オープニング~貸し切りですから、ゆっくりしていってくださいね、お兄さん。
/山奥にいるSE(風で木が揺れる感じ)
【琥珀】
「……あれ? こんな山奥で珍しい。お兄さんどうしたの? 迷子? ……山登りって割には、服装は楽な感じね」
【琥珀】
「……え? 温泉を探しに来たんだけど、迷っちゃった? あーなるほど、ふふっ、そういうことか」
【琥珀】
「残念、多分お兄さんのお目当ての温泉は、今来た道の反対側だよ。……って言っても、山を4つくらい挟んだ向こうにあるけどね」
【琥珀】
「ふふ、ほんとほんと。ちゃんと調べないとダメだよ? 田舎っていうのは、意外と道が複雑だから。特にこんな山奥になると特にね」
【琥珀】
「え? ……うん、そうだね。今から向かっても、目的の温泉宿に着くのはかなり遅くなると思うよ? ほら、道も結構曲がりくねってるから、スピードも出ないし」
【琥珀】
「……あ、それじゃあ、どう? 私の家に泊まってく? こう見えても、温泉開いてるんだ。規模は小さいけど、効果は間違いないよ?」
【琥珀】
「ふふ、ね、そうしよそうしよ? もうすぐ日も暮れちゃうし、お兄さんも今から移動するの面倒でしょ? 遠慮することないからうちに止まっちゃいなって」
【琥珀】
「それに……ふふ、噂だけど、この辺妖怪が出るらしいよ? それで若い男の人をぱくって食べっちゃうとか……あは、なんちゃって」
【琥珀】
「ほら、そうと決まったら、こっちこっち。……ふふ、頑張ってもてなしてあげるから、期待しててね?」
/SE:玄関を開ける音
【弧銀】
「あ、お姉ちゃんおかえりー……って、あの……その人は……?」
【琥珀】
「ただいまー弧銀。このお兄さんはね、うちの温泉のお客さん」
【弧銀】
「ええっ!? お客さんって……は、初めて見た……。へぇ~……男の人って、そういう顔をしてるんだ……」
【琥珀】
「今日はこのお兄さんを、2人で精いっぱいおもてなししようね? ……ふふ、上手に出来る?」
【弧銀】
「う、うん……あんまり自信ないけど……。お姉ちゃんに色々教わってきたから、大丈夫……だと思う……」
【琥珀】
「あーそっか。弧銀はこういうことするの初めてだもんね。ふふ、でも大丈夫、私もちゃんと傍で教えてあげるから」
【弧銀】
「うん、そうしてくれると嬉しいかも……。あ、そ、そうだ、お兄さん、お荷物運びますので、こちらにどうぞ!」
【弧銀】
「ん、よいしょっと……。……え? あんまり繁盛していないのか……ですか? あはは、はい……ここはあんまり……」
【弧銀】
「こんな山奥にあるから、やっぱり人が来ないみたいで……。特に売りになるものもありませんし……」
【弧銀】
「私も……お客さんを迎えるのも初めてなんです。というか……男の人を見るのも、生まれて初めてなくらいで……」
【弧銀】
「あっ……あはは、な、なんでもありません、独り言です。忘れてください。……あ、じゃあお荷物はここに置かせて頂きますね、よっと……」
【琥珀】
「さて、お兄さん? まずはどうやって癒されたいですか? まずはゆっくりと、和室の雰囲気を堪能したい?」
【琥珀】
「それとも……早速温泉に浸かって、日頃の疲れをじーっくりとほぐします? ふふ、お兄さんの好きにしていいですよ? どうしたいですか?」
【琥珀】
「……お、温泉に入る? はい、了解しました。それじゃあ弧銀? 用意の方をしちゃって? 準備するもの分かってるよね?」
【弧銀】
「あ、は、はい! 分かりましたー!」
【琥珀】
「ふふ、うちの温泉は、疲労回復、腰痛、その他色んな効能がありますからねー。じっくりと浸かるといいですよ」
【琥珀】
「心も身体も、昇天しちゃうくらい気持ちいいはずだから、温泉から上がる頃には、色々スッキリしますよ? んふふふっ」