だだ甘ぐるーみんぐ
0:00
……にゃふー……。
今日もよい天気じゃ……。
……にゃふぅぅー……。
……んにゃ?
これこれ、そこの若いの。
そんな所に突っ立って、何をしておるのじゃ?
ここは一応、うちの庭じゃぞ?
0:35
……ま、別に構わんがの。
見ての通りこんな田舎じゃ、誰もそんなこと気にやせん。
わっちも、ナワバリでムキになるような歳でもなし。
それより、見かけん顔じゃなあ。
都会者か? まさか、観光というわけでもあるまいに……。
ふむ……。
1:08
にゃふっ。
まあ、せっかくじゃ。ちと付き合ってゆかぬか?
今日は縁側が、絶好の日向ぼっこ日和でのぅ。
独り占めするのももったいないと思っておった所じゃ。
ほれ、遠慮するでない。
こんな所をうろついとるぐらいじゃ。どうせ暇なんじゃろ?
よいから、こっちに来るのじゃ~。
1:38
……の? よい日当たりであろう?
日向ぼっこはよいぞ。体の中の邪気が溶けだして、蒸発していくようじゃ。
大抵の悩みは、日向でのんびりしておる内にどうでもよくなるものよ。
だいいち、こんなお天気の日にしけた顔をしておっては、お天道様に申し訳が立たぬと思わぬか?
2:12
……うむ、実にしけた顔じゃったぞ。
なにかイヤなことでもあって、ふらっと知らん駅で降りてみたはよいものの、あまりに何もないので呆然としておった……という所かの?
この辺りには、たま~にそういう若者がやってくるのじゃ。不思議と、の。
それでなくとも、ちゃんとした歳の喰いかたをすれば、若いもんの気持ちなど分かるようになるものよ。
にゃふっ、年寄りを侮ったらゆかぬぞ?
2:54
……にゃ? なんじゃ、妙な顔をして?
ああ、わっちの見てくれか?
こう見えても、わっちはお主より、だいぶん年上じゃぞ?
あやかしの者に、見た目の歳などなんの意味も為さぬ。
にゃふふっ、ま、若く見てくれるのは嬉しいがの?
3:20
……うむ、あやかしじゃ。
なんじゃ、見えておらぬのか?
ほれほれ、この猫耳がなによりの証拠であろうが?
いわゆる、ネコマタ……というやつじゃな。
化けるのはなにも、狐や狸ばかりではない……。
猫も長く生きれば、人に化生(けしょう)するぐらいはお手のものなのじゃ。
3:47
……にゃふっ、まあ、別に取って食いやせぬから安心せい。
それとも、わっちの姿が恐ろしいか?
人を貪り喰らう、バケネコのように見えるかの?
にゃふふっ、がおー。
4:06
……ふにゃ? 可愛い……?
……い、いやじゃなぁ、もう。急に何を言い出すのじゃ?
世辞を言ってもなにも出やせぬぞ?
まったく、こんな年寄り口説いてみてもしょうがあるまいに。
4:25
だいたいわっちはこう見えてもじゃなぁ、お主が産まれる前からネコマタやっとる、この辺りじゃ古顔のあやかしじゃぞ?
わっちから見たらお主なぞ、ほんの坊(ぼん)じゃぞ、坊。
あんまり生意気言うでないぞ。
にゃふっ、にゃふふふふっ……。
4:48
……しかしまあ、世辞とは言え、褒めてもらったからには何か礼をせんとの。
ふむ。ならば今日は特別に、わっちが日向ぼっこの極意というものを授けてやろう。
にゃふふっ、猫というものは、日向ぼっこの達人じゃからの……。
猫についてゆけば、その時その家で、一番の陽だまりが見つかると言うほどじゃ。
わっちほど年を経たネコマタともなれば、もはや日向を極めたと言っても過言ではない……。
5:25
そんなわっちが授ける、日向ぼっこの極意とはじゃな……。
にゃふふ、心して聞けよ?
日向ぼっこの極意とはずばり……。
思いっきりゴロゴロすることじゃ~!
5:47
……にゃう! なんじゃその反応は!
もしかして、馬鹿にしておるのか?
まったく、若いもんはこれだから……。
5:56
にゃふっ、では聞くが、坊は日向で寝ころんだ事があるか?
