4エピローグ
【エピローグ】
《呼び出し音と通話 プルルル…ピッ》
[美耶子]:こんばんわ明日香(あすか)さん。私よ?
[明日香]:美耶子(みやこ)先生ですか? さきほどの件でしたらメールで構(かま)いませんが。
[美耶子]:メールはあまり好きではないわ?
文字だけで気持ちを伝えるなんて、どうも性(しょう)に合わなくて…。
怒ってる?
[明日香]:いいえ、不合理(ふごうり)なことが嫌いなだけです。
それでどうでしたか? 彼の評価は。
[美耶子]:よかったわ。
下半身は元気で、上半身はおとなしくて…。とってもいい子よ?
彼のことは、そうね…。合格の水準(すいじゅん)には充分に達しているけど、あなた達が彼のことを大切に考えず、酷使(こくし)するようなら、話は別になるわ?
[明日香]:ご心配には及(およ)びません。どこかの強制退部させられた昔の部員のように、無茶はしませんから。
あのときは確か、火をつかったそうですね?
[美耶子]:相変わらず手厳しい言い方をするのね? 明日香さんは。
昔のことは反省しているから、今は男子部員に優しくしてあげているの。
[明日香]:そうですか、これからもせいぜい媚(こ)びをうって、人気者でいてください。
他に用がないなら、もう切りますね?
合格通知は私から出しておきますので、彼の部員登録のほうは、よろしくお願いします。
[美耶子]:わかったわ。
これからの倶楽部活動の方針なんだけど…。
[明日香]:では。
《携帯のきれる音 プツリ…》
[美耶子]:あ…。
《突然切られた携帯を見つめながら》
まったくどうにも、嫌われたものね。
いつからライバル意識を持たれるようになったのか、わからないけど…。どこかで二人、貝合(かいあ)わせでもしたら、たくさん潮(しお)をふいて、妙な誤解をといてくれるのかしら?
ふふっ。
《すこし間をおく》
それにしてもあの男の子…。ずいぶん彼女達に気に入(い)られたみたいだけど、それも良かったのか悪かったのか…。
あとは彼の「心と体」の、バランスの問題ね?
いつも健全に保(たも)っていられるように、しっかりとケアーをしてあげないと…。
必要なら、毎晩でもね?
んっふふ。
《BGM J.Sバッハ》