嬉しいとかは、わかった……
あなたと触れ合って……言葉を、かわして……
カラダを、かさねて……ココロを、通わせて……
とっても………あったかかった………
いろんなところが………あったかかったの………
……ね……今してたことって……命を宿すための行為……だよね?
なんとなく……なんとなく、そんな気がしてる……
だって……あんなに、生命力に溢れて……
頑張らないとでない、特別な液体を……カラダの奥に、そそがれて……
特別な行為なんだってことは、理解、できた……なんとなく、だけどね……
わたしの……赤ちゃん、ほしいって、思ってくれたの……?
だから、あんなに……だして、くれたの……?
……ううん、ごめん……やっぱり、聞きたくない……
きいても……たぶんわたしは、どんな顔すればいいのか、わかんないから……
でも………うれしかった………すごく、喜んでたから………そとでも、なかでも……ふふっ♪
……証を、のこしてくれたんだね……
ここにいたっていう、証を……
ありがとう……カラダ、重ねてくれて……
ココロも、かさねて、くれて……
たくさん、つたわった……つたわったから……
あなたの、そんざいも……つよく、つよく……
わたしは、よわい……それでも……あなたの中で、生き続けたいと、想う……
だから、おぼえていて……あなただけは、おぼえていて……
ここにいた………わたしはちゃんと、ここに、いたから………
だれも知らなくても………だれにも名前、呼んでもらえなくても………
あなたの記憶の中に……ココロの中に、わたしの居場所があるのなら、それでいい………
今日のことは、長い人生の、ほんの一瞬のできごと……かもしれない……
いつかは、薄れていくのかもしれない、けど………
わすれないで……ながく、ながく……
少しでも長く、いっしょに、いたいから………
だから……いきて……いきてて、ほしい………
しあわせに、なって……長生き、して………
ん……わがままばかりで、ごめんなさい……
あなたにしか、言えない、ことだから……
わたしには、できないこと……
でも、あなたは……きっと、だいじょぶ……
もし……もしね……どこかでまた、会えることが、あれば………
その時は、わたしを………お嫁さんにしてね………あったかい、あなた………
END