「いっしょにいようね…おにいちゃんッ!!」
…ぐす…うん、ごめん、シャツ、私の涙で濡らしちゃって…!
すっごくバカなことしてた、私。
これじゃ何のために消えるつもりで冥界から現世に降りて、覚悟決めたのか…意味わかんないじゃない。
せっかく生き恥も何も残さずに来たつもりだったのに!
神様が言ってた「いいこと」…
一夜のうちに、本当の願いを叶えることができたら、本当に生き返ることができるだなんて、思いもしなかった。
こういうの、奇跡って言うの…?奇跡は、あるはずがないから奇跡なんじゃないの…?
「そんなことはどうでもいい」?
「どんな奇跡だって、起きてしまえば現実だ」って……
…どうでもよくなんかないッ!!
私は、お兄ちゃんの前で大恥かいたんだよ…!ドラマの悲劇のヒロインみたいにさ、かっこいい言葉言って消えようとしてたのに…笑顔で消えようとしてたのに。
…これじゃ私、これから先お兄ちゃんに今朝のこと出されるたびに悶えるしか無いじゃない…!
「生きられるんなら、それくらい些細な事だろ」?
お兄ちゃんは言ってくれる!そういうのを平気で平然とッ!!
…そりゃ、これからまた人生が始まるんだとしたら、恥ずかしい思い出なんて些細な事だけど…
…はあ。これからどうしていけばいいんだろ。
世間では私死んだことになってるだろうし、実家に戻ったらおじさんたちもびっくりするだろうし。
お兄ちゃんにも色々迷惑かけてしまうだろうし…
けど…けどね。
これがもう一度、私が生きられるチャンスだっていうのなら。もう一度私、生きてみたい。
神様がくれた、とっておきの二度目の人生で、今まで死んでいた分を、精一杯楽しんでいきたい。
…お兄ちゃんには無理を承知で言っちゃうけど…私が落ち着く間、しばらくお兄ちゃんと一緒にいていいかな。
きっとお兄ちゃんは、私のせいでこれから大変な目に合うと思う。
戸籍とか、住まいとか、いろんな手続きとかで…私、お兄ちゃんを巻き込んじゃうと思う。当分は、ここに住むことになると思う。
でも、迷惑かける分は、絶対私がなんとかしてみる!バイトでも、家の掃除でも、なんだって…!
だから、お願い。お兄ちゃんと一緒に生きても、いいかな?
…うんっ…!
もう一度言うけど…不束者ですが、よろしくお願いします!お兄ちゃん!
そして、遅くなっちゃったけど!
ただいま!お兄ちゃん!