Track 3

2-1.『なんとなくうまくいかないとき』

おかえりなさい♪  いつもお疲れ様♪  ん……今日も、ぎゅー、ってする?  うん♪  ぎゅーーーーーーーーーーーーーっ……♪  今日も……何か、あった?  ううん。別に、なんとなく、そう思っただけだよ。ただ、あなたの顔が、ちょっとだけ暗そうだったから……  ……ふふ。お姉ちゃんは、ちゃーんと、あなたのこと見てるからね♪  ……あ、話したくないんだったら、もちろん、話さなくてもいいよ。  ……そういうわけじゃなくて?  お姉ちゃんに愚痴るほどのことじゃないって?  ふふっ。そんなこと、ないよ? 何か、あなたがとっても疲れちゃうようなことが、あったんでしょう?  別に、嫌なことの大きい小さいなんて、関係ないよ。あなたは確かに傷ついて、嫌な思いをしたんだから。他人は他人、あなたはあなただよ♪  だから……もしよかったら、そんなこと気にしないで、お姉ちゃんに話して欲しいな。  ……なんとなく、お仕事が、うまくいってないんだ?  ……おっきな原因があるわけじゃなくて……よく分からないのに、お仕事の調子とか、流れがよくないんだね。  ……それに……人間関係も、あんまりうまくいってない?  そっかぁ……。それは、難しいね。  え? ……ふふっ。もう……そんな風に言わないで。つまんないことなんかじゃないよ。  あなたが苦しんだことで、辛い思いをしてることなんだから……。  むしろ、原因がよくわからないことのほうが、よっぽどもやもやして、疲れちゃうよね。お姉ちゃん、それって、すっごく辛いことだって思うよ。  だから……話してくれて、ありがとう。お姉ちゃん、嬉しいな。  大変だったね。辛かったね。  ……よしよし。よしよし。よーし、よし。  そうだなぁ……。  ……お姉ちゃん、アドバイスしても大丈夫? それとも、このままぎゅーってしててあげたほうがいいかな。  ……してもいい? うん♪ ありがとう。  ええっとね。お姉ちゃん、あなたのお仕事のこと、あんまり分からないけど……でも、調子とか、流れとかがよくないときって、すっごくよく分かるよ。自分のやることが全部裏目に出て、だんだんひどいことになっていくんだよね。  そういうときはね。“仕方ないよね”って割り切ることが、一番だよ。  変に抵抗しようとするとね。逆に、嫌な流れに飲まれちゃって、また、複雑になっちゃったりするから。  だから、気にしないのが一番だよ♪ 必要最低限のことだけして、あとはぜーんぶ、気にしないの。  そうすれば、そのうち、きっと流れが変わっていくから♪  あなたはとっても真面目だから、難しいかもしれないけど……そう考えると、気が楽になると思うよ。  いつも、お姉ちゃんにぎゅーってされてるときみたいに……面倒なことは何も考えずにいるといいよ♪  あ……それとも、お仕事をぜーんぶ放り出して、本物のお姉ちゃんの胸の中にずーっといるのも、オススメだよ♪  それはやめておく? ……ふふっ♪ 本当に真面目さんだね♪ カッコいいよ♪  それから……人間関係が上手くいってないんだよね。なんとなく、馴染めない人がいるって感じ?  うん。それも多分、さっき言ったことと同じだと思う。  あなたが、合わないなって思った人と……無理に合わせる必要は、ないんじゃないかな。  結局それって、理屈じゃなくて、本能的なことだから……難しいなって思ったら、それ以上頑張って合わせる必要はないと思うよ。  これも、“仕方ないこと”だって、お姉ちゃん思うな。  お仕事の付き合いだから、ぜーんぶ合わせないのは難しいと思うけど……でも、これも、必要最低限のことだけ合わせて、あとは割り切って、気にしない! これがいいと思うな。  それにね。お姉ちゃん、思うんだけど……まったくあなたと合わない人、っていうのは、ある意味で貴重かもしれないよ? ひょっとしたらその人は、あなたと全然違うやり方でお仕事をやってて、参考になるかも。あなたと同じ状況に出会って、全然別の見方をするのかも。 “いいところだけ参考にする人”だって思えば……少しは割り切りやすくなるんじゃないかな?  ……ということを、お姉ちゃん、思ったんだけど……。参考に、なった?  ……うん♪ ふふっ、どういたしまして♪  たまには、お姉ちゃんっぽいことができて、よかったぁ♪  ……ううん。偉いのは、あなたのほうだよ。  いっぱい辛い思いをしてるのに……お姉ちゃんの言うこと、ちゃんと聞いてくれてるなんて……。  ……ふふっ♪ お礼なんて要らないよ♪ だって……あなたに頼ってもらえる、っていうのは、お姉ちゃんにとって、すっごく嬉しいことなんだから。  こんな、簡単なアドバイスでよければ、いつでもしてあげるからね。  ……あ、だけどね。最後に一つだけ。  もし、お仕事が何もかも嫌になって、もうどうしようもなくなったら……  いつでも逃げ出して、お姉ちゃんのところに帰ってきてもいいからね♪  それだけは、覚えておいて♪  お姉ちゃん、ぎゅーって抱きしめてあげるから♪ ふふっ♪