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ふわぁあ~~……あっふ、むにゅむにゅ……んん?
あれー?
なんで兄貴たちがうちにいるの?
んむんむ……んん?
あぁそっか、夏休みだっけ……ふわぁ~、そうかぁ~。
世間様はお休みかぁ……社会人も夏休み、もちろん学生も夏休み~。
あぁいいなぁ。
あたしもたまには休みたいわ……んぁ?
あたしが起きるのはいつもこの時間ですけどー……はぁ?
まだ漫画家なんてやってますよ、はいはい、すみませんねー。
世間一般の社会人様はお偉いですよねー。
ちゃーんと朝起きて、夜寝て……漫画家は昼まで寝てていいご身分でしょーって。
明け方まで仕事してたんですけどねー。
せっかく今日は夕方まで寝てようと思ってたのに、なんかうるさいと思ったら……こんなコトなら、仕事場の方で寝てれば良かったわ。
ふわぁ~。
あぁ、いいのいいの。
お義姉さんは気にしないで?
兄貴の堅物っぷりは死んでも治らないからさ。
今に始まったことじゃないし、気にしてないから。
お義姉さんはゆっくりしていって。
旦那の実家に帰省するなんて面倒くさいでしょ。
でもま、気楽に過ごしてよ。
あたしはあんま家にいないから、何のおもてなしもできませんけどね~。
その分、兄貴をこき使えばいいよ。
ん……あれ?
そういえば、息子いなかったっけ……おぉ、いたいた。
よっ、久しぶり……おや。
あたしのこと忘れてる?
たはは、そういやこの前の正月も会わなかったっけ……え?
おぉ、覚えててくれた?
そりゃありがとさん……おっと。
正月会わなかったからって、夏休みにお年玉を寄越せとか言わないでよね~……ん?
……言わないけど?
けど……何よ?
はぁ、そだね。
漫画描いてるよ?
おや、甥っ子君は漫画好きかね!
なははっ、そうかそうか、兄貴の子にしてはいい感性してるわ!
あれ、でも前はそんなこと言わなかったよね?
最近になって、気に入った漫画でもあった?
……ほう、そっかそっか。
なるほど、そりゃそうよね。
今どきの子はみんなソシャゲだのカードゲームだの、そのメディアミックスだのと。
目に付くものはいっぱいあるもんねぇ……お義姉さんもお金かかって大変だ。
……はぁ?
兄貴は黙っててくんない?
それとも何、子供の好奇心の芽を潰して、悦に浸ろうっての?
あぁはいはい。
口が悪くて悪ぅございましたー……え?
オバちゃんの漫画?
う、うーん。
男の子が見る系とはちょっと違うんだけどねぇ。
でもま、それも経験かな……ムフフフフフ♪
それに、結構あたし好みの美少年に育ってきたじゃないの。
最近の子は足長いわよね~、顔も小っちゃくて、まるで女の子みたい……これは将来、クール系美少年になるかな、声優は。
……って、三次元に声優当ててどうするあたしっ。
あかんわー、3Dにあんま興味ないからな、あたし。
なんて言うんですか?
あたしの彼氏は次元が違うっていうか……ははは。
ん?
あぁ、ゴメンゴメン。
ちょっと妄想の世界行ってたわ。
……あぁうん、いいよ。
オバちゃんの仕事場見せてあげる。
……いいわよねぇ、兄貴?
ふふん、お父さんの了解も出たわ。
お義姉さんもいいですよね?
あぁいいのいいの。
今朝入稿したばっかだから……えっと、つまり一仕事終えたところだから、ちょっと余裕あるし。
今後のために英気を養わないとだし。
仕事場は、近くのマンション借りてるんで。
迷ったりはしないと思うけど、行き帰りは一緒にしますから……はいはいっと。
それじゃ、朝ご飯……じゃないか、もう昼過ぎてるもんね。
オバちゃんがお昼食べたら一緒に行こうか。
それまで、テキトーに時間潰しておいてね……あぁ、暑いからシャワーも浴びとこっと。
ん……一緒に浴びる?
なはははは、冗談冗談っ。
なーんて、冗談じゃなくてもいいんだけどねぇ、ムフフフ……
ふーむ。
興味がないワケでもなさそうねぇ。
もう、そういうお年頃ってコトか。
これは楽しいことがありそう。
三次元に興味なかったけど、手の届かないアイドルとかじゃなくって、目の前に美少年がいるとなれば話は別よねぇ。
今後の仕事の参考になるような話を、たっぷりと聞かせてもらおうっと♪