刻印解放(ロード)
いらっしゃい、ボウヤ。
ちゃんと、また来てくれたのね。
ふふ、安心して。また、ボウヤを気持ちのいい夢の世界に連れて行ってあげる。
とても気持ちのいいお遊戯のお部屋へ。
ほら、意識して。
ボウヤの下腹部に刻まれた淫紋。
お姉さんが植え付けた淫紋。
刻まれた記憶、お姉さんとの記憶。
お姉さんの声が、香りが、誘惑が、お遊戯が、そこに刻まれている。
ふふ、安心してちゃ~んと開いてあげる。お菓子の包み紙を開くように。
ボウヤの甘い記憶をほどいてあげる。
さあ、この音。
ほら、この音を聞くと、ボウヤの記憶は解放されていく。
徐々に、徐々に思い出されていく。
お姉さんのいやらしい声が、香りが、惑わせ誘う。思い出す。
思い出が開かれてくると、とたん、ボーッとした感覚に包まれる。
意識がふっと、きするように、一瞬眠ってしまったように、明るかったものが暗く。
意識がぼんやりしだすと、呼吸がゆったりとしてくる。
穏やかな深呼吸。
吸って~、吐いて~、と、穏やかに、呼吸をする。
そうしたよね。ふふ。
そうすると、全身の力が抜ける。徐々に、徐々に。
それは夢の中へっていくための準備。ぼんやりとした意識の中で、安らいで、落ち着いて。
そして、力は、地面に吸い取られていくように、じんわりと、抜けていく。
すると、体が重くなり、沈んでいくように。
右肩から力が抜け、重く、重く。下から引っ張られるように、ズーンと重くなっていく。
右肩から力が抜けると、波紋が広がるように、右腕からも力が抜ける。
広がるように、右腕の次は、右の手首へと。
広がったの力が抜け、重く、重く沈んでいく。それは、指先にも届く。
そして、右腕全体が重いに沈んでいくように。
右腕が、沈む、沈む、沈む。すると、今度は左腕に意識が向かう。
左肩の力が吸い取られ、下に、下に引かれる。
魅了されたように、引き寄せられる。下に、下に。
その力は、左腕にも移り、左腕の力も吸われる。そして、下へ。
ツタにでも絡まれたように、下へ、下へと引かれる。
そのまま、手首、指先へと、やさしく絡みつき、吸い取っていく。
また、左腕全体も、沈む、沈む。沼に沈むように、ゆっくり、に。
両腕から力が抜けると、胸からも力が抜ける。胸部の力が、スーッと抜ける、と、呼吸も穏やかに、より一層ゆっくりと。
胸と同じように背中も。胸と背中は表と裏。だから、一緒に力が抜けていくのは自然なこと。
上半身がズブズブと沈むように、落ちていく。落ちる、落ちる。
そのまま、引きずられるように、お腹も、腰も。
お腹と腰も、コインの表と裏のように、一枚。だから、一緒に。
ゆっくりと、ゆっくりと。
夢の世界にゆっくりと。
そして、太ももからも力が抜け、呑み込まれるように落ちていく。
やがて、ふくらはぎ、足首、足先へと。
ズブズブと、呑み込まれ、沈む、沈む。
夢の中へ、ゆっくりと、ゆっくりと。
頭から、深海に落ちていくように、どこまでも、ゆったりと落ちていく。
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0
落ちる、落ちる。
どこまでも、深く深く、より暗く、暗い場所に。
ボウヤの世界とは隔絶された世界。
夢の世界。ボウヤの夢の中。そして、お姉さんの夢の中。今は。
さあ、もっと深くへ、もっと離れた世界へ。
8,7,6,5,4,3,2,1,0
さらに、一層、ボウヤは深く、誘われる。
ボウヤの夢からお姉さんの夢へ。
すると、安らぎを覚える。
抱きしめられているかのような安心感。
母に抱かれるような心地よい安心感。
さあ、さらに。
6,5,4,3,2,1,0
香りがする。甘い、香り。
穏やかになると同時に、切なくなる香り。
ふっ、と頭の中をよぎるイメージ。記憶。
穏やかなはず。安らかなはず。
しかし、すこし落ち着かない香り。
す、あま~い匂い。
4,3,2,1,0
さらに、深くなるにつれて、声が心をかき乱すように。
思い出す。あま~い声。ボウヤを捕まえる甘~い声。
さあ、もっと深く、深く入っていきましょう。
お姉さんの夢の世界へ。
2,1,0
もう、ボウヤはお姉さん手の届くところに。
帰ってきた。
ボウヤのお腹の印が導いてきた。
ボウヤとおねえさんだけの世界。
さあ、またお遊戯しましょうね。もっと深い深い、お遊戯のお部屋で。
ほら、
ゼロ