2-1.『なんとなくうまくいかないとき』
おかえりなさい♪
いつもお疲れ様♪
ん……今日も、ぎゅー、ってする?
うん♪
ぎゅーーーーーーーーーーーーーっ……♪
今日も……何か、あった?
ううん。別に、なんとなく、そう思っただけだよ。ただ、あなたの顔が、ちょっとだけ暗そうだったから……
……ふふ。お姉ちゃんは、ちゃーんと、あなたのこと見てるからね♪
……あ、話したくないんだったら、もちろん、話さなくてもいいよ。
……そういうわけじゃなくて?
お姉ちゃんに愚痴るほどのことじゃないって?
ふふっ。そんなこと、ないよ? 何か、あなたがとっても疲れちゃうようなことが、あったんでしょう?
別に、嫌なことの大きい小さいなんて、関係ないよ。あなたは確かに傷ついて、嫌な思いをしたんだから。他人は他人、あなたはあなただよ♪
だから……もしよかったら、そんなこと気にしないで、お姉ちゃんに話して欲しいな。
……なんとなく、お仕事が、うまくいってないんだ?
……おっきな原因があるわけじゃなくて……よく分からないのに、お仕事の調子とか、流れがよくないんだね。
……それに……人間関係も、あんまりうまくいってない?
そっかぁ……。それは、難しいね。
え? ……ふふっ。もう……そんな風に言わないで。つまんないことなんかじゃないよ。
あなたが苦しんだことで、辛い思いをしてることなんだから……。
むしろ、原因がよくわからないことのほうが、よっぽどもやもやして、疲れちゃうよね。お姉ちゃん、それって、すっごく辛いことだって思うよ。
だから……話してくれて、ありがとう。お姉ちゃん、嬉しいな。
大変だったね。辛かったね。
……よしよし。よしよし。よーし、よし。
そうだなぁ……。
……お姉ちゃん、アドバイスしても大丈夫? それとも、このままぎゅーってしててあげたほうがいいかな。
……してもいい? うん♪ ありがとう。
ええっとね。お姉ちゃん、あなたのお仕事のこと、あんまり分からないけど……でも、調子とか、流れとかがよくないときって、すっごくよく分かるよ。自分のやることが全部裏目に出て、だんだんひどいことになっていくんだよね。
そういうときはね。“仕方ないよね”って割り切ることが、一番だよ。
変に抵抗しようとするとね。逆に、嫌な流れに飲まれちゃって、また、複雑になっちゃったりするから。
だから、気にしないのが一番だよ♪ 必要最低限のことだけして、あとはぜーんぶ、気にしないの。
そうすれば、そのうち、きっと流れが変わっていくから♪
あなたはとっても真面目だから、難しいかもしれないけど……そう考えると、気が楽になると思うよ。
いつも、お姉ちゃんにぎゅーってされてるときみたいに……面倒なことは何も考えずにいるといいよ♪
あ……それとも、お仕事をぜーんぶ放り出して、本物のお姉ちゃんの胸の中にずーっといるのも、オススメだよ♪
それはやめておく? ……ふふっ♪ 本当に真面目さんだね♪ カッコいいよ♪
それから……人間関係が上手くいってないんだよね。なんとなく、馴染めない人がいるって感じ?
うん。それも多分、さっき言ったことと同じだと思う。
あなたが、合わないなって思った人と……無理に合わせる必要は、ないんじゃないかな。
結局それって、理屈じゃなくて、本能的なことだから……難しいなって思ったら、それ以上頑張って合わせる必要はないと思うよ。
これも、“仕方ないこと”だって、お姉ちゃん思うな。
お仕事の付き合いだから、ぜーんぶ合わせないのは難しいと思うけど……でも、これも、必要最低限のことだけ合わせて、あとは割り切って、気にしない! これがいいと思うな。
それにね。お姉ちゃん、思うんだけど……まったくあなたと合わない人、っていうのは、ある意味で貴重かもしれないよ? ひょっとしたらその人は、あなたと全然違うやり方でお仕事をやってて、参考になるかも。あなたと同じ状況に出会って、全然別の見方をするのかも。
“いいところだけ参考にする人”だって思えば……少しは割り切りやすくなるんじゃないかな?
……ということを、お姉ちゃん、思ったんだけど……。参考に、なった?
……うん♪ ふふっ、どういたしまして♪
たまには、お姉ちゃんっぽいことができて、よかったぁ♪
……ううん。偉いのは、あなたのほうだよ。
いっぱい辛い思いをしてるのに……お姉ちゃんの言うこと、ちゃんと聞いてくれてるなんて……。
……ふふっ♪ お礼なんて要らないよ♪ だって……あなたに頼ってもらえる、っていうのは、お姉ちゃんにとって、すっごく嬉しいことなんだから。
こんな、簡単なアドバイスでよければ、いつでもしてあげるからね。
……あ、だけどね。最後に一つだけ。
もし、お仕事が何もかも嫌になって、もうどうしようもなくなったら……
いつでも逃げ出して、お姉ちゃんのところに帰ってきてもいいからね♪
それだけは、覚えておいて♪
お姉ちゃん、ぎゅーって抱きしめてあげるから♪ ふふっ♪