パート1
……ごくりっ……。
……ひっ! な、何で、人が? ……誰も、居なかったはずなのに……。
……えっ? いや、別に何も隠してなんか……ない、です……。……今、本を隠しただろう、って……ええと……その……。
……私が今、よ、読んでいた本、ですか? その、何でもないです……ただの小説です……。そんな……熱心になんて……。
って、あなたは私がここで、本を読んでいる所を……いつも見ていた、んですか……あぅぅ……。
ええと……そのっ、だから、これはただの小説で……あっ! ちょっと、だめ……取らないでっ!
あぁぁっ……あぅっ……その、これはですね……あの……偶然拾った物で、その……私の物ではなくて、ですね……ええと……。
……えっ? ……学校中に、私がこの本を読んでいた事を、バラ、す?……うぅ……それは……だめ、です……こまり、ます……。
……っ! 椎名咲百合(しいな さゆり)って……な、何で! 何で……あなたは私の名前知ってるん、ですか……?
へっ? あぁぁ……貸出カード……。……うぅ、そ、その……あの……この事を黙っていてもらうには、私は、その……何かしたら……その……どう、したらいいんでしょうか?
うぅ……このエッチな本の内容を声に出して朗読、ですか……。そ、そんなこと……で、出来る訳ない、じゃないですか……。
あぅぅ……だめ、だめですぅ……バラすのだけは、本当にだめなんですぅ……。
んくっ……あの……ほ、本当に、声に出して読んだら、その……わ、私が……ここでエッチな本読んでた事、バラすの止めて、もらえますか?