プロローグ
……目が、覚めましたか?
手足を動かしても無駄です。あなたの体を、椅子に縛りつけていますから。
“お前は誰だ”……? ああ、そうですね。確かに、目隠しをしていたら、姿を見ることはできませんか。
では……。
ごきげんよう。
わたくしのこと、知っておりますでしょう?
アルス王国の姫様にお仕えしている、お世話メイドの、エリナです。
わたくしは、姫様直属のメイドではありますが――同時に、護衛のような立場でもあります。
姫様に害をなす者は、あらかじめ排除しなければなりません。
……さて。ここがどこか、分かりますか?
アルス城の牢獄です。
“何故、自分がこんなところに……”という顔をされていますね。
身に覚えが、ないのですか?
誤魔化しても無駄です。
あなたは……
アルス城で働く、ただの召使いでありながら……
……お城にいる女性たちに、欲情していましたね?
その、股間の汚らしいモノを大きくして……いつか、欲望をぶつけたい、と考えていますね。
そして、その女性たちの中には……姫様も、含まれていますね?
隠しても、無駄です。あなたが、女性たちに尋常ならざる目線を向けていたことは、数々の目撃証言から分かっています。
もちろん……わたくしも、あなたの下劣な視線を感じていました。
男性であれば、女性に劣情を抱くことは当然でしょう。わたくしも、そこまで否定したいわけではありません。
しかし、その対象が、アルス城で働く女性たちとなると、話は別です。
あまつさえ、その中に、姫様まで含まれているのです。
あなたの欲望が、いつか、お美しい姫様に向いてしまうかもしれない……。
わたくしは、姫様を守らなければなりません。そのためには、災厄の種を事前に摘んでおくことが、一番いいのです。
分かりますね?
あなたにはこれから、牢獄で暮らしていただきます。
“自分は、そんなつもりはない”?
……まだ、否定するのですか?
…………。
……いいでしょう。
確かに、本人の言い分も聞かずに投獄するのでは、公平ではありません。
ですから……一つ、試してみることにしましょう。
いいえ。裁判を行うわけではありません。そんなことをしても、あなたは否定をするだけで、時間の無駄でしょう。
お城の女性に欲情した、という疑いなのですから……
……体に聞くのが、一番でしょう?
こうしましょう。
今からわたくしが、あなたの汚らわしい股間に、刺激を与えます。
しかし、何度刺激しても、射精しないようであれば……あなたは劣情をしっかり抑えることができる人間なのだ、と信じましょう。
わたくしの間違いを認め、謝罪いたします。
ですが、もし、わたくしの刺激で、射精してしまったら……
あなたは、劣情を抑えることができないとみなし……
……一生、牢獄で暮らしていただきます。
よろしい、ですね?
では、早速、参りましょう。
ふふっ。
わたくしを、失望させないでくださいね?