元の世界へ
「ほら、立たせてあげる。前みたいに、キミが前、私が後ろ。」
右手を伸ばして。右手がスライムのように、柔らかくなる。
柔らかくなった右手を、縮めて…縮めて…キミの体の中にしまう。
左手を伸ばして、左手がスライムのように、柔らかくなる。
柔らかくなった左手を、縮めて…縮めて…キミの体の中にしまう。
両足を縮めて…縮めて…体を縮めて…縮めて…
キミは、柔らかい一つの物体。スライムみたいに、柔らかいボールになった。
私と混ざり合って、混ざり合って、まるで海に浮かんでいるみたい。
元の体にいらないものは、全部私が吸い取ってあげる。
キミはただ、浮かんでいるだけでいいんだ。ふわふわ、ふわふわ…
もうすぐお別れだね。キミがたくさん気持ちよくなって、僕らもお腹いっぱいになったよ。
キミさえよければ、またここに来るといい。私がまた、案内してあげる。
一緒にキミの世界に戻ろう。
宇宙を思い浮かべて。闇があるだけじゃない。そこには太陽も、月も、地球もある。
地球に行くよ?大丈夫、ゆっくりいくから。
私と手を繋いで、ボールだったキミは、元の体を思い出せるかな?
思い出せなくても大丈夫さ、あと少し、キミのいる場所まで、一緒にいこう。
宇宙、地球、キミの住んでいる場所、今キミがこれを聞いている場所、ほら、ついた。
キミの体に、しっかり送り届けたよ?
手は動くかい?
目はあけられる?
大丈夫そうだね。
名残惜しいけど。一旦お別れ、楽しかったよ。それじゃあまたね。