あかなめ少女の食欲耳かき
どうしよう、掃除されちゃう・・・捨てられちゃう・・・
一ヶ月分の溜まりに溜まった耳垢・・・ああっ!
その耳かき待ってください!
あ・・・えーっと、はじめまして。
120年ほど前からこのおうちの天井裏に居候しています・・・あかなめです。
はい、垢を舐めると書いて「あかなめ」。
人の垢を食べて生きる妖怪です。
ずっとお風呂をこっそりペロペロさせてもらっていたのですが・・・
先月、リフォームされちゃいましたよね?
ええ・・・すごく新しく綺麗になって・・・
それから全然汚れなくなってしまって・・・お腹が空いてもう・・・。
お願いします!
あなたの耳の垢・・・私にください。
タダでとは言いません。
体でお支払い・・・その、お耳かきさせていただきますからっ!
今このおうちに妖怪が見える人間はあなたしかいないんです・・・
あなただけが頼りなんですよぉ・・・。
ありがとうございます、ありがとうございます!これで生きていけますよぉ!
それでは早速・・・はい、私のヒザに頭を乗せてください。
これがお耳かきの作法だって知っています。
あなたが小さい頃お母様にしてもらっているのを見ていましたし、
テレビでも「ひざまくら耳かき」のお店が大人気って言ってました。
さあ恥ずかしがらずに・・・どうぞ♪
≪右耳みみかき≫
・・・じゅるり。
ごめんなさい・・・あまりに美味しそうでよだれが・・・。
で、では!こちらの耳かきでやらせてもらいます。
(ゆっくり、独り言のように)ん、んぅ・・・んっんっ・・・こうかな?
お耳の穴に差し入れて・・・優しくかき出して・・・んっ・・・くぅ・・・。
わぁ、白くてポソポソしたものがこんなに♪
・・・どうしよう私、お皿を用意してませんでした。
あ、ありがとうございます。
こうやってティッシュの上に乗せておけば大丈夫ですね。
ん・・・カリカリ・・・カリカリっと・・・。
どうですか?
耳かきって初めてしてみたんですけど・・・上手くできてますでしょうか?
・・・えへへ、嬉しいです。
っしょっと・・・カリカリ、カリカリ・・・。
それにしても、これ・・・耳かき棒ってすごい発明ですよね。
私の舌でも届かないような奥までしっかり届いて
耳垢をかき出すなんて・・・このおさじには敬服しちゃいます。
んっ・・・ん・・・こしょこしょ・・・。
ふぅ・・・ん、ん・・・。
はぁ、粉チーズみたいな耳垢がたーくさん・・・
これを食べるのが待ち遠しくって仕方が無いんです。
口に入れると芳醇な香りが溢れ出すんですよ♪
ちょっとパサついた所を唾液と混ぜるたびに風味が増して・・・じゅるり♪
はぁはぁ・・・ごめんなさい。
つい興奮してしまって手が止まってしまっていました・・・。
次はもうちょっと奥を
こしょこしょ・・・くっ、ふ・・・こしょこしょ・・・。
壁にこびり付いているのを丁寧に剥ぎ取って・・・
んっんっ、カリカリ・・・んぅ・・・はぁっ。
入り口の近くと奥では耳垢の質が少し違うみたいです。
ふぅ、ん・・・かきかきー・・・ん、ん・・・。
味も違うんでしょうか?
食べ比べまでできちゃうなんて・・・耳垢、恐るべし。
きっと私、食べながら感動して
同じくらい耳垢を知らずにいたことを後悔するんでしょうね。
うん、んっ・・・カリカリ・・・カリカリ・・・
耳かきを回して・・・くりくり・・・ん、ん・・・っ。
ゆっくり・・・おさじに乗せて・・・くぅ・・・ふはぁ・・・
んぅ・・・もう少し・・・。
・・・よし、取れました。
中は綺麗になっちゃいましたね。
・・・あ、この軟骨のところ、隙間に垢が溜まってる。
こちらもかき出しますね・・・
ん、ふぅ・・・んんっ・・・くりくり・・・。
きゃっ・・・こ、これ、黄色くてドロっとねばっとしていて・・・蜂蜜みたいな・・・。
うぅ、じゅる・・・これはデザートにいただきたいです♪
もっと・・・くりくり・・・ふぅ、くりくり・・・。
もしかしたら耳垢でフルコースを作れるかもしれません・・・!