お天道様の光をいっぱいに浴びながら、身体を伸ばして、思う存分寝転んでみた事があるかの?
陽だまりでじんわり暖められた天然床暖房の縁側に、ぐでーっと身を預けて、だらだらゴロゴロした事があるか?
6:22
はっきり言うて……やばいぞ?
うむ、マタタビぐらいやばい。
もう幸せ過ぎてそのまま溶けて消えてしまってもよいぐらいじゃ。
6:36
……にゃふっ、なんじゃ?
さっきまで小馬鹿にしておったくせに、試して見たいのか?
しかたないのぅ~。
では、ほれ、横になってみぃ?
6:52
……にゃふふふっ、どうじゃ? 気持ちよかろう?
座っておるだけでも、存外体は緊張しておるものでのう。
そうして脱力して、筋肉を伸ばしておると……。
お天道様の光が、体の芯まで行きわたるようではないか?
よいであろ? クセになるであろ? の? の?
7:25
……にゃふふっ、ようやく柔らかい顔になりよったのう。
うむうむ、若いもんが眉間にシワを寄せとるものではない。
色々とあるじゃろうが、たまにはそうして顔のシワを伸ばさんと、あっという間に老けてしまうぞ?
これも何かの縁じゃ。今日はここでゆっくり過ごすとよい。
……なに、構いやせぬ。わっちもどうせ暇じゃしの。
7:59
ほれ、そのままでは落ち着かぬであろ?
わっちのお膝を貸してやろう。膝枕じゃ。
……にゃ? 何を遠慮しておる?
枕が無いと、首を痛めるであろうが。
よいから、早くわっちの膝に頭を乗せるのじゃ。
さもないと、子猫みたいに首根っこひっ捕まえて、無理やり乗っけるぞ?
8:31
……にゃふっ、そうそう、最初から素直に来ればよいのじゃ。
どうじゃ? ぽかぽかの縁側で、のんびりゴロゴロしながらの膝枕は……。
格別の気持ちよさであろう?
にゃふふっ、子猫のような顔をしおって♪
8:57
こうして、あごの所をコショコショしてやりたくなるのぅ。
ほれほれー♪
……お? 思ったほど抵抗せぬな?
ここのよさが分かるのか? にゃふふ、以外に通じゃのう。
うりうり、うりうり♪ どうじゃ、気持ちよいのかー?
9:26
にゃふふっ、なんじゃか本当に、子猫を舐めてやっとるような気になるのう♪
ふむ……すんすんっ、すんすんっ、すんっ……。
……にゃう、これ、動くでない♪
匂いを嗅ぐのは……すんすんっ……親しい猫同士の、挨拶ゆえな……すんすんっ……。
9:54
……んにゃ?
んむぅー……すんすんっ……。
ちと、肉食系の香りがするのう?
すんすんっ……ちゃんとお野菜も、好き嫌いせずに食べておるかー?
すんっ……んむ……食事はバランスよく、栄養に気を使ってじゃな……すんすんっ……。
10:18
はぁ……肉ばかり食べとると、体が匂うようになるぞ?
まあ、これぐらいなら……すんすんっ……。
ん、わっち的には……すんすんっ……嫌いではないがの……?
10:35
すんすんっ、すんすんすんっ……。
にゃふ……すんすんすんっ……はぁ……すんすんすんすんっ……はぁぁ~……。
すんすんすんすんすんっ……はぁ…………すんすんすんすんすんすんっ……。
にゃふぅぅ~……堪能、堪能……♪
11:05
どれ、次は毛づくろいをしてやろう……。
れぇるっ……ちゅるっ……れるれる……んぅ……。
んむ……ちゅうっ……れろ……れる、れろぉ……じゅるっ……。
11:21
……んにゃ? なんじゃ、くすぐったいのか?
にゃふっ、猫の舌はざらざらじゃからのう。
まあわっちの場合、普通の猫ほど尖っておらぬから……れぇる……んちゅっ……。
はぁ、痛くはなかろ? ちと我慢せい……。
……れぇる……んむ、ちゅるっ……れるれる……んぅ……。
れぇろっ……ちゅるるっ……じゅるっ……れるれるれる……ちゅううっ……。
11:56
はぁ……これ、逃げるでない。
ちゃんと毛づくろいせんと、後でお耳が痒くなるぞ?
