Track 5

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私は生理が終わるのが待ち遠しかった。 経血さえなければ、無事にセックスできるはずだから……けれど改めてセックスのことを学ぶと、初体験では破瓜という出血があるらしいと知る。 電車の中でセックスするとして、痴漢さんのオチンチンを血まみれにするわけにはいかない。 裸になるわけではないのだから、彼のズボンやパンツ、私のパンツにも血がついてしまうだろう。 私は意を決して、自ら処女膜を破ることにした。 破瓜のための道具は最終的に魚肉ソーセージかズッキーニの二択となり、細さと柔らかさで魚肉ソーセージ……ギョニソを選んだ。 ズッキーニの方が痴漢さんのペニスっぽかったけど、最初から大きすぎるのは怖い。 まずはクリトリスオナニーでたっぷりと女性器を濡らしてから、ギョニソにコンドームを被せ……そして。 思い切って挿入してみた。 ピリッとした鋭い痛みがあった。 指先をカミソリで切ってしまったような感覚。 でもそれは、ギョニソを出し入れすることで少しずつ収まっていった。 血は、出た。 破瓜の血。 処女の証。 でもこれはセックスじゃないから、精神的にまだ私は処女だと思っている。 そもそも、膣にギョニソを挿入してもさほど気持ち良くはなかった。 これがセックスの感覚なのだろうか。 やはりペニスを入れてみなければ本当のセックスにはならない。 痛みと血が収まったところで、私はギョニソを捨てた。 さすがに、膣に入れたモノを食べる気にはならなかった……。 ともあれ、これで準備万端整った……そう思っていたのに、あの日以来、痴漢さんはなかなか現れてくれなかった。 もしかすると、生理の日の素股で満足してしまったのだろうか? 期待していただけに、失望が重くのしかかる。 数日の間オナニーさえできず悶々としていた私だったけど……その日、ようやく痴漢さんは現れてくれた。 背後から抱き締めてくれる腕に安堵する。 痴漢に対して安心してしまう私自身が滑稽で、ふっと笑いがこみ上げた。 どうかしたの? そう尋ねてくる痴漢さんに、私は首を振って応える。 そして、生理が終わったことを告げた。 痴漢とこんな風に会話するのもおかしな話だ。 私は、彼の人間性には何の期待もしていない。 容姿や素性もどうでもいい。 ただ、性の快楽を教えてくれたことにだけ感謝し、そのお礼をさせてあげるだけ。 セックスというお礼を……痴漢さんの股間に手を伸ばし、ズボンの中のペニスをまさぐる。 彼はすぐにそれを取り出し、私の手コキを望む。 けれど私は、勃起したペニスをお尻にあてがった。 お尻の谷間で挟むようにする。 腰を前後させて、股間でペニスを擦り……自ら下着のお尻の側をズリ下げた。 肛門付近に当たる熱い肉棒に、私は小さく喘ぎを漏らす。 痴漢さんも息を呑んだ。 いいの? そう訊く痴漢さん。 私は振り返らず、彼の手の甲を軽く抓る。 ここまでしている女に、わざわざそんなことを訊くものではない。 情緒のない人だ……痴漢なんてしてるのだから、当たり前か。 痴漢さんは興奮を抑えきれない様子でペニスを私に擦り付ける。 期待していたからか、女性器はすぐに潤って挿入の手助けをしてくれる。 彼は経験者だろうか、それとも童貞? それも、どちらでも構わない。 どうせすぐ、経験者になる。 もちろん、私も。 そして、その時は来た。 痴漢さんの大きなオチンチンが、私の中にめり込んでくる。 やはりギョニソより大きい。 でも十分に濡れていた膣は、彼のペニスをすんなりと受け入れてくれた。 ニュルリッと異物が入って来る感覚に、思わず呻きそうになる。 私はいつも通り口を押さえ、喘ぎ一つ漏れないようにする。 ズブズブとオマンコにめり込んでくるオチンチン。 その熱さ、硬さ、長さ、太さ。 私は痛みよりもまず、セックスの官能に心を躍らせた。 ついに処女を奪われた。 大人の女になったのだ。 ペニスはやはり、細くて柔らかいギョニソとはまるで違う。 ゴツゴツとした感触と、何よりも熱い。 指ともまったく違う快感だった。 膣内をまさぐられるこそばゆさ、押し込まれる苦しさ。 それらに伴う大きな快感。 絶頂に近い痺れが全身を駆け巡り、体がビクンビクンと勝手に跳ねる。 なんて気持ちいいのだろう。 乳首を摘ままれるとか、クリトリスを撫でられるとか、 そんな快感は、セックスとは比べるべくもない。 付き合ってすぐセックスにハマる恋人たちが多いことに、ようやく頷ける。 これを覚えてしまったら、他の楽しさや喜びでは刺激が弱い。 痴漢さんも私の膣を喜んでくれているようで、入れ始めてすぐに出し入れを始めた。 ゆっくりと押し込み、ゆっくりと引き抜く。 お腹の中をくすぐられる強い快感が私を昂ぶらせていく。 あまり派手な動きをすると痴漢行為がバレてしまうからだろうか。 彼の動きはとてものろい。 けど、十分な快楽があるので構わなかった。 何度か出し入れをされて、ふと気付く……このまま、 痴漢さんの精子を注がれるのか。 妊娠してしまうだろうか。 見知らぬ男性の、しかも痴漢の赤ちゃんを孕んでしまう? けれど、膣内射精されたからと言って、必ず妊娠するわけではない。 それにこの快楽の末の妊娠であれば仕方ないだろう。 楽あれば苦あり、というものかもしれない。 私は口を押さえるのも忘れ、ふふっと艶めいた吐息を漏らした……そしてつい、駄目、とも。 何に対しての駄目だったのか、もう覚えてはいない。 けどその言葉は、近くにいた年配の女性に届いたようだった。 すぐさま耳をつんざくような金切り声が聞こえ、膣内から快楽の素が抜けたのがわかる。 私は女性に抱き締められており、先ほどまで私を抱き締めていた痴漢さんは、数人の男性に押さえ込まれていた。 少しの間何があったのかわからなかったけど、もう大丈夫よ、という声で我に返る。 痴漢さんは、痴漢の罪で捕まっていた。 私は痴漢の被害者になって、哀れみの目を向けられていた。 やたらと親切なおばさんが次の駅で降りて、彼を警察に突き出す。 警察に捕らえられた彼がどこに連れて行かれるのか、私は知らない。 私にできることはただ、毅然と彼の背中を見つめて……その人、痴漢です……そう、はっきり言うことだけだった。

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