2話目
[会場までの行きがけの電車、座れないので立ってるふたり]
(電車の中なのでひそひそ声で会話してる)
【正面左・近距離】
うう……やっぱり怖くなってきた……
(車内を見渡す少女)
この電車、明らかに乗ってる人間の雰囲気が普段と違わないか……?
(主「みんな同じとこに向かってるんだろうね」)
やっぱりそうか……確かにわかりやすいのはいいことだが……
っていうか、「小規模なイベント」って言ってたが、もしかして私とお前の認識の間に結構な溝がないか……?
(主「どのくらいだと思ってるの?」)
私は……そうだな。学校の視聴覚室程度の規模だと思ってたんだが……
(主「あー、ごめん。流石にそこまで小さくはないね」)
だよな……急に不安になってきた……
(主「大丈夫だって」)
いや、そうは言うけどな……この前の出張先の街中で既にグロッキーだったんだぞ?
あれ以上の密度だと思うと……うぅ……まだ私には耐性が……
(少女の手を強めに握る主人公)
ん……この手、絶対に離さないでくれよ……?
離した瞬間、残機ごと体力が蒸発してゲームオーバーだからな……
(主「わかってる」)
んむぅ……わかってるのなら良いのだが……
[人が増えてきた車内]
人、増えてきたな……この雰囲気、苦手だ……
(揺れる車内、主人公に密着する形になる少女)
おっと……
【正面・近距離】
ん、すまないな……
(そのまま周囲にバレないように少女を抱きしめる)
わっ……ちょっと、お前……こんなとこで抱きしめるなよ……
(主「でもこの方が体積が小さくなるし」)
そんな、人をリュックや荷物みたいに……んぅ……
だが、まあ……体積を小さくするのは大事だよな……相対的に車内が広くなるわけだし……
それに……ん……こうやってると、怖くなくなる……
お前の腕に抱かれて……お前の匂いに包まれて……
本当に……安心するよ……
外は……やっぱりちょっと怖いんだ。
だけど、お前と一緒にいると「お前と一緒にいる」って感触が、それを和らげてくれる……
なあ、このまま会場まで行ったらダメか……?
(主「さすがにこのままじゃ歩けないって」)
ふふ……まあ、そうだよな……こんな状態じゃ身動き取れないか……
だったら、せめて駅……着くまでは、こうしててくれ……
じゃないと……もう怖くて無理……泣きそうになってるんだ……
(主「ほんとだ。涙目、かわいいね」)
う、うるさい……!顔……見る暇があったらちゃんと抱きしめててくれ……
(少し強めに抱きしめる主人公)
んっ……ふふ……
(/電車の中なのでひそひそ声で会話してる)
[目的の駅に到着した電車]
(車内なので小声)(乗降の喧騒で先程よりは声出してる感じ)
あ、ここで降りるんだっけか……
ふふ……みるみる人が降りていく……少し面白いな。
なあ、車内も空いてきたし、このまま降りないでもっと遠くまで行かないか?
(主「本気なら付き合うけど」)
ふふ……いや、冗談だよ。
お前と電車に乗って二人旅、少し憧れるが、今日の目的はここだ。
っと、降りないと本当にそうすることになってしまうな。
もう離してくれていいよ。
(主人公の抱擁から開放される少女)
あ……その代わり、手は(しっかり握ってれくれよ)……
(自然な流れで手を差し出してくる主人公)
【正面・近距離→左側・近距離】
ふふ。言うまでもなかったな。
さあ、行こうか。共に、未知なるダンジョンへ。
(/車内なので小声)