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兄よ……ひとつ聞きたいのだが、午後から何か予定はあるだろうか。 特にはない? そうか、ならばひとつ報告しておきたいことがあるのだが……少し時間をもらってもいいだろうか。 ありがとう、では昼食の片付けが済んだら……手伝ってくれる? そうか、さすがは私の好きな兄だな。 そういう優しさは愛するに値するぞ。 ならば、この皿を持って行ってくれ……。 あぁ、その皿に付いた油は先にいらない紙で拭ってくれ。 母は毎日そのようにしている。 油を無理に流すと排水溝が詰まったりするそうだし、なによりも汚水は減らした方がいいしな。 ふふ、これでも毎日母の手伝いをしているのだ。 片付けは元より、今日くらいの昼食ならもう私1人でも作れるぞ……美味しかった? そうか、口に合ったのなら何よりだ……さて、と。 ありがとう。やはり兄に手伝ってもらうと早いな。 では、お茶でも淹れよう……ソファに座って待っていてくれ。 いやいい、私がやる。話を聞いてもらう分、それくらいはさせて欲しい。 紅茶で良かったかな……そうか、口に合うといいが。 では、飲んでくれ……それでだな。 昨日の夕方のことなのだが、そうそう、友人に呼び出されて出かけた時のことだ……うむ。 すぐに帰って来たのにはワケがある。 私を呼び出したのは女子だったのだが、用事があったのはその友人の男子でな。 いや、知らない男子だった。隣のクラスと言っていたな……うむ。 単刀直入に言うと、交際を迫られたワケだ。 え、早い? 何が早いのだ? 落ち着け兄よ、お茶がこぼれてしまうぞ。 それでどうしたのかって……もちろん丁重にお断りした。 私は、兄が好きだから他の男子とは交際できません、とな。 あれだろう? 交際というのは男女が愛を囁き合うことを言うのだろう? 私が兄以外の男子に好意を持つはずがなかろう。 え、そう言ったのかって? 兄が好きだからと? 言ったと言ったではないか……うむ、それでな? よくよく考えると、そういうことはあまり言わない方が良かったのではないかと。 一晩考えてみたのだが、とりあえず報告はしておいた方がいいかと思って……私はきっと、余計なことを言ってしまったのだろう、それでもし、少しでも兄に迷惑がかかるとしたら……。 迷惑ではない? そ、そうか。あぁいや、慰めてくれているのだろう、分かっている。 兄は優しいからな……本当に? いや……迷惑かける方じゃなくて、好きと言ったことの方が? なんだ、まさか疑っているのか? 毎日毎日、好きだと言ってた筈だが? 父と母も毎日言い合っているではないか。 まったく同じ意味で好きだと……今日だってもう5回は言ったぞ? それは兄妹としての好き……兄妹としてというのはなんだ? 家族として兄を愛していることなど当たり前のことだろう。 私が言いたいのは、それ以上に男子としての兄が好きだと……。 そうだ。何度でも言えるぞ。私は兄が好きだ。 兄以外の男子にこの言葉を囁く気にはならん。 兄妹だから、家族だからということ以上に、異性として、兄を心から愛しているぞ♪

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