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空薫をして香りを楽しみましょう

お待たせしました これよりサービスの方に移らせて頂きますね まずは自己紹介から… 初めまして、私は当店の施術員をしています「愛耶(あや)」と申します どうぞ宜しくお願いしますね ふふ、ご丁寧にありがとうございます♪ ええと、お客様は初めてですので、今回は簡単な施術を行っていければと思います あ、この道具が気になりますか? これはお香で使う道具でして…まず初めに「空薫(そらだき)」をしていきますね 空薫はこういった香炉(こうろ)の灰の中に埋めたお香用の炭(すみ)の香りを楽しむものです 施術中はリラックスして欲しいですから、落ち着けるような香りを使っていけたらなと… それでは早速失礼します まずは一礼… 宜しくお願いします こちらの香炉を目の前に置いてっと… ん… 蓋を取りまして、香炉の中に灰を入れていきます… んしょ… 量としては半分より少し多いくらいでしょうか 溢れてしまってはお掃除も大変ですので、扱いには気をつけて下さいね ん… 入れた灰を道具を使って平らにしていきます 少しずつ…少しずつ… ん、ぅん… 一通り平らにしたあとはお香用の炭を用意して… こちらにはライターで火を着けまして、炭火が半分くらい熾(おこ)るまで灰の上に置いて待ちます ふふ、お香に使う物って結構小さくてかわいいですよね♪ 炭と聞くともっと大きい物をイメージしてしまったのではないでしょうか それにこれから使うお香も… ほらっ、色々な形があるんですよ? あ、これはですね 印香といいまして、粉末にした香料を型に押し固めたものなんです 梅や菊の花の形でしたり、イチョウの葉の形など…和風な型で作ってあることが多いです あはは、確かに…色合いも様々でお香だと言わなければ、砂糖菓子に見間違えそうですよね♪ でも、そのイメージはあながち間違ってはいなくて、印香には甘めの香りが多いのも特徴的なんです あと、こちらの丸いお香は…「練香(ねりこう)」ですね 粉末にした香料をハチミツや梅肉(ばいにく)などで練り固め、丸薬(がんやく)状にした物をそう呼びます 古くは平安時代から用いられたそうで、貴族たちの間で使われていたようです これから行う空薫もそうですが、香りに合わせた和歌を詠んだりして教養や品性を競い合う「薫物(たきもの)合わせ」という遊びもあったとか… 大昔の事ですから、現在のように香りの素材は確立されていませんし、色々な香りが作られていったのでしょうね あとはこちらの木材チップのような形をしたものが「香木(こうぼく)」になります その名の通り、木そのものから香りが作られていて、少し削っただけでも十分に楽しめるんですよ 種類としては「白檀(びゃくだん)」や「伽羅(きゃら)」「沈香(じんこう)」といったところが有名でしょうか… 特に伽羅はとても貴重で1gだけで4~5万円したりします ええ、自然の物ですので簡単に出来るものではありませんし、大事に使わないといけませんね あっ、ちなみにこの香木は白檀なのでご安心を…♪ んー…そろそろいい感じに炭火が熾ってきたかな…? それではこの炭を灰の中に埋めていきます… ん… 深く埋めるのではなく浅く… ん、ぅん… 灰を埋めた後は再び平らにしていって… んしょ、んしょ… これでよしっと… こうやって炭を埋める事で灰を温めていくんですよ さてと…使うお香はどうしようかな…? やはりリラックスして頂きたいですし、ここは安息香(あんそくこう)や貝香(かいこう)の粉末を使った練香を… んっ… はいっ、これでおしまいですね… どうぞお顔を近づけてみてください 理科の実験の時のように直接嗅ぐのではなく、手で仰ぎながら… ん…どうぞ ふふ、なんだか甘い香りがしませんか? これは安息香が持つ香りの物でして、お客様の緊張を解す為に選んでみました あとは貝香も混ぜてあるのですが、これは巻貝(まきがい)の蓋を粉末にしたもので主に香りを安定させるために使うものだったりします これだけを使うとややたんぱく質な香りがして独特なんです でも、こうやって他の香料と混ぜ合わせると引き立て役になってくれるのが面白いですよね♪ あ、もう一度嗅いでみますか? それでしたら、一度香炉から顔を離して新鮮な空気を吸ってから、また顔を近づけてみてください… ん… ふふ、気に入って頂けて良かった…♪ 人それぞれに好みの香りがありますから、お客様の好みに合うか心配だったんですよね ここでつまずいてはまた最初からやり直しですし、ドキドキです あ、そうだっ… またいらっしゃった時の参考に好みの香りとしてメモしておかないと ん…これでよしっと さてと…いい感じに室内に香りが広がってきましたし、次のサービスに移ろうかな? それではこちらの施術台で横になってください♪