Track 20

刻印解放(ロード)

いらっしゃい、ボウヤ。 ちゃんと、また来てくれたのね。 ふふ、安心して。また、ボウヤを気持ちのいい夢の世界に連れて行ってあげる。 とても気持ちのいいお遊戯のお部屋へ。 ほら、意識して。 ボウヤの下腹部に刻まれた淫紋。 お姉さんが植え付けた淫紋。 刻まれた記憶、お姉さんとの記憶。 お姉さんの声が、香りが、誘惑が、お遊戯が、そこに刻まれている。 ふふ、安心してちゃ~んと開いてあげる。お菓子の包み紙を開くように。 ボウヤの甘い記憶をほどいてあげる。 さあ、この音。 ほら、この音を聞くと、ボウヤの記憶は解放されていく。 徐々に、徐々に思い出されていく。 お姉さんのいやらしい声が、香りが、惑わせ誘う。思い出す。 思い出が開かれてくると、とたん、ボーッとした感覚に包まれる。 意識がふっと、きするように、一瞬眠ってしまったように、明るかったものが暗く。 意識がぼんやりしだすと、呼吸がゆったりとしてくる。 穏やかな深呼吸。 吸って~、吐いて~、と、穏やかに、呼吸をする。 そうしたよね。ふふ。 そうすると、全身の力が抜ける。徐々に、徐々に。 それは夢の中へっていくための準備。ぼんやりとした意識の中で、安らいで、落ち着いて。 そして、力は、地面に吸い取られていくように、じんわりと、抜けていく。 すると、体が重くなり、沈んでいくように。 右肩から力が抜け、重く、重く。下から引っ張られるように、ズーンと重くなっていく。 右肩から力が抜けると、波紋が広がるように、右腕からも力が抜ける。 広がるように、右腕の次は、右の手首へと。 広がったの力が抜け、重く、重く沈んでいく。それは、指先にも届く。 そして、右腕全体が重いに沈んでいくように。 右腕が、沈む、沈む、沈む。すると、今度は左腕に意識が向かう。 左肩の力が吸い取られ、下に、下に引かれる。 魅了されたように、引き寄せられる。下に、下に。 その力は、左腕にも移り、左腕の力も吸われる。そして、下へ。 ツタにでも絡まれたように、下へ、下へと引かれる。 そのまま、手首、指先へと、やさしく絡みつき、吸い取っていく。 また、左腕全体も、沈む、沈む。沼に沈むように、ゆっくり、に。 両腕から力が抜けると、胸からも力が抜ける。胸部の力が、スーッと抜ける、と、呼吸も穏やかに、より一層ゆっくりと。 胸と同じように背中も。胸と背中は表と裏。だから、一緒に力が抜けていくのは自然なこと。 上半身がズブズブと沈むように、落ちていく。落ちる、落ちる。 そのまま、引きずられるように、お腹も、腰も。 お腹と腰も、コインの表と裏のように、一枚。だから、一緒に。 ゆっくりと、ゆっくりと。 夢の世界にゆっくりと。 そして、太ももからも力が抜け、呑み込まれるように落ちていく。 やがて、ふくらはぎ、足首、足先へと。 ズブズブと、呑み込まれ、沈む、沈む。 夢の中へ、ゆっくりと、ゆっくりと。 頭から、深海に落ちていくように、どこまでも、ゆったりと落ちていく。 10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0 落ちる、落ちる。 どこまでも、深く深く、より暗く、暗い場所に。 ボウヤの世界とは隔絶された世界。 夢の世界。ボウヤの夢の中。そして、お姉さんの夢の中。今は。 さあ、もっと深くへ、もっと離れた世界へ。 8,7,6,5,4,3,2,1,0 さらに、一層、ボウヤは深く、誘われる。 ボウヤの夢からお姉さんの夢へ。 すると、安らぎを覚える。 抱きしめられているかのような安心感。 母に抱かれるような心地よい安心感。 さあ、さらに。 6,5,4,3,2,1,0 香りがする。甘い、香り。 穏やかになると同時に、切なくなる香り。 ふっ、と頭の中をよぎるイメージ。記憶。 穏やかなはず。安らかなはず。 しかし、すこし落ち着かない香り。 す、あま~い匂い。 4,3,2,1,0 さらに、深くなるにつれて、声が心をかき乱すように。 思い出す。あま~い声。ボウヤを捕まえる甘~い声。 さあ、もっと深く、深く入っていきましょう。 お姉さんの夢の世界へ。 2,1,0 もう、ボウヤはお姉さん手の届くところに。 帰ってきた。 ボウヤのお腹の印が導いてきた。 ボウヤとおねえさんだけの世界。 さあ、またお遊戯しましょうね。もっと深い深い、お遊戯のお部屋で。 ほら、 ゼロ