Track 3

シャンプーヘアブロー (標準語台本)

【遥】お兄ちゃん、ちゃんとタオル結べた? えー、ほんとに? じゃあ、準備できたってことでいいね お風呂場の中に、入っちゃうよ ん、今さらなに恥ずかしがってるの? 昔、一緒にお風呂入ってたじゃん まあ、あの時よりは成長しているけど、うちだってちゃんと隠してるし 別に大丈夫だと思うんだけど…お兄ちゃんの方は、何か問題があったりするとか? だったら、一緒にお風呂に入っても良いよねぇ これも、スキンシップの一環ってわけ …あ、でも…勘違いしないでよ こんなことするのは、お兄ちゃんだけ…だから 扉…開けちゃうね 【遥】…お兄ちゃん? どうして、目を瞑っているの? うちのこと、ちゃんと見てよ ほら…ね? 特別…なんだから …ぷっ、くふふ…! お、お兄ちゃん…そんなに目を丸くして、どうしたの…ふふっ あー、私の恰好…ね 見て分かる通り、T シャツだよ! さっき着替えてきたの。 ぷっ、あはははは! その顔…ふふっ、お兄ちゃん、どんな格好を期待してたの? もしかして、バスタオル一枚…とか? もう、お兄ちゃんのエッチぃ うちの言葉、よぉく思い返してみて うちだって、ちゃんと隠してるし…って言ったでしょ ね、この通り だけど、お兄ちゃんの中では、うちは素肌にバスタオルを巻いただけの、あられもない姿に…! ふふ、もー冗談だって、そんなに拗ねないでよ 別に、からかうためにお風呂場へ呼んだんじゃないよ? お兄ちゃんのこと癒したいって気持ちは、本当だから …さ、後ろ向いて、この椅子に座って これからお兄ちゃんの頭を、うちが洗ってあげる …なんでって、お兄ちゃんの疲れを取って、癒してあげたいから 人から髪の毛を洗われるのって、とっても気持ち良いんだよ 美容室でも、良くあるでしょ? 髪の毛をわしゃわしゃーって洗われると、少し眠くなっ た後…気分がすっきりするの その感覚を、お兄ちゃんにも味わってもらいたいんだ …え、子供っぽいって…もう、往生際が悪いよ お兄ちゃん、せっかくタオル一枚になったんだし…身体、寒くなってるでしょ 今シャワーを浴びたら、身体の芯まで温かくなって、気持ち良い~ ってなると思うけどなぁ ……ふふ、分かってくれたみたいだね なら、そこにある椅子に座って。後ろから、うちが洗ってあげる 【遥】…うん、ありがと …あ、最初に言っておくけど…洗ってあげるのは、頭だけ…だよ 身体とかは…今はその、ダメ…だから、そこは分かってよね …じゃあ、まずは頭を濡らしていくね シャワーの温度は、このくらいでいいかな お兄ちゃんの髪の毛、濡らしていくね …どう? 熱くない? そっか、ちょうどいいんだね 分かってると思うけど、目にお湯が入るかもしれないから、瞼をちゃんと閉じておくこと …ん、よしよし 次は、お待ちかねのシャンプーだよ …別に待ってないって、嘘つき お兄ちゃんの顔、少しにやけてるよ? ……ふふ、なんて、嘘でしたぁ その慌てぶり…本当は期待してたんでしょ 隠さなくても良いって、さっきもお兄ちゃん、うちのマッサージで気持ち良くなってたし 今回のシャンプーも、とっても癒されると思うから…さっそく、しちゃうね まずは、手にシャンプーを出して、お兄ちゃんの頭に…ん ごしごし、ごしごし… ごしごし、ごしごし… このシャンプーは、オレンジの香りがするね ん、しょ…んぅ…はぁ、良い匂い 今度、おんなじシャンプー買っちゃおうかな? そしたら、お兄ちゃんと同じ匂いになれるかも まるで、すぐ側にお兄ちゃんがいるような感じで…ということは、私がお兄ちゃんの側にいるってことにもなるよね こういうの、何て言うんだっけ? 一心同体? 一蓮托生…は違うよね うーん…相思相愛? ふふ、なーんて お兄ちゃん今、びくってしたでしょ ダメだよー、頭洗い辛くなっちゃうから… ん、しょ…ごしごし、ごしごし… わぁ、少し擦っただけなのに、もうこんなに泡立ってきた お兄ちゃんの頭、あわあわしてるね ふふ、んー? どういう意味って、そのまんまだよ 泡だらけになってるって意味、だから、あわあわしてるの …初めて聞いた? そりゃそうだよ、うちが今考えたんだもん お兄ちゃんの髪の毛、あわあわ、泡だらけ~♪ 何だか、楽しくなってきちゃった まさか、お兄ちゃんの髪の毛をわしゃわしゃすることになるなんて…思ってなかったから …あの頃とは、立場が逆なんだね 昔はお兄ちゃんがうちの髪の毛を洗ってくれたけど、今はうちがお兄ちゃんの髪の毛を洗ってる 年下に洗われるのって、不思議な感じ…する? そっか、だよね うちも、お兄ちゃんの髪の毛を洗えるまで、成長したんだよ 小さい頃のままじゃ、ないんだから… ふふ、お兄ちゃん、かゆいところはございませんか? …えー、ないの? ノリ悪いなー じゃあ、右耳の近く…とか ごしごし、ごしごし… ごしごし、ごしごし… 少しくすぐったい? このくらいがちょうど良いんだよ 地肌に爪を立てないで、軽くマッサージするみたいに洗っていくの ごしごし、ごしごし… 今度は、左耳の近くを… ごしごし、ごしごし… ごしごし、ごしごし… 耳の側を洗われると、気持ち良いでしょ 髪の毛を撫でる音が、すぐ近くで聞こえて…ゾクゾク、しちゃうかも ごしごし、ごしごし… これが、うちの指先だよ? 