毛並みを整えるのも、猫としてのエチケットであってじゃなぁ……。
……にゃ? 猫じゃない……?
……おぉ、そうであった。
12:20
いやすまぬすまぬ。
なんじゃかつい、子猫をかまっておるような気がしてしまってのう。
しかしまあ、耳には体中のツボが集まっておってじゃな、刺激されると、体がぽかぽかして、リラックスできると思うぞ?
12:40
と、いうことで……。
れぇる……ん……れる……ちゅるるっ……じゅっ……。
んぅ……ちゅぷっ……れるれる……んぅー……ちゅるるっ……ちゅっ……。
はぁ……子猫はこうして、毛繕いをしてやると……はむ……れるれるれる……ちゅるるっ……。
ん……安心して、母猫に身を預けてくるのじゃ……。
お主も子猫のように……れぇる、れるれるれる……じゅるるっ……ちゅぷっ……。
はぁ……わっちに体を任せるがよいぞ……。
れぇる……んちゅっ……ちゅぷっ……。
れるれる……んむ……じゅるるっ……ちゅぷっ……。
ん……れるん……ちゅるっ……れるれるれる……ん……。
れちゅっ……れるっ……れるれるれる……んむ、じゅるるるっ……。
ふむ、ん……れぇる……ちゅるるっ……ん、れるれるれるれるれ……んぅ、じゅるるっ……。
はぁ……にゃふっ……ほれ、段々体から……。
はぁむ……れる、ぴちゅっ……んむ、ちゅるるっ……ん、れる、れろぉ……んっ……。
はふ……れるれろ……じゅるるっ……んぅ、じゅるるっ……っ、れぇる……じゅぷっ……ちゅっ……。
んむっ……余分な力が抜けて来たぞ……。
んぅー……れろ、れろぉ……ちゅっ……じゅるっ……。
はむ……んちゅっ……れぇる……れろれろぉ……じゅるるるっ……ちゅっ……。
れるんっ……んぅ……れるれる……じゅるるっ……ちゅぴっ……んぅ。れるれる……ちゅるるっ……。
れぇる……れるれる……じゅるる、ちゅうっ……れちゅっ、れろぉ……。
んむ……じゅるっ……れるれる……ちゅうっ……れぇ、ちゅっ……。
15:06
んふ……猫も、人も……れる……ちゅるるっ……ちゅぴっ……。
……お耳の……手入れは……れるんっ……ちゅうるるるるっ……。
んはっ……大事、なのじゃ……れろぉ……んぅ、ちゅるっ……じゅるるっ……。
れぇるっ……んぅっ……れるれるれる……じゅるるっ……。
んむっ……れぇる、ちゅるるるっ……んっ、れるれろぉ……ちゅっ、れるんっ……。
はぁ、ぅん……れるれる……じゅるるっ……れろぉんっ……ちゅるる、じゅるっ……。
はぁふっ……れろぉん……ちゅるるっ……じゅうっ……れるれる……ちゅぷっ……。
れるんっ……れるんっ……んむ……れるれるれるれるれるれるぅ……。
じゅるるるっ…………ちゅぽっ……。
16:15
……ふぅっ。
こんなものかの。
どうじゃ? 体がぽかぽかしてきたであろ?
それに、すっかり脱力して、リラックスできておるぞ♪
ま、その辺は、わっちの熟練の技あってのものじゃがの♪
……にゃふふっ、本当に、子猫のような坊よのう。
16:47
……さて……それでは……坊?
次は反対のお耳も、ぺろぺろするぞ?
ほれ、はよこっちを向け♪
17:00
……お、なんじゃ? 素直になりおったのう。
そんなに、わっちに毛繕いされるのが心地よかったか?
