幽子ちゃんの最期の膝枕
(左から右・通常)
ん~と・・・。
(右・通常)
夜明けまでは・・・。
あと、ちょっとといったところでしょうか。
(正位置・通常)
もうすぐ成仏すると思うと、嬉しいような、切ないような、何だか不思議な気分です。
あ、あの、家主さん。
お願いがあるんですけど・・・。
(左・通常)
あ、あの・・・。
もし良かったらなんですけど・・・、その・・・。
私が成仏するまで一緒にいてくれませんか?
(正位置・通常)
え、あ、そ、そんな顔しないで下さい。
何だか、私が変なことを言ってるみたいじゃないですか。
だ、だって。
(右・通常)
だって・・・、成仏するってことは消えるってことですよ。
この世から消えてしまう時に、一人ぼっちなのは・・・、寂しい・・・です。
だから、その・・・。
傍に・・・、いて欲しい・・・な。
・・・なんて・・・。
(右・接近)
だ、ダメですか・・・?
(正位置・通常)
あは、ありがとうございます。
嬉しいです、最期に家主さんと一緒に居れて。
えへへ。
え~と。
こうやって、改まって向かい合っていると、何だか緊張しますね。
えへへ・・・。
(左・通常)
あ、大きなあくび。
んもう、家主さんったら、緊張感がないですね。
でも、そうですよね。
いつもなら、寝てる時間ですものね。
ごめんなさい、私が起こしてしまったから。
(正位置・通常)
それじゃあ、せめて私の膝枕で寝て下さい。
もちろんいいですよ、そのまま眠ってしまっても。
成仏するところ、見られたくないし。
ほら、膝枕へどうぞ。
(SE:膝枕・後頭部が太もも)
(正位置・通常)
ふふ。
今日、2度目の膝枕。
(左・通常)
はっ!
もしかして、もう私の体に飽きちゃいましたか?
え?
いや、変な意味ではなくてですね、膝枕に飽きたかってことですよ。
(右・通常)
もう~、変なこと考えたんでしょ。
家主さんのエッチ。
(正位置・通常)
ねえ、家主さん。
頭、なでなでしてもいいですか?
(SE:頭をなでる音)
人の頭を撫でるのって、気持ちいいんですね。
心がほんわかするというか。
和みます。
(右・通常)
ふふ。
家主さん、子供みたいでカワイイ。
もっとなでなでしてもいいですか?
ふふ。
(SE:頭を撫でる音)
(左・通常)
なでなで、なでなで。
イイコ、イイコ。
(正位置・通常)
ん?
子ども扱いされてるみたいでイヤですか?
いいじゃないですか。
(右・接近)
子供になって、いっぱい甘えて下さい。
(SE:頭を撫でる音)
(正位置・通常)
なでなで、なでなで。
イイコでちゅね~。
えへ、なんちゃって。
眠くなってきましたか?
いいですよ、眠って下さい。
こうやって、背中をトントンしていますから。
(SE:背中をトントン)
(右・接近)
家主さん、寝ちゃいましたか・・・?
そのままで聞いていて下さい。
その、ぶっちゃけ、家主さんは全然私の好みのお顔ではないのですが、こうやって一緒に居てお話しをしていると何だか安心して・・・、とても楽しかったです。
できたら、このままずっと家主さんに憑りついてたいな、なんて。
ふふ、迷惑ですよね。
分かってます。
私、可愛いけど幽霊だし、家主さんも生きてる女の子の方がいいですよね。
ごめんなさい、変なこと言って。
忘れて下さい。
もう、成仏しますから。
そろそろ、時間みたいです。
家主さん、さようなら。
最期に家主さんと一緒にいれて、良かったです。
家主さん。
好きです。