分かる? お兄ちゃんの髪の毛を、優しくなでなでしてるの… ん、はぁ…お兄ちゃんの頭、気持ち良いな… よしよし、良い子良い子ぉ…ふふ、なーんてね ん…名残惜しいけど、そろそろ…流さないと そのまま…目を閉じててね あれだけあったあわあわが、シャワーのお湯で流れていくね ん…ごしごし、ごしごし この泡が流れる瞬間も、好きだな 髪の毛全体が良い匂いに包まれて、綺麗になっていくの ん、しょ…んん… 洗い残しがないよう、丁寧に…ごしごし、ごしごし… あっ…! うぅ…ちょっとお湯が跳ねちゃった やっぱり、うちも濡れても良い恰好するべきだったかも …んー? 例えばって…水着とか、体操着とか…お兄ちゃんみたいに、タオル一枚はないでしょ もー、なんか…今ヘンな想像した? そういうのはダメだよ お兄ちゃんは、自分の洗われてる髪の毛を意識して うちの小さな手の感触、頭皮を撫でる指の力加減… その全部が、お兄ちゃんを癒すんだから… ん…はぁ、んん、しょ…ふぅ 頭だけじゃなくて、身体もあったかいでしょ はぁ…うちも、シャワー浴びたくなってきちゃった ねえ、お兄ちゃん…今度は、お兄ちゃんがうちのこと、洗ってくれる? …ど、どこって…そんなの髪の毛に決まってるじゃん! もぉ、ヘンな勘違いしないでよっ、エッチぃ… …え、さっきの仕返しって…う、知ってたし…お兄ちゃんの馬鹿 むぅ…ほら、じっとしてて…もう少しで、洗い終わるから ん、はぁ…んぅ… ほんとは、もっと洗っていたいけど… はい、これでお終い タオルで、頭拭いてあげるね ん、しょ…わしゃわしゃ~、ふふっ 目の前、タオルで真っ暗でしょ 何だか、悪戯してるみたい…あ、もちろんふざけてはいないよ 水気を染み込ませるように、軽く頭を叩いて…ん、しょ… こんな感じかな…どう? 気持ち良かった? ふふ、ありがと あ、でも…まだ終わってないからね 髪の毛、ちゃんと乾かさないと もちろん、ヘアブローもうちがしてあげるけど…その前に、着替えてほしいかな だって…その、お兄ちゃん、ほとんど裸みたいなものだし…タオルも、濡れてるでしょ? うちは、洗面所の外で待ってるから、着替えが終わったら呼んでね …もう、良い? ちゃんと着替えた? なら、そっちに行くね 【遥】うん、着替えてるね、良く出来ました、ふふっ 次は、ドライヤーで髪を乾かしていくね …ん? お兄ちゃん、ちらちらうちのこと見て…どうしたの? うちの顔に、何かついてる? …そうじゃなくて、もっと下の方って…なに言ってるの? そんなところ、別に何もないけど――あっ! 私の服、す、透けて…っ!? うぅ…こっち見ないでっ…今、下着付けてないから……っ もうっ、とにかく…めっちゃ恥ずかしいからっ、うちだって年頃だし… こっち見たら、めっ、だからね …うん、分かれば良いよ じゃあ、髪…乾かしてくね …あ、もうけっこう、乾いてるね お兄ちゃんの髪、サラサラしてるから…乾きやすいのかな? え、この髪質が普通なんて…そんなわけないじゃん 羨ましいなぁ…髪の毛直毛だし、うちはヘアアイロンとか使ってるんだよん…はぁ さっきよりも、お兄ちゃんの頭、撫でてる感じ…かも もうほとんど濡れてないし、なんか…こういうの、良いね 上手くは言えないんだけど…そんな気が、する 二人だけの時間が、ゆっくり流れているような感じ あ…シャンプーの香り…する でも、それだけじゃなくて…すんすん、ドライヤーの風に乗って、お兄ちゃんの匂いも… ……はっ、うち、めっちゃ恥ずかしいこと言ってたかも …もしかして、聞こえてた? うぅ、そこは流してよ~ 別に、匂いフェチとかじゃなくて… お兄ちゃんの匂いが落ち着くっていうか…もう、変態じゃないし ぜんぶお兄ちゃんの匂いが悪いんだ~、ふふっ あの、さ…うち、お兄ちゃんの役に、立ててるかな? だよね、うちも子供じゃないんだし、このくらい簡単だよ これからは、お兄ちゃんのこと、支えられるようになりたいし …あー、でもそういうのって、寂しかったりする? それとも、嬉しかったり? 良く分からない、かぁ… うん、でも…うちは… 自分の気持ち、分かってきたかも …んーん、何でもない 今はまだ、ね… …よし、こんな感じかな…うん、ちゃんと乾いてる お兄ちゃん、うちのシャンプーとヘアブロー、どうだった? 癒されてくれたみたい、だね でも、そう簡単には終わらないよ 次は、ゆっくり横になってもらおうかな お兄ちゃん、少し眠くなってるみたいだし また、リビングに戻ろっか 叔父さんたち、まだ帰ってこないと思うし …うちの特製膝枕で、お兄ちゃんを甘えさせてあげる