・・・はい、ここも綺麗になっちゃいました。
最後にお耳の裏をかかせてもらいます。
すーっと・・・んっ・・・くりくり・・・ふぅ・・・。
できました♪
ここはいつも食べていた垢の雰囲気に近いです。
ふふっ、久しぶりだから楽しみです・・・♪
あっ・・・あの、すみません・・・じゅるる・・・
我慢できませんっ、少しだけ味見を・・・
お耳、なめさせてくらはい・・・れるっ・・・
はむっ・・・ちゅる、れろぉ・・ちゅぱ、ちゅぷ・・・
ふぅ・・・おいひぃ・・・んぢゅるる・・・りゅぷぷ・・・。
ぷはぁ・・・ありがとうございましたぁ♪
では、反対側もお耳かきしますので向きを変えてください。
≪左耳みみかき≫
こちらもたっぷり耳垢が溜まっていますね。
えへへ、見ているだけで幸せになってしまいます♪
それでは・・・お耳の穴に挿し入れます。
ん、ん・・・こっちの方が少し湿っぽいかな?
右と左で結構違うものなんですね・・・興味深いです。
ふぅ・・・んっ、んふ・・・かりかり・・・。
あ、でも・・・進む程かたまりが増えて・・・
ん、ん、ふぅ・・・黄色く透き通って・・・ん、く・・・
食べたいけどもったいないような・・・えへへ、こんな気持ち初めてです♪
はぁ・・・んっんぅ・・・はふ、かりかり・・・。
これは今食べずに取っておいて・・・うん、そうだ!おやつの飴にしましょう!
あれ、これは・・・奥に大きいのが・・・!
ん、くっ・・・もう少し・・・もう少しで届きそう・・・
ふぅ・・・はぁ・・・んぅ~・・・んんっ!
やった、取れましたぁ♪
茶色くってしっとりしてて・・・じゅるり・・・
まるでグラタンの端っこ・・・香ばしく焼けたチーズ♪
きっと濃厚におくちの中でとろけちゃうんです・・・はふぅ。
決めました!
この耳垢を私のコースのメインディッシュにします。
えへへ・・・続きしますね。
んっ、ん・・・ふぅ、丁寧にぐるーっと・・・ん、んぅ・・・
あそこまでこってりしてそうなのはなかなかないですね・・・。
でも・・・んっ、ふ・・・いいんです。
どの耳垢もそれぞれ美味しそうですから♪
もう綺麗になっちゃいましたぁ・・・。
耳かきしているとあなたも気持ち良さそうにしてくれるから
とても楽しかったのに・・・ちょっと残念です。
軟骨の所、やりますね。
耳かきを横に向けて・・・ん・・・くりくりって・・・んぅ・・・。
やっぱり蜂蜜・・・それもビンのふちで固まっちゃった蜂蜜みたいな・・・♪
本当に・・・んぅ、んっ・・・耳垢というのは・・・ふ、は・・・
無限の可能性を秘めているんですね・・・。
お耳の裏・・・あ、白く固まってる・・・♪
ん、んっ・・・かきかき・・・んぅ・・・
丁寧に、形を崩さないように・・・はじから剥がして・・・
えへへ、はぁい。上手く取れました。
あの、こっち側も・・・味見してもいいですか?
はぁい・・・んぷっ・・・ちゅぷ、れろぉ・・・れる、れるぅ・・・
はぷ、んっ・・・りゅぷぷ・・・れぅう・・・。
・・・ふはぁ、こっちもいい味してます♪
名残惜しいですが・・・耳かき終わりです。
起き上がって大丈夫ですよ・・・首とか痛くないですか?
すっきり・・・しましたか?
いえいえ!お礼なんていいんですよ。
私がお願いしてさせてもらったんですから!
こんなにたくさんのご馳走を、本当にありがとうございますっ♪
あ、そ、それでは・・・むこう向いて・・・
い・・・いただきまーす♪