仕方ないのう、甘えっ子め♪
17:23
……にゃふっ、では、かわゆい子猫のかわゆいお耳を、たーっぷり、ぺろぺろするのじゃ。
……れぇる……んちゅっ……ちゅるるっ……。
んむ……れるれる……じゅるっ……ん、れぇる……ちゅるる……じゅるっ。
はふ……れぇる……れるれるれ……れるんっ……じゅるる……ちゅぷっ……。
ふむ、ん……れぇーるっ……ちゅぷっ……。んむ、れぇーる……じゅるるっ……。
ん……れるん……ちゅるっ……れるれるれる……ん……。
れちゅっ……れるっ……れるれるれる……んむ、じゅるるるっ……。
ふむ、ん……れぇる……ちゅるるっ……ん、れるれるれるれるれ……んぅ、じゅるるっ……。
はぁ……坊のお耳を、ぺろぺろしておると……れぇるっ……んちゅっ……ちゅるっ……。
ふぅ……本当に母猫になったような気がするのう……れぇる……んちゅ……ちゅぷっ……。
れぇる……んむー……ちゅぷっ……れるれるれる……れぇるっ……じゅるるっ……。
れるえる……ん……じゅるるっ……ちゅぴっ……れぇる……ん、ちゅるるっ……。
んぅー……れろ、れろぉ……ちゅっ……じゅるっ……。
はむ……んちゅっ……れぇる……れろれろぉ……じゅるるるっ……ちゅっ……。
はむ……んちゅっ……れぇる……れろれろぉ……じゅるるるっ……ちゅっ……。
れるんっ……んぅ……れるれる……じゅるるっ……ちゅぴっ……んぅ。れるれる……ちゅるるっ……。
れぇる……れるれる……じゅるる、ちゅうっ……れちゅっ、れろぉ……。
はぁ…………坊のお耳は、美味しいぞ……。
れぇるっ……んぅっ……れるれるれる……じゅるるっ……。
んむっ……れぇる、ちゅるるるっ……んっ、れるれろぉ……ちゅっ、れるんっ……。
はぁ、ぅん……れるれる……じゅるるっ……れろぉんっ……ちゅるる、じゅるっ……。
はぁふっ……れろぉん……ちゅるるっ……じゅうっ……れるれる……ちゅぷっ……。
はぁ、ぅん……れるれる……じゅるるっ……れろぉんっ……ちゅるる、じゅるっ……。
はぁふっ……れろぉん……ちゅるるっ……じゅうっ……れるれる……ちゅぷっ……。
れるんっ……れるんっ……んむ……じゅるるるっ…………ちゅぽっ……。
21:06
ふぅ……このまま、食べてしまいたくなるほどじゃて……。
れるんっ……ちゅうるるるるっ……。
んちゅっ……れろぉ……んぅ、ちゅるっ……じゅるるっ……。
れるんっ……れるんっ……んむ……れるれるれるれるれるれるぅ……。
じゅるるるっ…………ちゅぽっ……。
21:38
はぁ……にゃふふっ。
はぁー、むっ。
あぐあぐあぐ……にゅふふふっ。
あまがみ、あまがみ……はぐはぐはぐ……。
21:59
はぁっ……にゃふふっ、ご馳走様、坊。
美味しいお耳じゃったぞ~♪
さて、それでは余分な力も抜けてリラックスできた所で、のんびりお昼寝と洒落こむとするかの。
ほれ、その体勢でおるのにも疲れたじゃろう?
仰向けになって休むのじゃ。
22:27
……ん、どうした?
ずっと横を向いておったら、肩がこってしまうぞ?
よいから、上を向くのじゃ。ほー、れっ♪
22:40
……っと……にゃっ?
……あぁ~……。
これは……のんびりしとれん感じに、なってしまったかの……?
そんなつもりではなかったのじゃが……若さじゃなぁ……♪
……にゃふふっ、なんじゃなんじゃ、情けない顔をしよって♪
別に気にせんでよい。元気な証拠なのじゃ。
それに……わっちもまだまだ、捨てたもんじゃない、という事じゃろ?
にゃふっ、にゃふふふふっ。
のう……坊?
日向ぼっこも良いのじゃが、あまり日に当たり過ぎるのも、それはそれで体に毒での……。
ある程度ぽかぽかしたら、奥の間で昼寝をするのがわっちの日課なのじゃ。
こんな天気の良い日に、すだれを下ろして薄暗がりで丸くなるのも、それはそれでオツなものでなぁ。
もうお布団の準備もできておるし……どうじゃ?
せっかくじゃし……付き合ってゆかぬか?
……今度こそ、のんびり眠れるように、わっちが落ち着かせてやるぞ? どうする?
24:13
……にゃふふふっ。
うむ、決まりじゃな。
では、奥の間へ参ろうか。
さ、ついて参れ、坊? にゃふっ、にゃふふふっ……♪